治安ってなんだろう

公開日 : 2004年06月29日
最終更新 :

Nato 会議の真っ最中である。GELME BUSH(来るな!ブッシュ)のショッキングピンクのステッカーがべたべたと貼られたイスタンブールの街に、戦闘機やらヘリやらがバラバラと音を立てて飛び交い、2歳の息子は航空ショーに連れてきたかのように大喜びだが、他にこの会議を歓迎している一般人は見当たらない。タキシムに近いところに住む私達は、メジディエキョイ方面へのメトロも止められているし、あちこちでパスポートや鞄を見せなければ移動できなくなっており、かなりうっとおしい気分だ。「だいたい、こんな街のど真ん中でやるかっていうんだよ。セキュリティを重視するならどッかの島でやってくれよ。NYでもやりたいとでも言うのかい」と、NATO会議さなかに試験があり大勢が交通事情から遅刻を余儀なくされた学生達もブーブー。

厳重な体制にもかかわらず、またテロによる爆発があり世界中に報道された。イスタンブールでは観光とはあまり縁のない地域であったが、どうも移動中の誤作動であったらしい。こういう報道があると一気に旅行や出張を取りやめるのはアメリカと日本なのだそうだ。「治安が悪化しているようですが、大丈夫ですか?」という類の問い合わせも増える。観光業が国の基幹産業の一つであるトルコにとって、コレは痛い。

ただし、テロは一般的な意味での治安と関係あるだろうか?と私は思う。9・11は、ニューヨークの治安が急に悪化したから起こったのか?テロの標的の一つとして名指しされている日本の治安は、悪化していると感じられるのか?個人的にはすごく疑問だ。マルマラ地震の時には駐在家族の一時帰国を奨励した在トルコ日本企業でも、ここのところの爆発テロが原因で帰国した人というのはあまり聞かない。現地で体感する治安に変化はないと思う。アメリカ人は世界のどこかでテロが起こると、とにかく国内だろうが海外だろうが移動が減るらしい。それは場所的な治安ではなく、自分達が標的とされているという危機感があって見知った土地を離れないのであろうし、ある程度沈静化すると動き出すのも早い。これは日本とは対照的である。日本人はテロが起こると、その国や周辺地域の治安が極度に悪化したと考える。そしてほとぼりが冷めてもなかなかその土地には足を向けようとしない。

イスタンブールからNYまで飛行機で約10時間。東京まで約12時間。事件の数分後には地球の裏側までニュースが届く今の時代に「遠いから様子がわからないのだ」という説は説得力がない。イスタンブールは決して治安が悪いところではないと、どうしたら伝えることができるのか、治安についての質問が来る度に私は頭を抱える。

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