トルココーヒーのご神託

公開日 : 2002年01月25日
最終更新 :

10年ぶりくらいに日本で正月を過ごし、おみくじなんぞも引いてみた。中吉。わかるようなわからないような微妙ないいまわしを、いいように解釈する。今年もいい年に違いない。

さて、女性の占い好きは万国共通のようで。トルコの女達も占いは大好き。イスタンブールの原宿、オルタキョイを散策するとタロットの看板を見かけるし、イスティクラル通りのパサージュにもインド風の占い屋がある。中でもトルコでもっとも多く行われる占いといえばコーヒー占いであろう。

コーヒーと言ってもトルココーヒーは、日本のコーヒーとはちょっと違う。ジェズベと言われる小型の鍋に、細かくひいたコーヒー豆と好みの分量の砂糖と水を加えてかき混ぜ、火にかけて急速沸騰。ぶくぶくと泡を立てて沸騰したところで、小さなデミタスカップに注ぎ込み、コーヒー豆の沈殿を待ちながらゆっくりすする。イタリアにコーヒーを伝えたのはトルコだというから、エスプレッソの原型とも言える。

このトルココーヒー、濾さないわけだから当然カップに沈殿物が残る。これを使った占いがコーヒー占い。飲み終わったコーヒーのカップにソーサーをさかさまにして乗せ、数回円を描いてからくるりと上下をひっくり返す。カップが冷めるまで待ってからあけてみると、沈殿物が流れ落ちる際にカップの中に模様を残している。これを霊感のあるトルコ人に見てもらうのだ。

女達が寄ると必ず一人は占いがあたるという人がいて、悩み事がある人は毎日のように見てもらったりする。おばさんも少女もそれぞれに、悩みは尽きないものである。私はもともと占いなんて信じない現実主義者だったのだが、イズミールでホームスティしていたお宅のおかあさんに何でもズバズバ言い当てられてしまい、ハマってしまったのだ。近所でも評判らしく、あちこちから伏せたコーヒーカップを手に訪ねてくる人がいたものだ。数年後、まだ40にもならずに彼女は亡くなってしまったが、そんな運命の与えた霊感だったのかとあのときだけは怖くなった。あれ以来、あちこちで試みるがいまだ彼女ほどの人には会えずにいる。そして彼女の予言した年に、彼女の予言したイニシャルの人と、私は結婚したのだ。

知り合いのうちに泊まったときのこと。たまたま来ていたそこの親類のおばさんが、占いが出来ると言うので、みんなでコーヒーを淹れカップを伏せて、順番を待っていた。そこへ帰宅したほんのりいい気分のよっぱらい父さん。小学生の末娘のカップを開けて、「おお、大きなパンダが見えます!」

占いを台無しにされて泣いてしまった娘に、「だってこんなの嘘ばっかりだよ」とちょっと困って隣の部屋に消えた。

オヤジの無粋も万国共通?

おみやげには銅や真鍮でできたジェズベや小ぶりのカップに加え、

トルココーヒーの淹れ方を印刷したTシャツが登場。グランドバザールなどで。

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