トプカプ宮殿宝物殿新装オープン

公開日 : 2001年08月20日
最終更新 :

トプカプ宮殿の見所の一つである宝物殿のリノベーションは、予定を少し遅れて終了した。新装オープンが間に合わず、残念な思いをした観光客も多かったことだろう。

さて今回のリノベーションは、トルコ国内では例えばメゾンフランセーズなどのインテリア雑誌や建築雑誌にも取り上げられていた。スポンサーがgilan、設計施行がT-mimarligiだったからである。GILANはトルコ屈指の宝飾メーカーでデ・ビアスみたいなイメージで売っている会社、T-のほうは雑誌などにも良く登場するおしゃれな建築事務所といったところ。それが質実剛健なトプカプサライの中のあの宝物殿をどのように変えたのか、それが一般の興味をそそったのだ。

オープンした宝物殿は4つのパートに分かれている。以前のエメラルドの部屋等の名称は取り払われ、単に1~4という数字が振られている。以前と比べ、暗めの部屋の壁にメタルとガラスでできたショーケースが整然と貼りつき、ライティングの様子は博物館というより宝石商を思い起こさせる。中央には6角形のビロード張りの大きなソファーがあるだけで空間にはずいぶん余裕がある。意外と簡素。それが私の第一印象で、そして正直なところがっかりしてしまった。

シンプルシックないまどきのデザインを狙ったのだろうが、すべての展示物が壁に貼りついてしまったため、例えば玉座の裏側は見えない。観光客の動きも壁に沿った移動に制限されてしまうから、そんなに入場者がいなくても混み合ってる感じがして見にくい。そして、約1000点あった展示物は190点に限定され、随時入れ替え(といっても現在次の入れ替え予定は1年後らしいが)となった。その上、ハーレムと同じくここは、トプカプ宮殿入場料とは別途の鑑賞料が徴収されることになってしまったのだ。

現在トプカプ宮殿の入場料は7,000,000TL(約650円)。ハーレムは4,000,000TL(約380円)、宝物殿は5,000,000TL(450円)である。ここだけで約1500円の出費になってしまう。しかもインフレの激しいトルコのこと、今のレートで計算するからこの値段で済むのであって、ちょっと前までのレートであったなら日本円換算が2000円超えていても不思議ではない。入場料改定直後なら2500円相当になることだって、ありえる。これはさすがに高すぎないか?少なくとも私は、新しい宝物殿がこの新料金に見合うとはとても思えなかった。今までタダだったのにという思いや、何十回と訪れた私には見慣れたものだからという点を冷静に取り除いて判断したとしても。

日本からトルコへのグループツアーは安い。販売の過剰競争の泥沼に入ってしまったからで、事実上現地受け入れ機関は赤字での販売を行っている。参加した観光客たちが払った旅行代金が、例えば宿泊したホテルが現地の受け入れ機関に請求する価格を下回るというばかげた現象があふれかえっている。そこへまたこういったコストの値上がり。もはや経費を削減する余地はないというのに。

世界3大料理に数えられるトルコ料理を、まずかったというグループ観光客は結構いる。限界を超えた低価格化は、いずれサービスやクオリティの低下を必然的に連れてくる。それは、トルコの人気の獲得には決してつながらないだろうに...日本語ガイドが集まると悲しいかな、そういう話題は頻発する。

出口はあるだろうか。

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