【ネパール】藁のベッドの寝心地
ネパール極西部、インド国境近くに住むタルー族の知人宅を訪問したときのことです。
夜寝るときになって、知人宅近所の空き部屋があるという別宅に案内されました。
土塗の家屋がほとんどのなか、その別宅は最近建てたばかりというコンクリート造りの新しい家。ああ、気を使ってここに寝室を用意してくれたんだな、と部屋をのぞくと、そこには部屋いっぱい、背丈よりも高いくらいの藁が、うずたかく積まれているのです。
え?ここは藁置き場?それとも家畜小屋?
寝具も見当たらず不安に思っていると、知り合いはふたりがかりで、おもむろに身体全体で藁に飛び込み、押しつぶしはじめたのです。
↓押しつぶされた状態の藁
‥‥‥ますます訳が分からずぽかんとしていると、かなりつぶれた藁の上に大きな布をかけて、「このベッドでいいかしら?」というのです。
なるほど! かつてアニメのハイジで見たことがある「藁のベッド」というわけです。
今作ったばかりのふわふわの藁のベッド。なんて贅沢なのでしょう!
先ほど感じた不安は一気に吹き飛び、高揚に変わりワクワクが止まりません!
念のため持ってきていた寝袋も使ったのですが、藁のベッドはふわふわであたたかく寝心地もよかったです。
ちなみに家族の多いこの家庭では、客用だけではなく日常使いのベッドも「カティヤ」と呼ばれるネパール南西部で使われる家具の上に藁をのせたものを使っていました。
↓どの家庭にもあるカティヤ
↓カティヤに藁を乗せ布をかぶせたベッド
その土地や民族の慣習にあった、昔ながらの素朴な暮らしが残る村はネパール各地にたくさんあり、私もいろいろな村を訪れていますが、藁布団に寝たのはこの時が初めて。
藁布団の寝心地が忘れられなくて、ここを訪れるときには必ずリクエストしています(笑。
筆者
ネパール特派員
春日山 紀子
2000年よりカトマンズ在住。
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