島のウニ獲り体験
コルチュラまわりの海のいたるところで、黒光りしたトゲの生き物を目にしてはいたのですが、これは現地人曰く「食べられないウニ」。それからしばらくして、素潜り用のマスクやウニを割るための道具があることをきいて、観光シーズンの落ち着いた9月下旬、気温も風もすっかり秋になった頃、ウニ獲りにいってきました。
コルチュラ島から船で15分ほどの無人島へ、コルチュラ島に別荘を持つ友人家族総勢8人ででかけたのですが、終始とても慣れた様子でした。大きな食料袋やお酒を手際よく船に積んで、真っ白なテーブルクロスをかけて、次々と食べ物を並べたり肉を切ったりと、彼らにとっては日常と地続きのピクニック。わたしにとってはどれもこれも新鮮な異文化ピクニック。
陸に着いてからは各々、ごはんの準備をしたり、さんぽがてらゴミを拾ったり(捨てられていたゴミがたくさんあってそれを当然のように拾い始めていた)、ウニを獲ったりしていました。
ウニチームは、水中マスクと果物ナイフという超身軽装備で沖から泳いでいき、姿が小さくなったあたりで潜って獲っていました。潜り始めて1時間もしないうちにバケツはウニでいっぱいになって、大きなハサミを使ってその場で割ってみると、鮮やかなオレンジ色のウニが、剥いたみかんの皮みたいな形で入っていました。5つほどのかたまりのうちひとつを人差指でそっとすくって(失敗するとぼろぼろにくずれる)、レモンを絞りかけていただくと、甘くて濃厚で大興奮。限りなく透明に近い綺麗な海水ですくすく育てられたウニは、塩気もちょうどよくてレモンの酸味が確かに効く。大自然ありがとうございますひれ伏しました。よくよく観察してみると真っ二つに割られてもなおトゲはゆっくり動いていて、紫だったり薄い黒だったり様々な色で、入っているウニもトゲの色に対応してるのか、オレンジの濃さや黄土まじりの色など選り取り見取りでした。
慣れている大人達は満月の日はウニの入りが最高だとか、片手でレモンを絞りながらパンと赤ワインを器用に持って話していました。ウニを食べ続けていると手はオレンジ色になって、ベトベトしてくることもはじめて知りました。なるほど、だから人々はスプーンを使ってるわけです。
それから、岩に張り付いている小さな貝のようなものも食べられることを教えてもらいました。果物ナイフで岩から貝を採って、貝殻でぐるりとえぐって身を剥がして食べていて、正直グロテスクな吸盤にしか見えませんでした。それでも、日本人はこういうの好きだろ?と差し出されたので、目をつぶって恐る恐る噛むと、これは、ホタテの貝ヒモ。コリコリとした食感がたまらなくて、ほんのり海の味がしました。これまた慣れている大人達が、小さい頃はきれいに洗ってアクセサリーにしたよねあるあるで盛り上がっていました。
天気も良くて、気持ちいいくらいに晴れた秋の昼下がり、10年分くらいの量のウニを食べて、こんなこともあるんだなあと形容しがたい気持ちに包まれました。ウニを獲って食べることはここコルチュラ島では珍しいことではなく、実際彼らは獲り方も割り方も知っていて、ただレストランなどでは見かけないのは趣味にとどめているからなのか、食用で提供できない制限があるのか、需要と供給問題か、わたしにはわかりませんがウニを獲って食べたというコルチュラ島での新体験でした。
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