オバマのトルコ訪問

公開日 : 2009年04月07日
最終更新 :

やたらあちこち、通行止めで動きにくいったらありゃしない。オバマ大統領がトルコを訪問中なので、本来の宿泊先まわりやダミーの宿泊先まわりや通行予定の場所につながるあらゆるポイントが、封鎖リストに入っていて、知り合いの弁護士は、オフィスに行くのをあきらめるといっていた。うーっむ。こんなに市民の日常生活に支障をきたすのは、法王が来たとき以来か。この前、日本の皇太子が来ていた事なんて誰も知らないが、さすがにアメリカ大統領ともなると違うか。しかもG20、NATOとトルコ首脳も巡業しているので、トルコのテレビに映りっぱなしだもんね。

トルコにはアメリカ嫌いが多いが、オバマは私の周りでは結構好かれている。かわいい、というような理由も多くて、まだ手腕のほうはわからないから、という気もするけど。それでも、私がこの3日間で会ったトルコの一般市民6人がみんな同じ言葉を口にした。「来なきゃ良かったのに。何で来たのよ、オバマ」。

日本の新聞にも、オバマ初のイスラム教国訪問、というような文字が並ぶのだろうか。少なくとも私の周りのトルコ人は、トルコがイスラム教国と呼ばれることを非常に嫌う。「それなら、イラクとかアフガニスタンとかに行ってくれれば良かった。私たちは共和国なのよ。これじゃ、トルコがイスラム国だって世界に宣言しに来たようなものじゃない」

トルコの英雄、初代大統領アタチュルクの偉大なる遺産であるトルコの民族主義とか、アメリカはトルコのEU加盟を強く支持するという発言は甘い言葉だけれど、アメリカはイスラムの敵ではないという言葉をここで言って欲しくなかったようだ。今のトルコ与党は宗教色が強いから、ただでも国民はイスラム的なものにぴりぴりしている。G20などの首脳会議でファーストレディたちの間に、スカーフをかぶった自国の首脳婦人がいることを苦々しく思っているトルコ人は本当に多い。たかがスカーフ、イスラム教徒なら当然だと受け止めないで欲しい。スカーフをかぶったファーストレディを持つなんて、トルコ共和国始まって以来初めての出来事なのだ。国是に反するという点では、例えば日本が徴兵制を導入するというのと同じぐらい重大な問題だ。

イスラム教徒であることとイスラム教国の国民になることは、トルコの人にとっては全然別の話なのだけれど、イスラム教で政教分離している国なんていうのは多分、トルコ以外にはないので、なかなか理解されにくい。この複雑なニュアンスが日本のニュースでは伝わるのかな?

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。