焼きたてスィミット

公開日 : 2002年04月03日
最終更新 :

アメリカや日本でも人気のベーグルといえば、元々はイスラエルのパンとして知られている。イスラエルを観光で訪れた時も、確かにドーナツ型のパンを山積みにした屋台は良く見かけたが、レストランで出されるものではないようであった。そしてベーグル好きの私が、走って買いに行かなかった理由がこれである。「だって、あれはスィミットじゃないの」

トルコの街角に春夏秋冬、必ず出ている屋台がある。スィミット売りだ。ドーナツ型の柔らかいアチマ、もっちりとした生地にごまが香ばしいスィミット、目のような形の薄甘い味のクッキーであるチャタールの3種をガラスケースの中に並べて売っている。市の公定レートがあるようで値段表を提示している屋台も多い。1つ20―30円の気軽な軽食だ。朝食と4時ごろのおやつに買われることが一番多いのか、その少し前に焼き立てのスィミットを乗せたトラックが各屋台に配り歩いている。流しのスィミット売りもいる。その呼び声が聞こえると、私がはじめて勤めたアットホームなトルコの会社では、部長がお茶汲み(そういう専門職があるのだ)に命じて、焼き立てかどうかを確認の上全員に振舞ってくれたものだ。淹れたてのチャイとスィミットで取るほっこりとした休憩。それは日本の会社にいた時でいうならば、ヤクルトや小岩井乳業のオフィス訪問販売にあたるだろう。

ベーグル専門店もあるにはあるイスタンブールなのだが、味のほうはアメリカや日本に遠く及ばず、これならスィミットのほうがずっと安くておいしいというのが本音である。これから日が長くなって、街のカフェは野外へ通路へ溢れ出す。タキシム公園に並べられたテーブルで、チャイとスィミットを楽しむ毎日が,もうすぐそこまで来ている。

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