トルコとクリスマス

公開日 : 2011年12月31日
最終更新 :

昨夜はイスタンブールのブランド街であり、ファッションはじめ流行の発信地のひとつであるニシャンタシュに行ってました。

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去年は赤いじゅうたんを引き詰められたABDI IPEKCIどおりには、今年はルミネーションでできたたくさんの門が並んでいて、トンネルのようと表現する人も。すでに昨夜からまるで大晦日のような大盛り上がり。ツリーの横に作られた特設舞台では巨大なミラーボールが光り、ずんずん体に響く音響でDJが光と音楽のショーを展開してました。熱狂する人々が、赤ちゃんからおじいちゃんまで様々な年齢層に渡っているのが楽しい。私が一緒に行ったグループも17歳から75歳までいたし。皆で美容院でゴージャスにしてもらって、一緒にご飯食べてから繰り出して。寒さも吹っ飛ぶほど、街角で踊ってる群衆みんなが楽しそうにしてました。

ところで、昨日また日本人からこんな台詞を聞きました。

「トルコもクリスマスを祝うんですね」

うーん。違うよ。クリスマスは祝わない。この人たちはほとんどがイスラム教徒なので、彼らにとってキリストはたくさんいる預言者の1人にすぎない。彼の誕生日を特別に大きく祝うこともない。でもサンタクロースはいるし、ツリーも飾る。だってそれは、新年を祝う飾りだからね。聖ニコラウスとキリストの誕生日は本来関係ないのだ。以下は、昨日の新聞コラムからの抜粋。

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本当はたんすから出てきたんだよ。いや、冷蔵庫からだったっけ。

クリスチャンの行事とか何とか言われているけど、法王を含め誰も関心を払ってなんかい

なかった。そう、1930年まではね。アメリカのコカコーラ社は一日900万本売ってたけど、どうしたらもっと売れるようになるだろうと頭を絞って考えてた。そして、なにかかわいい宣伝キャラクターを作って、子供たちの関心を引くことにしたんだ。

当時一番才能のあるイラストレーターとされたHaddon Sundblomと契約。アメリカ芸術アカデミー出身のSundblomは移民の子だった。父はフィンランド人、母はスウェーデン人。

よく知られたようなカルチャーの中にはない、その日までにはたった一回1863年に白黒で描かれたことのある伝説の人物聖ニコラウスを題材に取り、白い髪、白いひげ、大きなおなか、丸々したおじいさんに変化させた。宗教色を薄めるために聖を取り去り、よりフレンドリーな感じがするといってサンタと呼び、サンタクロースを作ったんだ。世界中でもっともたくさんの宣伝費をかけたキャンペーンで、色はコカコーラの赤、白、黒に塗り、手首に白い縁取りのついた赤い上着、白いぽんぽんの着いた赤い帽子、黒いベルトと黒いブーツを履かせた。ほら、本人スカンジナビア出身だろ、子供たちの夢を膨らませるためにトナカイを加え、それに乗せて空に飛ばしたのさ。

コカコーラのセールスも空を飛ぶように売れた。新聞、雑誌、壁、パネル、ビラ・・・あらゆるものがこの可愛いキャラクターで飾り立てられた。ハリウッドに飛び火して、同じキャラクターで映画も作られた。その後発明されたテレビの時代になると、もはやポピュラーカルチャーの一部にしっかり根付いた存在となっていた。

この話を教訓とするならば...

サンタクロースの紅白はコカコーラの色であるとともに、トルコの旗の色でもある。

そして今日、一日17億本を売り上げるアメリカの象徴コカコーラの頂点に立つのは、1人のトルコ人。その頭脳で、アメリカで、アメリカ人の上を行ったMUHTAR KENTがその座についている。

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とまあ、最後はちょっと経済の話になっていく記事なんだけれども(コカコーラ社のCEOは現在トルコ人なのだ)、サンタを作ったのはコカコーラって話、ちょっとおもしろいでしょ。そして聖ニコラウスは、今のトルコの国土内にいたされる人物。彼が子供たちに施しをしたり、煙突から金貨を投げ込んだといわれるのは年越し、つまり大晦日です。

「トルコ人たら、24日過ぎてもクリスマスデコレーションをしまわないなんて、間違ってる」と思い込むのはやめよう。企業の思惑に踊らされて、間違ってるのはこっちかもしれないよ。国際化時代を生きていく子供たちにはこういうとこを教えて行きたいです。

美しく街を彩るツリーやサンタクロースとともに。

トルコからあなたに、A HAPPY NEW YEAR!

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