伸びるアイスクリーム

公開日 : 2002年02月15日
最終更新 :

ドンドルマに関する問い合わせが急増している。ドンドルマとは直訳すると凍らせたもの。トルコでは一般的にはアイスクリームを指す。この寒いのに、と思うけれど、充分に暖まった部屋で食べるアイスクリームの味はまた格別。

トルコのアイスクリームは見た目は普通だが、スプーンですくってみるとちょっと変わっている事がわかる。餅のように粘り気があって伸びる、のだ。これは原材料から来る特性で、サレップという白い粉を使う。植物の根っこを乾燥させて粉にしたものだというから日本の葛に近いかと思われる。練れば練るほど粘り、粘れば粘るほどおいしいというから、夏になると現れる民族衣装を着たアイスクリーム売りは、一日中長い金属棒でこの冷たい餅をついている。

このアイスクリームの本場とされているのがカフラマン・マラシュと言う町。ここに元祖と言われる店があり、そのドンドルマの固まりは、天井につるしてナイフで切りとってサーブされる。ドイツの食品博覧会などでも注目を集めたらしい。そのドンドルマが日本でも一部で人気が出始めているという。

カフラマン・マラシュの元祖店では、冬場はお目にかかれないらしいが。

マラシュ・ドンドルマのチェーン店MADOは、今ではイスタンブールのあちこちに支店を持っている。フルーツやナッツを加えたオリジナルフレーバーを常時何十種類もそろえたおしゃれなアイスクリーム店だ。果汁を加える分粘りが足りなくなるフレーバーもあるが、少し溶けかけの食べごろになったころに試すと、明らかに普通のアイスとは食感が違う。チェーンではない店でも時々面白いフレーバーに出くわす。ナスのアイスであるとか、鳥の胸肉入りのアイスであるとか。なかなか奥が深いのでいつまでたってもアイスクリーム屋通いがやめられない。

ただ日本ではトルコでは見られないフレーバーが流行っているように聞く。辛い、のだ。薄いオレンジ色をしているのは、粉状のとうがらしが入っているから。最初甘くてのどごし、カッと辛い。日本国内のトルコ料理店では定番のこのアイスクリーム、逆にトルコではいまだに見たことがない。聞いてまわったところ、一人のおじさんがかろうじて知っていた。「昔、タトルセスラフマジュン(トルコピザの一種ラフマジュンのファーストフードチェーン)で売ってたよ。今はないけどね」

つまり辛いアイスクリームは遠く日本に輸出され、本家とは切り離されたおかげで生き残ったものであるらしい。私を含む辛いドンドルマファンの皆様。

どうぞあれだけは日本で堪能していらしてください。

1423.jpg

サレップは最近はとても高価なものになった。スーパーで売られている簡易サレップなどはコーンスターチと粉乳のミックスだが、それはそれなりに楽しめる。牛乳に加えて固める粉末のドンドルマ・ミックスもスパーで入手できる。100円弱。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。