ゲイ危機

公開日 : 2000年09月14日
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トルコ政府がクリントンに弁明を行わなければいけない羽目に陥っている。その事件を、人々はこう呼んで行方を見守っている。すなわちゲイ危機、と。事の起こりはクシャダス、エーゲ海に面したトルコ有数のリゾート地。はるばるアメリカから840人のゲイを乗せてやってきた豪華客船オリンピックボイジャー号は、入港はしたものの、トルコ警察によって乗客の上陸を拒否された。一部ポリスともみ合いの末、エフェソス観光に向かったグループも途中で道を閉鎖され、強制的に連れ戻された。これを不当と怒った船長がアメリカ本国に連絡を入れ、この事件は国際問題に発展したのである。不当だと思ったのはアメリカ人達だけではない。上客を逃した現地の旅行業者達も、ポリスの不当性を観光省長官エルカン・ムンジュと内務省サデッティン・タンタンに急報を入れた。事態を収拾しようとしたクシャダス市長フアット・アクドゥアンは船に軟禁された乗客たちに直接謝罪の呼びかけを行った。「今までにも2隻のゲイ、3隻のレズビアン船がわがクシャダスを訪れました。このようにたくさんの外貨を落としてくれるツーリスト達をを締め出したのではトルコと言う国のアピールにも弊害が出ます」事件を知ったムンジュといえば、すぐにタンタンに連絡を取った。タンタンはネヴシェヒールでのスケジュールを消化中で、ヘリコプターの中であった。知らせを受けていらだった様子を見せたタンタンは、すぐにヘリを近くの村に着陸させたが、残念ながらその村には電話がなかった。かくしてタンタンは、もう一度電話のある村目指して離陸した。このタイムロスの間に、船は出港時刻を迎えてしまう。ロードスへ向けて出港した船を、業者を説得したタンタンはなんとか行き先をイスタンブールに変更させた。事件は、世界中に知れ渡った。NBCはイスタンブールの3000人を超える男娼を例にあげ、オスマン帝国風習の名残と評した。「オフィシャルな赤線がある国において、ポリスは男娼一掃にやっきになるが、一方で手術によって性転換した歌手ビュレント・アクソイは国民に愛されている。」英国デイリーテレグラフは、こうだ。「トルコでは一般的に同性愛者は許容されている。それおころか、最も人気のあるアーティストやタレントも同性愛者である。一方、トルコ政府からアメリカ人ゲイたちに謝罪はなされていない。大統領セゼルとクリントンの会見でも、この件に関する発言があるであろう」ガーディアン紙は「これは人間の権利を踏みにじる行為だ」というトルコ人の意見を取り上げ、地元民のなかでも特に旅行業関係者からの非難が激しいことを伝える。「同性愛者のアーティストたちが人気を博す一方で、一般の同性愛者達は重圧下に置かれている。」同性で法的に結婚できる国は、世界には幾つかある。だが、トルコのように性を名実ともに変更してしまって(例えばビュレント・アクソイのように女として)、結婚できる国は幾つあるのだろうか?進んでるのか、遅れているのか。良く分からないトルコゲイ事情、トルコ政府の正式会見が待たれる。

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