盗まれたピカソ

公開日 : 2000年08月30日
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映画トプカプで盗まれたのは、今もトプカプ宮殿宝物殿での人気一二を競うエメラルドの短剣であった。ドラマチックな放浪をする芸術品というのは、映画の中だけではなく存在するらしい。まもなく、トルコの首都アンカラにある絵画彫像美術館に盗品ピカソが登場する。問題の絵は1908年に天才パブロ・ピカソが描いたLA FERMIERE。完成と同時にパリ美術館に売却されている。1918年にはソ連現代西洋美術館にあったという記録もある。ベルリン、クウェート、イラク、モスクワと転々としたこの絵は、最後にトルコにたどり着いた。盗品として。6月半ば、トルコ文化庁美術長官であるメフメット・オゼルが、新聞上で明らかにしたところによると、この盗品ピカソは「エーゲ海岸の町イズミールにてトルコ政府が入手した。現在専門家によるケアが行われており、一連の作業が済み次第、アンカラに展示する」とのこと。機会があったら是非見に行こうと思っているうちに、8月22日またもやピカソの文字が紙上を飾った。「その価値、11トリオン(約18億円)。」シャンルウルファで行われた大捜査で3つ目のピカソが入手されたというのだ。1903年スペインのバルセロナで製作された青の時代に属するこの絵には「若い女のポートレート」という題が付けられており、トルコで3枚目のピカソとなる。右下の刻印から、湾岸戦争の際にクウェート美術館から盗み出された本物であることも確認され、どうやら北イラクからトルコを通る大規模な密売ルートがあるらしい。このまま,捜査が進めば、トルコで続々名画が発見されることになるのだろうか?ドラマチックなのは名画の宿命なのか。湾岸戦争の傷跡は、今もこんな形で生きている。

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