「第9地区」 南ア社会風刺と宇宙人の正体!?

公開日 : 2010年03月15日
最終更新 :

先々週末はキャスリン・ビグロー監督の『ハート・ロッカー』がアカデミー賞の作品賞と監督賞を受賞し、かなりの盛り上がりを見せていましたね。そのアカデミー賞作品賞に同じくノミネートされていたのが南アフリカで撮影された映画『District 9』、日本語タイトル『第9地区』です。日本でも公開間近!4月に公開予定とのことです。この映画は『ロード・オブ・ザ・リング』の監督がプロデュースしたことで有名ですが、米国や南アフリカでも話題を呼んでいます。

お話はいわゆるSF(サイエンス・フィクション)ですが、一味どころか、二味ほど違います。あらすじは、ヨハネスブルグ上空に突然現れた宇宙船からは栄養失調の奇妙な宇宙人たち。最初は難民として保護をされていた宇宙人たちも、人間との問題が増えていくことによって、宇宙人居住地区に隔離されていき...という話です。アクションあり、ユーモアあり、政治的要素もあり、一筋縄ではいかない映画です。

『第9地区』が普通のSF映画と違う理由の一つが、ストーリーのあちこちに含まれている南アフリカの社会批判です。例えば宇宙人が住む居住区「第9地区」は、アパルトヘイト時代に黒人の人々が隔離されていた居住区、また一昨年暴動問題に発展したジンバブウェ等からの移民が住むタウンシップを思い出さずにいられません。宇宙人たちに対する差別表現や超国家機関MNUの政策もアパルトヘイト時代を意識したものに感じます。

宇宙人が持つ武器に興味を持つナイジェリア人マフィアも登場し、まさにリアルな社会風刺映画と言えるのではないでしょうか。ナイジェリア人はアフリカ大陸では「悪さをする国民」との悪名が高いのです。ちなみにナイジェリアでは『第9地区』は放映禁止になったとの噂ですが...。

そして映画に出てくる宇宙人は"Prawn"(海老)のあだ名で呼ばれており、かなり気持ち悪い存在です。実はこの宇宙人、実際に南アフリカにいる生き物がモデルとなっているんですよ!

その生き物の名前はParktown Prawn(パークタウン・プローン)。「海老」という名前が付いていますが、実は海老ではなく昆虫のことで、「パークタウン」とはヨハネスブルグの郊外の名前です。「巨大なバッタ」とでも説明すれば良いのでしょうか。10センチくらい大きくなり、1メートルほどジャンプすることが可能です。壁も余裕で登ることができます。映画に出てくる宇宙人のように、黒い液体をお尻から出すことでも知られています。人間にとってはかなり嫌な虫です。

3度ほど(!)私の自宅でも出現したのですが、ゴキブリ・スプレーを5回ほどかけてもほどんど効果がありません。しかも大きすぎて靴やスリッパで踏むのは拒まれます。結局スプレーをしたあと外にホウキで掃き出したのですが、翌日の朝見てみるとまだ微妙に動いていました。すごい生命力です。怖いですね〜。

Parktown Prawn、一体どういう生き物なのか気になる方もいると思います。英語版ウィキペディアに写真が載っていますが、くれぐれもお食事前に見ないよう...かなり気持ち悪いので要注意です!クリックした後に「海老」を食べるのは無理でしょう...。

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