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日本国内/京都特派員ブログ 旧特派員 韮澤 成行

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2009年4月 9日

京都一周トレイル 東山コースの歩き方


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京都一周トレイル 東山コースの歩き方

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清水山は私に取って京都のシンボルの一つ。普段は見上げるだけでしたが、頂上まで登れると知った途端、絶対に行ってみなきゃ!と思い続けてきました。そして「どうせなら…」と一時凍結していた京都一周トレイルの実行計画を解除。地図と解説書を揃え、体験者のブログを読むに従って気持が熟してきました。暑くなってからでは嫌なので、3日に清水山を含む東山コースの前半部を歩いてみました。

全長約75キロメートルの京都一周トレイルのコースは4つに分かれています。京阪電鉄の伏見稲荷駅から比叡山のケーブル比叡駅までの東山コース(約25キロメートル)。ケーブル比叡駅から鞍馬街道の二ノ瀬までの北山東部コース(約18キロメートル)。ニノ瀬から清滝金鈴橋までの北山西部コース(約19キロメートル)。そして金鈴橋から阪急電鉄上桂駅までの西山コース(約13キロメートル)です。


%83K%83C%83h%83%7D%83b%83v.jpg 今回のコースは京阪伏見稲荷駅→稲荷山四ツ辻→泉涌寺(せんにゅうじ)→阿弥陀ヶ峰(山麓通過)→清水山→東山山頂公園→粟田口で、総延長約10キロメートルを4時間で踏破する計画です。
以下に歩いた感想とコース沿いの見所をご紹介します。(左の写真は「京都一周トレイル東山コースガイドマップ」から。赤い線がトレイルコース)


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当日は午前中から始める積りが大分遅れてしまい、伏見稲荷駅に着いたのは正午過ぎ。コースの要所には標識が立ててあり、駅前の踏切際にあるのが東山コースの起点を示す「東山1」(写真上左)。このコースの始めの部分はまさに稲荷山の参拝ルートそのもので、四ツ辻までは他の参拝客と一緒に歩くことになります。四ツ辻から荒神峰へ上る石段の途中から左に折れて参拝客と別れ、巨石を祀る御幸奉拝所(写真上中)を過ぎると見るものはなくなり、あとは山を下りるまで舗装された一本道をまっしぐらです。


%93W%96%5D%8F%8A.jpg 荒神峰の頂上には展望場所があり、京都市街の南部や西部を一望できます。時間と体力と気力に余裕がある方は一周30分の「お山めぐり」 もいかがでしょうか?


%8C%F6%8E%AE%95%E2%8F%95%95W%8E%AF.jpg %95%E2%8F%95%95W%8E%AF.jpg トレイルコースは住宅地も通過するので、住民の迷惑にならないように歩く必要があります。行く前に何度も地図やGoogle マップの航空写真で、そして可能な所はストリートビューでもコースを確認していたにもかかわらず、街の中ではルートを見失うことがありました。そのうちトレイルの標識を探すことが目的のようにさえなってきます。
オフィシャルな標識の他にも非公式の補助標識があちこちにあり、これには大分助けられました。裏を返せば街中のルートは正規の標識だけでは分かりにくいということです。歩行に支障はありませんが、標識に関しては撤去されていたり番号が変わっていたりして、実際と公式のガイドマップに違いが生じています。


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稲荷山を下りてきた先が真言宗の泉涌寺(写真上左)です。ここは皇室ゆかりの寺で「御寺(みてら)」と呼ばれ、歴代の天皇や皇族の陵墓があります。コースを逸れて泉涌寺参道脇の月輪(つきのわ)中学校とグラウンドの間の道を入ると、突き当たりが泉涌寺塔中の悲田院(写真上中)。それほど高くはありませんが、境内からの眺め(写真上右)は中々のものです。思い返すと全行程中、腰を下ろしたのはここのベンチだけでした。


