海外旅行・観光情報の「地球の歩き方」TOP > 特派員ブログ > 日本  > 京都特派員ブログ > 石清水八幡宮 - 今も残る神仏習合の跡

日本国内/京都特派員ブログ 旧特派員 韮澤 成行

日本国内・京都特派員が現地から日本地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。

2009年2月 2日

石清水八幡宮 - 今も残る神仏習合の跡


メール プリント もっと見る

石清水八幡宮 - 今も残る神仏習合の跡

%90%CE%90%B4%90%85%94%AA%94%A6%8B%7B.jpg 今から700年ほど前、仁和寺の法師が勘違いして行きそびれ(『徒然草』第五十二段)、私もいつか必ず、と思っていた石清水八幡宮(京都府八幡市の男山山上)に先月ようやく行くことができました。年寄と言う割にこの僧は健脚で、仁和寺から片道20キロもの道を歩いて行ったようですが、私は電車で行きました。

%8D%82%97%C7%90_%8E%D0.jpg %83P%81%5B%83u%83%8B%83J%81%5B.jpg %8E%B5%8B%C8%82%E8.jpg

彼が本宮と間違えたのは山麓の極楽寺や高良(こうら)神社(写真上左)でしたが、極楽寺は既になく、高良神社ももう間違えるほどの様子ではありません。車で行くのでなければ山上まではケーブルカー(男山ケーブル。写真上中)で上るのが一番楽ですが、私は七曲り(写真上右)から大坂の参道を上って行きました。京阪電鉄の八幡市駅からは20分ほど(人によってはそれ以上)です。
途中、二の鳥居の手前から入る裏参道(太子坂)もありますが、急勾配の石段の連続なので上りではお薦めしません。


石清水八幡宮は平安時代の始めに奈良・大安寺の僧・行教が鎮護国家のため神託によって豊前(現大分県)の土着の神であった八幡神(宇佐八幡)を勧請したことが始まりとされ、都の鬼門を延暦寺が護っているのに対し、石清水八幡宮は武勇の神として裏鬼門を護ることになりました。


%91%EB%96%7B%96V%90%D5.jpg %8Ej%90%D5%8Ew%92%E8%94%E8.jpg %96L%91%A0%96V%90%D5.jpg

行くまではまったく頭になかったことですが、ここにはかつて「男山四十八坊」と言われたほど多くの宿坊があり、沢山の僧侶たちが起居し、八幡宮に仕えておりました。
僧侶が神に仕える!? はい、間違いではありません。わが国への仏教の伝来後、日本のネイティブの神と外来の仏とが融合する現象が生じ、各地に神宮寺が建立され、後に「神仏習合」と言われることになったのはご存知の通り。
その後「日本の神の本来の姿(本地)は仏であり、この仏が人々を救うため神に姿を変えて示現した(迹(=跡)を垂れた)のだ」とする説(本地垂迹説)が現れました。


石清水八幡宮の祭神はその名の通り八幡神(応神天皇を首座とする三座)ですが、このような考えからその本地仏は阿弥陀三尊とされ、名称も「石清水八幡宮護国寺」となり、八幡神は「八幡大菩薩」の異名をとるようになりました。そして出家姿の八幡神が造像されるようになり、今も東寺や奈良の東大寺、薬師寺などに「僧形(そうぎょう)八幡神像」として祀られています(いずれも国宝)。


日本の宗教の歴史は神仏習合の歴史とも言い換えられそうなほど長い神と仏の融合の時代があったわけですが、これを解消したのが明治政府の「神仏分離令」でした。そしてこれが神道家らなどによる暴走(廃仏毀釈)を招き、奈良の興福寺では僧たちが復飾(還俗)させられて春日社の神官になり、今は国宝になっている五重塔が売りに出されたという話は有名です。そして石清水八幡宮においても仏教色の排斥は例外ではありませんでした。


%90%F2%96V%8F%BC%89%D4%93%B0.jpg %8F%BC%89%D4%93%B0%90%D5.jpg %90%F2%96V%90%D5%91S%8Ci.jpg

