スター誕生

最近のトルコで流行っているもの？それは、スター誕生。

先月までの約5ヶ月、週末になるとトルコ人の老若男女、全てが話題にするという化け物番組があった。名を、ＰＯＰ　ＳＴＡＲという。簡単に言うならば、オーディション番組だ。トルコ中から参加した未来のポップスターたちを、辛口審査員達がザックザックと切り捨てる。いわく「生まれてからずっとその歌、歌ってンの？」「本気でその顔でポップスターになれると思うわけ？」「何しに来たの？」...最初はとにかく数が多いから、予選は完全に審査員の独断。それからある程度、数が絞られてくると、視聴者票を集めたものは敗者復活ができるというルールが加わった。感情の振り幅が激しいトルコ人達のこと、審査員にねちねちと虐められた人にほど同情票が集まり、またまた来週もいじめられるというのが毎週続くというのに、これが段々と噂になり、皆が知ってる看板番組にまでなってしまったのだ。

決勝の12人は、もう決勝に残った時点で全員にファンがついていた。毎週２人ずつ、ここからは視聴者投票で消えていくわけだが、あいかわらずねちねちとした審査員のいじめに加えて、ますます盛りあがる要因がいっぱいのスター誕生のドラマ。なんと、この番組の人気の原動力ともなった奇妙な味が売り物のバイハンの殺人罪服役という過去がすっぱぬかれたり、最終決戦を争うことになった二人の片方が片方に恋してることを舞台上で告白したり...日本でなら、こんなうそ臭いヤラセとでもいうところだが、そういうところがあんまりうそ臭くならないのは、トルコ人が普段から安定しないドラマチックな人生を生きているせいか？？とにかく、この手のテレビは見ない私でさえ週末の勝敗が気になる、社会現象番組だったのである。

一つ受ければ類似品が出まわるのはどこも同じ。ポップスターは第２部をはじめたし、他局ではアカデミートルコという同様の番組が始まった。１部で人気を得たものはオーディションの最終勝敗に関わらず、新聞でその半生が連載されたり独自にコンサートを開くだけのファン層を得た。

週末、テレビをつけたなら、あなたも新しいトルコのスター誕生に立ち会えるかもしれない。