%8D%A1%8CF%96%EC%8A%CF%89%B9%8E%9B.jpg 泉涌寺の北には同じく泉涌寺塔中の今熊野観音寺があります。この辺りから北の一帯は鳥戸野(とりべの)と呼ばれ、平安時代中期以降は皇族・貴族たちの葬送の地でした。これに対しここより更に北の、阿弥陀ヶ峰の北西の地(現在の大谷本廟の辺り)は、これも一字違いの鳥辺野(とりべの)と呼ばれ、こちらは庶民の葬送の地でした。『徒然草』第七段に「あだし野の露消ゆる時なく、鳥部山の煙立ち去らでのみ住み果つる習いならば…」と書かれた所です。
西国三十三所観音霊場の第十五番札所である今熊野観音寺は自然に恵まれた場所にひっそりとした感じで立っていますが、大勢のお遍路や女子中学生たちで大変賑わっていました。


%92%B9%8C%CB%96%EC%97%CB%8EQ%93%B9.jpg %92%B9%8C%CB%96%EC%97%CB.jpg 今熊野観音寺を過ぎて5〜6分行くと一条天皇の皇后で清少納言が仕えた藤原定子や皇族たちの墓、藤原道長を始め平安貴族たちの火葬塚などがある鳥戸野陵があります。道から大分上がった場所でしたが、こうした所へは再び訪れることがないかも知れず、折角なので見なきゃ損みたいな思いもあったので寄って来ました。途中に注意書きがある通り、角が鋭い石段には転んだらただでは済まなそうな怖さがあり、また参道は靴底が敷石に引っかかって歩きにくく、ちょっと危険を感じる場所でした。


%8E%7D%90%82%8D%F7.jpg %8C%95%90_%8E%D0.jpg このあとは素晴らしい満開の枝垂れ桜の下を通り抜け、疳(かん)の虫封じで有名な子供の守護神・剣神社に参拝し、迷いながらも街中を抜けるとコースは再び山中に入ります。


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地下にトンネル(東山トンネル)があり、JR東海道本線が走っているなどとは想像すらできない阿弥陀ヶ峰は頂上に豊臣秀吉の廟(石塔)があります。4年前に大変な思いをして上ったことがありました が、トレイルのコースはこの峰の南にある山を西から東へと越えて、阿弥陀ヶ峰の東麓を北側の五条通(国道1号線)へと下りて行きます。
「どこへ連れて行かれるのだろう?」と思ってしまうほどひどく曲折した山越えの道は、今回歩いた中で最も長く感じられた部分です。途中で阿弥陀ヶ峰の方へ向かう道が分岐していますが、もしこの道を通って頂上へ行けるのなら、本来の参道である長い急な石段を上るよりは大分楽そうに見えました。(写真上左:清水山(中央)と阿弥陀ヶ峰(右)。昨年12月撮影)


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五条通は交通量が多く、車が高速で走り抜けます。歩道も信号もなく横断することはできません。コースは渋谷通(しぶたにどおり)へ迂回して地下道を潜ります。地下道を出た先に急な階段があり、これを上ると清水山の南麓にある「歌の中山」と言われる清閑寺の参道入り口に出ます。ここには壇ノ浦に沈んだ安徳天皇の父で、小督局(こごうのつぼね)との悲恋で名高い高倉天皇の陵があります。もう3時を過ぎていたので参拝は見合わせ、先へ進むことにしました。


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清閑寺を過ぎるといよいよ清水山の上りにかかります。山には上らず山麓の道をそのまま進めば清水寺の境内です。清水山も他の山と同じような樹間の道を15分ほど登れば頂上部に達します。途中の平坦な場所で何気なく振り返ると、道から奥まった場所に潅木に隠れるように立っている石塔が見えました。三重の塔で仏像が彫ってありますが、他には何も分かりません。何か謂れがあるのかもしれませんが…。


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清水山の頂上部(写真上左)には高木が密生しており、下界の音は良く聞こえてきますが眺望はまったく利きません。トレイルの標識から数十メートル林の中に入り込むと頂上(242.5メートル)を示す三角点(写真上中)がありますが、周囲との高低差は感じられない平らな場所でした。直下の清水寺が見えるわけでなし、ついに登れたというような感慨は湧いてきませんでした。


