トルコ式テキにカツ

公開日 : 2002年06月05日
最終更新 :

ワールドカップが始まって、町には大型テレビを置くレストランが増えた。大型スクリーンでずっとユーロスポーツを流しているスポーツバーと言われるタイプのカフェバーを除いては、もともとはある程度地元の人が多い店にしかテレビは置いていないのが普通だ。要するにトルコの国内リーグ戦を見るのは泥臭くても、ワールドカップを見るのはスマートであるらしい。トルコ人の内なる欧米コンプレックスがここにも見えるような気がする。

トルコにとってもワールドカップ出場は40年以上の間があいた久方振りのことである。愛国心は強い民族であるから、思いは熱い。新市街イスティクラル通りにも歴代サッカー選手や現代の人気選手の広告塔が並び、中間点に当たるガラタサライ広場にはサッカーフェアの特設会場が設けられている。当然トルコ人選手が多く取り上げられているのだが、タキシムを背に一番奥のチュネル近くまで歩いたあたりで「ナカァタ(中田)」を見つけることができる。セリエAでトルコの人気選手ハカン・シュクルと一緒にプレーしている中田は、トルコでもなかなかの有名人だ。

そんな中、ついに先日トルコーブラジル戦が行われた。ランチタイムを少し遅らせてレストランでテレビ観戦するトルコ人は多かった。緒戦がグループ内で最強のブラジルとあって、実力差からの大量失点も覚悟されたものの、終わってみれば2-1。トルコは負けはしたものの大健闘であった。前半1点リードしたところで家を出てバスに乗ろうとした私は、テレビに釘付けでエンジンをかけようともしない運転手のおかげで遅刻してしまった。その夜夕食を共にしたトルコ人公務員の友人は、「前半上手く行きすぎて舞い上がっちゃったのよねえ...それにしたって前半の調子のままで行けば勝てたのに」と涙ながらに語り、いったいあなたも仕事中どこで観戦していたの?と喉まで出掛かった私の言葉を飲みこませた。下手にこの話題に触れたら今後の予測を聞かれるに違いないし、トルコに不利な言葉を吐こうものなら非国民(といっても私はトルコ人ではないのだけれど)とののしられかねない。くわばらくわばら、触らぬ神にたたりなしである。

さて、トルコ語では試合の勝ち負けを「食った」とか「食われた」という言い方をするのだけれど、日本で言うならテキにカツ、これをトルコで実践しているレストランがある。トルコ・マグドナルドは、ワールドカップの開始に先だってブラジル・メニュー、コスタリカ・メニュー、中国メニューを売り出していたのだ。トルコチームの試合は現在全て韓国で行われており、ここを勝ち抜かないと日本へは行けない。約400円のセットメニューは、ブラジルハンバーガーって何?コスタリカバーガーって何が根拠?中国パイってどんな味?と謎は尽きない期間限定メニューであるが、トルコ人の気合に付き合って、ここはひとつガブリとやってみる?

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