#31 スクンのタランチュラはコンポントム産!?〜女性掘り師に会いに行ってみた・その2〜

公開日 : 2019年07月04日
最終更新 :

コンポントムからこんにちは!

コンポントム特派員の舛屋彩子です。

前回は主に2月上旬に訪問した際の様子をお届けしたのですが、

今回は最新版(6月下旬)を。

前回は乾季の訪問且つ、蜘蛛たちの産卵期ということで

農家さん曰く、

「あまり数もいないし、大きさも大きくない。いるのは子供サイズばかり。」

とのことだったんです。

そして、

「次は5月〜6月に来たらいいよ!沢山いるよ〜〜」

なんて言っていたんですね。

今回、タイミングよく滑り込みで6月中の訪問が叶いました。

前回案内してくれたのはお母さんでしたが、

今回案内してくれたのはなんとその娘さんと、その従姉妹という可愛らしい二人。

あどけなさが残る少女たち、

ハンターするための武器(鍬)を片手に持ち、肩に乗せ

まるでRPGの主人公のような姿で畑に向かいます。

(かっこいい・・・!)

前回見せてもらった時に見たスイカ畑は田んぼになっており、

今回はまっすぐカシューナッツ農園へと向かいました。

まず、見せて頂いたのは前回見れなかったコオロギです。

一般的に我々が想像するサイズのコオロギは主に

養殖されていたり、畑にトラップを仕掛けるなどして捕獲しています。

が、今回は土の中にいるコオロギ。

私たちからしたらサソリなのかタランチュラなのか区別が付かない穴を容易く判別。

そして、掘る。

掘る女子.JPG

なんと驚くべきことに、穴の砂の盛り具合で

穴がどの方向に進んで掘られているか分かるんですって!!!

お母さんに習った経験知だとか。

明文化されずとも親から子に伝わっていく、彼らの暮らしのスキル、

素晴らしいです・・・!

「なかなかコオロギが出てこないときは、

穴に水を適量流し込むとあっぷあっぷしたコオロギがゆっくりと出てくるんだよ〜〜」

と同僚。

水投入.JPG

そして、

「喧嘩させるためによく捕まえて遊んでたよ〜。

 水を入れて15分くらい、コオロギが出てくるまで

 猫柳みたいな植物で周りを叩きながら遊んで、今か今かと待っていたんだ。」

彼の一言で、コンポントムの昔の自然豊かな情景が思い浮かびます。

水を流しすぎると、土砂のせいでコオロギが溺死してしまうらしいので

分量は注意です。

捕獲時のロギ氏を撮影するのを失念・・・

ペットボトルに入ってますが、こんな感じ。

ロギ.JPG

コオロギというより、バッタレベルの大きさ。

そしてお次はタランチュラ。

お母さんのように、一人が掘り進める。

そして、ある程度掘ったところで

絶妙なタイミングでもう一人が木の枝を一人に渡す。

枝パス.jpeg

小枝で穴を優しくほじほじすると・・・

出て来た!!!タランチュラ!!!

余裕の表情.JPG

そして手掴み。余裕の表情。

お母さんですら木の枝を使っていたというのに。

牙.JPG

牙部分、お分かりでしょうか?

ごっついですねぇ。

タランチュラは牙に毒があり、サソリに刺された場合によりも腫れる毒だとか。

小さい子供の場合は死に至ることもあるそうな・・・!

手掴みというだけでもこちらはハラハラ驚きだったのになんと、

牙取り.JPG

牙取りの儀式。(素手)

慣れた手つきで鍬の刃部分に牙を当て、

爪を押し当てて牙を切ります。(!)

これは前回見なかった神業!!!

少し危険なマジックを見ているよう。

取れた牙.JPG

この黒いのが取った牙部分。

じんわり見える液体が、なんと毒液。

毒液が体内にある時(脱牙前)は有毒で危ないモノらしいのですが

脱牙後にこのように出る毒は問題ないんだとか。(不思議・・・)

良薬口に苦しと言いますが、

薬にするときは牙は切らずにお湯に浸けるそう。

毒液部分が効果があるとのこと。

これもまた、不思議ですね・・・

タランチュラは基本的に1穴に1匹。

雨季から乾季に変わるとき、

卵を身ごもったとき、

そして1ヶ月に1回お引越しするそう。

一度お引越ししたら前の住処にはもう戻らない性質が。

しかし彼ら曰く、

いくら引越ししても見つけやすいのは変わらないんだとか。

理由はこれ。

巣穴.JPG

穴に張り付く蜘蛛の糸。

これは分かりやすい!!

前回ははっきりと見えませんでしたが

成虫ともなるとこのように入り口に蜘蛛の糸を張るのかもしれません。

そして、気になるオスとメスの見分け方も教えて頂きました。

丸くて大きく、足が短めなのがメス。

小さくて足が長めなのがオス。

(私にはよくわかりませんでしたが笑)

理由は聞きそびれたのですが、

雨季にはオスの方が見つけやすいんですって!

そして、オスの穴はまっすぐなんだとか。

寿命はオスもメスも変わらず。

大物.JPG

今回掘り当てたこのタランチュラ、

ものすごく大きいですが普段何を食べているのでしょうか?

聞いてみました。

「オンクローンやコオロギ、雨季だとミミズなんかも食べるよ〜〜」

と!

肉食なんですねぇ。さすがっす。

※オンクローン・・・アリの一種。赤茶色で大きい。

 酸味があるので、カンボジアではよく食されるアリ。卵も食べます。

 ちなみにその価格は米よりも高い。

そうこうしているうちに農作業帰りのお父さん登場。

お父さん.JPG

慣れた手つきでタランチュラを掴み、身体に這わせます。

後ろからね.JPG

掴み方のコツとしては、後ろから掴むのが良いそうですよ〜〜。

いやはや、今回は華麗な牙取り捌きを見せて頂きました。

コンポントムの昆虫文化、奥深いです。

暮らしに身近なタランチュラ。

コンポントムには暮らしの中に紛れ込んでいる面白さが沢山あります!

2稿に渡るタランチュラシリーズ、いかがでしたでしょうか〜?

今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました〜!

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。