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頂上部を過ぎればあとは下るだけです。花が供えられた石仏の前を過ぎて2〜3分進むとコースは林道と交差し、清水寺の子安の塔方面へ下る道が分岐しています(写真上中。奥が頂上方面)。清水山はただ登れるというだけでなく、来て見るまでは思いもつかなかったほど整備されており、「一見に如かず」を実感しました。
頂上部から10分近く下ると「樹陰の広場」(写真上右)に着きます。ずっと狭い山道を歩いて来た後なので実に広い場所に感じられ、大きな開放感を味わいました。


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この広場には案内板や標識がいくつも設置されていて、清水の舞台方面に下りる道もあります。さらにコースを少し下った所には東山ドライブウェイにつながる広い道が通っており、東屋のある広場やモリアオガエルの産卵場所になるという貯水池などもあります。付近を歩き回って大分時間を費やしてしまいましたが、清水山は既に知り尽くされた山になっているようでした。


%90%CE%94%E8.jpg %94%E8%96%CA.jpg そしてここからは最後の上りです。東山山頂公園には10分足らずで着きましたが、公園の手前の坂の途中に場所にそぐわない感じのものがありました。高さが3メートル以上はありそうな大きな石碑です。先月、この辺りまで来た時に写真を撮って帰り、素性?は調べてあります。碑は明治の元老・井上馨(碑には井上世外とあり、世外は井上の号)の七言詩?を彫ったものらしく、裏には建立した経緯、建立者の名前や建立年月(明治43年8月)が彫ってあります。
当時は恐らく大勢の人々が集まって除幕式なども行われたのでしょうが、この碑がなぜ現在ある場所に立っているのかは分かりません。今は何の変哲もないただの道端にあるだけで、はなはだ場違いな感じがし、完全に打ち捨てられているような様子です。恐らく文化財としてどころか史料としての価値もないものなのかもしれません。ただ私としてはこういうものを目にするといらぬ好奇心が湧いてきます。


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山頂公園では駐車場脇の桜が満開でした。公園の展望台で市街を一望したら将軍塚大日堂を過ぎて粟田口に下りるだけです。初めての道ではないし、まだ日が高かったのであとはのんびり歩くことができました。最後の尊勝院への急な坂道は上るよりは遥かに楽ですが、急過ぎるので体が後ろに反り返り、足元が滑り易い姿勢になってしまうのでおっかなびっくり下りて来ました。


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読経の声がする尊勝院の境内を抜けて坂道を下り、粟田神社の参道を三条通に出たところで私のトレイル踏破はひとまず終了です。時刻は5時を過ぎており、計画よりも1時間オーバーの5時間かかりました。10キロの山道を歩いた割には意外にも疲れはまったく感じられなかったのですが、最初から顔が火照てるほど暑くて、かなり汗を掻きました。


平日だったせいか他のトレイラーらしき人には一人も出会いませんでした。休日には見るからにそれっぽい人たちが大勢歩いていますが、同じ山道を近くの?人が気軽な感じで散歩しているのに出会うと、気合の入れ方に落差を感じて拍子抜けしてしまいます。


トレイルコースでは水分の摂り過ぎは禁物です。コースにトイレはほとんどありません。でも清水山は私のお気に入りに追加です。ご参考までにこちら もどうぞ。


注)京都一周トレイルは1989年(平成元年)に当時の市長が掲げた「京都市健康都市構想」の一環として生まれた事業で、観光の振興と市民の健康増進を目的としています。コースのオープンは1994年(平成6年)。事業の運営は「京都一周トレイル会」(京都市、京都市交通局、京都市観光協会、京阪電気鉄道、阪急電鉄、京福電気鉄道、京都大坂森林管理事務所、京都府山岳連盟の8団体で構成)が主体となり、コースの調査、保守、管理等を行っています。今後も新たなコースを開設する予定があるそうです。

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2009年4月 9日
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      韮澤 成行
      東京の出版社を退職後、京都に転居。これまでは本の中の話でしかなかった歴史上の出来事が、ここには形跡とは言え今も身近に数多く残っており、現在も遠い過去もいつも並存しているような気がしています。京都には平安時代の初めに実在した人物が、ある寺の井戸から毎夜、冥界に通ったという言い伝えがあります。私も千年昔に行き来できるタイムトンネルを見つけたいと思っています。

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