祇園祭山鉾巡行

公開日 : 2009年07月19日
最終更新 :
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出かける予定の時間になっても見物場所が決まりません。とりあえず四条烏丸に向かい、途中でふと遠目にでも見られたら、そして写真の1枚も撮れたらと思い、注連縄(しめなわ)切りが行われる四条麩屋町へ行くことにしました。着いた時刻は8時少し前。四条通にはまだ目立つほどの見物客は集まっていませんでした。でもさすがに麩屋町の東側にだけは既に見物場所を確保した何十人もが巡行の開始を待ち構えていました。そして私も思いがけずいい場所を取ることができました。

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四条通は8時に車両が通行止めになり、見通しがよくなります。9時の巡行開始の直前に、前々日に建てられた斎竹(いみだけ)に注連縄が張られ、巡行路に清めの塩が撒かれました。場内放送も何の合図もありません。でも先頭の長刀鉾は確実ににやって来ました。進路を遮って空中に張られた注連縄の手前で車方が車輪の下に車止めを入れ、鉾を急停止させました。

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いよいよ鉾が神域に入るために結界を解く注連縄切りが始まります。稚児の前に台が据え付けられ、手鉤で手繰り寄せられた注連縄がその上に置かれました。稚児が禿(かむろ:稚児の補助役)から受け取った太刀を鞘から抜き取り、介添え役に助けられながら決まった所作を行った後、頭上に振り被りました。

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年にたった一度だけの瞬間。しかも私に取っては初めての場面。連写モードにしたカメラを構え、失敗してなるものかとファインダーを覗いていると、胸がドキドキして手のひらが少し汗ばんできます。こうして撮れたのがご覧の写真です。縄が切れる瞬間を捕らえることができて本当にラッキーでした。大満足です。

真剣で物を両断するなど大変怖いこと。しかも一番の見せ場。縄が切れる瞬間、稚児は目をつむってしまいました。つられて?禿君も目をつむってしまっています。最後のカットの、縄が切れたのを見た時の稚児のホッとしたような表情が印象に残ります。

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これまでなら同じ場所で最後まで見物していましたが、今回は色んな場面を見たくなり、特にくじ改めを見てみようと、しばらくしてから烏丸通方面に向かいました。四条堺町の「くじ改め処」に近付くに連れて見物客が増え始め、歩くのもやっとの状況です。幸い人垣の間からくじ改めを何度か見ることができ、写真に撮ることもできました。くじ改めは山鉾ごとの独特の所作が面白く、通行を許されると山は担がれて回され、見せ場を作ります。いつまでも見飽きることがなさそうでしたが、人いきれが堪らなくなり、また移動することにしました。(くじ改め役は京都市長。京都府知事と大阪市長の顔も見えます)

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四条烏丸付近は言うなれば舞台の袖。名役者が沢山、出番を待っています。山と鉾が整然と進むのを見るのは巡行見物の楽しみですが、それもいいが山鉾の豪華絢爛な姿をじっくり見るにはここに限る、と言えるかも知れません。山鉾は順番が来るまで動かないので、時間をかけて見られます。実際、ここで見物している人たちも大変多いです。通はここで見るのかも?

次は御池通でも見てみようと、烏丸通を北上しました。途中、蛸薬師通に折れると、空っぽになった橋弁慶山の町会所で比較的高年の留守番役の男性3人が、のんびりとした様子で話をしながら山の帰りを待っていました。きらびやかな巡行の裏には対照的なこんなのどかな光景もあるのかと心和む思いがしました。

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出発から2時間経つので巡行も大分進んでいるのだろうなと思いつつ御池通に到着すると、意外にもまだ何も通過していませんでした。通りの北側で見物するために道路を横断し始めると、何と遥か先に東山を背景にしてこちらに向かって来る長刀鉾が見えています。一般の見物客に取って巡行列を真正面から見られる機会はなかなかありません。これまたラッキー!と思って写真に収めました。荘厳な感じがしませんか?山鉾という特異な造形が、何を始めとしてどう変遷し、そして今ある姿になったのか、大変興味をそそられます。

御池通りの巡行コースは両側が全部有料(3100円)の観覧席です。ただ、南北の通りと交差する部分に席はなく、誰でも自由に観覧できて意外と混みません。辻回しを見るのでなければ、ここはお薦めの場所です。

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現在の巡行コースの始点は四条烏丸ですが、終点は新町御池のようです。長刀鉾の稚児と禿が新町御池で下りてしまい、新町通を通過する長刀鉾に稚児たちが乗っていないのはこのためです。従って、新町通は巡行コース外の単なる帰り道で、ここで見られる「巡行」は言うなれば“おまけ”ということになります。「戻り鉾」のような言い方がされるのもこのような理由からのようです。また山の多くが新町通に入るなり次の姉小路通で曲がって室町通へ向かうのも、同じ理由からと考えられます。

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巡行見物終了後、室町通を四条通へ下って行くと、あちこちで帰着した山鉾の解体が始まっていました(巡行で集めて来た邪気を早々に払うためと言われます)。見物の帰りがけに解体の様子を見て行く人たちが沢山います。建てている時の観衆よりも多いくらいです。写真では建てているのか解体しているのか分かりませんが、解体しているところです。小型の山鉾はともかく、人が乗る大型の山鉾の解体はさすがに当日中には終わりません。夜になると懸装品などを外された山鉾が櫓(骨組み)だけになって翌日の解体を待っていました。

今年の巡行見物は、何かとついていたような気がします。

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