今、多くの神社には神仏の習合があった気配すらありませんが、石清水八幡宮にはその名残が多くの宿坊や護国寺の跡として残っています。でもそれらの場所はほとんど荒れるに任せる状態になっていました。(写真左から泉坊松花堂跡の碑、松花堂の露地跡、泉坊跡全景)


%89%F0%90%E0%94%C2.jpg ところで「松花堂」といえば今では弁当の方が有名になってしまいましたが、もとは江戸時代の文化人として名高い僧(社僧)・昭乗が住んでいた泉坊にあった庵の名前です。現在、松花堂は男山の南、八幡女郎花(やわたおみなえし)に八幡市立松花堂庭園・美術館となって残されています。


石清水八幡宮とその周辺には見所が沢山ありますが、神仏習合の形跡を目にしたことは少なからぬ驚きでした。そして神と仏は別の存在であるのが当り前の現在から見て、往時は神前で読経がなされ、境内には香の煙と匂いが漂っていたのかも知れないなどと想像すると、ただただ奇怪で不気味な感じさえします。


%90%CE%90%B4%90%85%8E%D0.jpg %83%93%8BL%94O%94%E8.jpg %83%93%8B%B9%91%9C.jpg


(写真上左:石清水八幡宮の名前の由来となった摂社の石清水社。鳥居正面の泉殿内部に清水が湧いています。鳥居の右が石清水社本殿。八幡宮の本宮は泉殿の背後の山上にあります。 写真上中:エジソン記念碑。アメリカの発明家エジソンが白熱電球のフィラメントに男山の竹を使ったことを記念したもの。京阪電鉄の八幡市駅前にはエジソンの胸像があります(写真上右))

記事の商用利用を希望される際はコチラからお申し込みください。
カテゴリー 見所・観光・定番スポット
2009年2月 2日
« 前の記事「三十三間堂大的全国大会」へ
»次の記事「知ってました?」 へ
おすすめ記事
    京都特派員 新着記事
    初冬を彩る嵐山花灯路「渡月橋」
    Xmas近づくUSJ
    光に浮かび上がる竹林の小径「嵐山花灯路」
    「USJ」・圧倒的なクリスマスツリーと光の世界
    ただただ見つめてしまう「地蔵院」の深秋景色
    大きな絵馬は、来年の「戌」
    晩秋の宝泉院「立ち去りがたい景色」
    参道に広がる紅葉!紅葉観光の穴場「鹿王院」
    1年前の同じ月に投稿された記事
    早春の草花展 -府立植物園-
    徒歩でトボトボ - 四条通と烏丸通 -
    顔洗って下さい
    雪国京都
    カンデンデン - 壬生狂言 -

    近畿旅行 旅スケジュール

    旅行者の作る、新着!旅スケジュールをご紹介します。 ■京都府の旅行記・口コミ「旅スケ」へ

    日本国内特派員ブログ一覧

    ニセコ・北海道三宅島三重与論島五島列島京都佐賀八丈島函館北海道南三陸南島原和歌山埼玉大崎上島・広島大阪奈良宮古島富山小笠原山形広島徳島房総・千葉新宿新潟札幌東京東京2東京3松前栃木横浜・神奈川沖縄沖縄2湘南滋賀神戸神戸・兵庫福井福岡福島種子島能登茨城軽井沢・長野金沢釧路長崎長野青森香川鶴見大島・大分鹿児島

    日本国内にもどる

    • 特派員プロフィール
    • 京都特派員

      京都特派員
      韮澤 成行
      東京の出版社を退職後、京都に転居。これまでは本の中の話でしかなかった歴史上の出来事が、ここには形跡とは言え今も身近に数多く残っており、現在も遠い過去もいつも並存しているような気がしています。京都には平安時代の初めに実在した人物が、ある寺の井戸から毎夜、冥界に通ったという言い伝えがあります。私も千年昔に行き来できるタイムトンネルを見つけたいと思っています。

    • リーダーに登録

    地球の歩き方Web特派員募集