【世界遺産】マプングブエの丘・徹底ガイド たった70年間だけ栄えた南部アフリカ初の王国(その3)

公開日 : 2013年08月27日
最終更新 :

マプングブエの丘・徹底ガイドの3回目です。これまでの記事は下のリンクからどうぞ!

●【世界遺産】マプングブエの丘・徹底ガイド たった70年間だけ栄えた南部アフリカ初の王国(その1)

マプングブエ(Mapungubwe)訪問をオススメする7つの理由や交通アクセスについて書きました。

●【世界遺産】マプングブエの丘・徹底ガイド たった70年間だけ栄えた南部アフリカ初の王国(その2)

マプングブエ訪問には欠かせない、遺産ツアーの料金や申し込み方法、丘に向かうまでの足取りをまとめています。

さて、サファリカーを下車した僕たちは、丘を目指す途中に突然現れた緑色の屋根の前で立ち止まりました。すると、屋根がスライドして地下室のような展示室に早変わり。さっそく、参加者全員で下に降りて、セドリックさんの話に耳を傾けます。

巨大な穴に入って地層を見ながら歴史を学ぶ

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地下室風の展示室

マプングブエは長い間、その血を受け継ぐ住民以外には知られない存在でした。ただし、この遺跡はその歴史的な価値とは別に、19世紀の終わりからトレジャーハンター関心を引いていました。金が埋もれているとの伝説があったためです。

そしてついに1932年に、あるトレジャーハンターがマプングブエを「発見」します。トレジャーハンターに丘の場所を尋ねられた住民は、一旦は案内を断りました。神聖な場所に近づくことによる罰を恐れたためです。この住民は最終的には説得に折れて道を教えることになりますが、本人は丘に登らなかったそうです。

トレジャーハンターは丘の上で、王族と思われる3人の墓などから金や銅、ガラスビーズなどの工芸品を発見しました。これに同行していた彼の息子が、自身が卒業したプレトリア大学の教授に報告したことをきっかけに本格的な調査が始まり、歴史的な価値が見出されました。

ガラスビーズが語るアフリカとアジアの深い関係

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時代ごとに分類された出土品の数々

マプングブエは、歴史的に2つの大きな意味を持つ王国です。

1つは、13世紀におけるこの地域の産業に関する発見です。

出土した陶器やガラスビーズには、明らかにこの地域のものとは異なる、遠くは中国から輸入されたものが含まれていました。このことから、マプングブエはこれらの地域と直接的、間接的に貿易を行っていたことがわかります。

ところで、貿易商たちはどうやってこの地までたどり着いたのでしょうか。答えは川です。僕が見た川の姿からは想像ができませんが、当時のリンポポ川には水が豊富に流れていて、人やモノの行き来が活発だったそうです。

陶器やガラスビーズを輸入する代わりに、マプングブエは金を輸出していました。このことから、マプングブエが金の採掘地であるジンバブエ南西部を、何らかの形で押さえていたと考えることができます。

南部アフリカに誕生したはじめての王国

もう1つは、この時代の南部アフリカにおける王国の存在を明らかにしたことです。

最大で5000人の人口を抱えたマプングブエでは、身分によって居住地がはっきりと分かれていました。庶民はふもとに暮らし、丘の上に住むことを許されていたのは50人くらいではないかと推測されています。この「発見」は、王を頂点とする支配階級と庶民の間にはっきり線を引いた王国がこの時代に存在したことを明らかにしました。

では、王族たちは岩の上に住居を構えたのかというと、そういう訳ではないようです。なんと、約30メートルの高さがある丘の上にふもとから土を運んで整地がなされました。そして、すべて手作業で行われたこの重労働は女性が担ったそうです。

たった70年間で全盛期を終えたマプングブエ 原因は疫病

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マプングブエとその周辺地図(出典:Wikipedia)

このように、マプングブエは南部アフリカの歴史に大きな足跡を残しました。しかし、全盛期は1220〜90年のわずか70年間と、たいへん短いものでした。

ガイドのセドリックさん曰く「原因は疫病」。そして「新しい土地を求めて北上した一部の人たちが、世界遺産として有名なグレート・ジンバブエ周辺にたどり着いたのではないか」とのことです。

また長くなりそうなので、今回はこの辺りで。次回はいよいよ丘に登ります!

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