トロイの木馬

公開日 : 2004年05月31日
最終更新 :

ブラッド・ピット主演のトロイが公開されて数週間が経つが、トルコの記録を続々塗り替え中だ。まあ、予想できたことではある。トルコは私的意見で言うと国民総国粋主義だから、純粋に言うならトロイがトルコ民族の国ではなかったにしろ、現在のトルコの国内都市の歴史に触れた映画であるというだけで、受けることは目に見えていた。まあ、私がついラストサムライを観に行ってしまうのと同じことだ。

えっ?という人がいるかもしれない。そう、トロイの木馬神話やシュリーマンによる発掘物語は広く知られているが、その地が今のトルコにあることは意外と知られていない。地図上のイスタンブールから探すなら、エーゲ海に向かって左下に少し下りたあたり、チャナッカレの街の近くになる。チャナッカレには一応空港もあるようだがローカルな飛行機がたまに飛んでいるだけで、定期便がないので、基本的には陸路で行くしかない。イスタンブールから行ってもイズミールから北上しても約6時間かかるので、急ぐ旅ではなかなか組み入れにくい。イスタンブールーイズミール線をどちらかからもう一つへと抜けるルートが一番無駄がないと言え、宿はチャナッカレに取るのがいいだろう。6時間というのは夜行便に乗って眠れるほどには遠くもないので、多くの人にとっては昼間の移動になってしまうからだ。イスタンブールからチャナッカレ間はルートや季節によっては一面のひまわり畑が見れるし、チャナッカレからイズミール間にはベルガマ(ペルガモン遺跡)などの観光名所もある。

ただ、少しお勧めしにくいのはこの遺跡がエフェスなどに比べるとはるかに難解であることだ。再現されているものは少なくて多くの創造力を必要とするし、時代によって違う形態の遺跡が何層にも重なった構造なのだが、見る側に合わせて時代を追ってルートが作られているわけでもない。第4層のあとは第2層が露出していて、その後は第7層だというような順番で観光するわけで、よほど予備知識を入れ頭を整理していかないと、ただのがらくたに見えかねない。現在も発掘中の貴重な遺跡だが、一般向けかというとそうも言いきれないのだ。

分かりやすいのは、入り口近くに再現された木馬か?実家である奈良県唐子遺跡にも神話の通りに再現したという珍妙な塔が建っているが、分かりやすいのは分かりやすいが、なんとも...遺跡に建つ新しい建築物というのは、どうもそぐわない気がしてならない。

映画を機会にせっかく訪ねてみるのであれば、木馬とシュリーマン以外の、本当のトロイの価値と歴史、その構造について少しだけ知識を仕入れていくことを是非にお勧めする。そうすればトロイは、決してあなたをがっかりさせない。

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