犠牲羊は電子メールの夢を見るか

公開日 : 2003年02月10日
最終更新 :

犠牲祭が始まる。今年一番の長ーい連休となったが、巷は戦争の話やらなにやらで辛気臭い。いや辛気臭いのは、降り続く雪と停電のせいか。

本来であれば明日から4日間が犠牲祭休みである。しかし、火水木金にまたがるということは10日の月曜日をお休みにしてしまえば9日間の連休が実現するわけで、イスタンブール証券取引所なんぞははやばやとお休み宣言をしてしまっている。個々の会社は社長の一存による訳だが、そこは有給を取るなりして、7,8,9日中にイスタンブール脱出を図る人は多かった。バスも飛行機も一席も残っていない状態で、まさに日本で言うお盆か正月である。金曜日の銀行はごったがえしていて、列はいつ果てるとも知れなかった。そこへ加えて、金曜日は朝から雨。夕方からはそれが雪に変わった。そして異常気象に弱いイスタンブールのインフラをもってして、夕方5時過ぎ、イスタンブールのヨーロッパサイドの電気はぷつんと途切れてしまったのである。

トルコの停電は,今度いつ来るとも知れないところが不安で辛い。ホテルのプールから出てきたばかりだった私は、こりゃタクシーもつかまらんと慌てて行き付けの喫茶店に飛びこんだ。交通は完全に麻痺し、アジア行きの船も運行を中止したと喫茶店には三々五々行くところのなくなった常連が集まってくる。銀行のATMも動かない。電気がないとエアコンもセントラルヒーティングのモーターも動かないわけで、こうなると原始的な石炭ストーブやガスストーブに群がってろうそくの火の元で、噂話でもするしかない。顔を出したイラク人のアディルに戦争がらみのきついギャグを飛ばしながら、狭い喫茶店はほのぼのとしている。(ほのぼのとしすぎて,私はお金を払ってくるのも忘れてしまった。届けに行かねば)

結局夜遅くに電気は回復した。やっと繋がったインターネットのニュースでは、明日から稼動する移動屠殺車の設計図が映し出されていた。今年の犠牲羊をインターネットで注文した人はどれくらいいるのだろう。GIMAというあるスーパーのインターネット店では、羊1匹44‐46キロとしてお値段249,000,000(2万円ちょっと)TLなり。

インターネットで買う犠牲羊と雪で停電するインフラ。この国は進んでいるのか遅れているのか。

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