山鉾巡行 ‐祇園祭2010‐

公開日 : 2010年07月19日
最終更新 :

祇園祭の(規模的・観光的な)クライマックスである山鉾巡行の日(17日)は、忘れかけていたような晴天に恵まれました。この日は国内のほとんどの地方が梅雨明けしたようで、京都も流れる汗の音が聞こえそうな暑さになりました。

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既に各町内から四条通に山や鉾が集結し始めていました。巡行参加者は皆晴れがましく誇らしげに見え、そして誰もが皆(E)です(どうでもEけど、古過ぎない?)。

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《8時50分過ぎ》 四条烏丸で強力(ごうりき)に担がれた稚児が長刀鉾に乗り込むところを見た後、四条通を東へ進もうとして身動きが取れなくなり、やむなく交差点の西側へ移動。

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こちら側も大変な人込みですが、まだ動くことは可能です。背後でゴリゴリという車輪が回る音とともにギシギシという鉾が軋む音がして、長刀鉾が動き始めました。山鉾巡行のスタートです。

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《9時20〜30分頃》 四条室町に来ると、目の前で鶏鉾の1回目の辻回しが始まりました。辻回しは30度ずつ3回に分けて行います。転回が終わるまで吹き続ける笛方のトレモロ風のサウンドには痺れます。しばらく見物した後、河原町御池に向かうことにしました。

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新旧の京都を象徴するようなものを同一視野に納める機会など、今しかありません。烏丸錦付近から京都タワーと鉾のツーショットを狙ったのですが、私の都合のいいようには鉾は現われてくれませんでした。いつまでも待てないので、2基の山とのスリーショットになりました。誰かタワーの展望台から巡行の様子を見ているかもしれませんね。

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地下鉄を降り、市役所の横から地上に出ると、ここにもびっしりと見物客が並んでいます。河原町通の先に長刀鉾が見えて来ました。河原町通を少し下がって行ってみようと地下街を抜けて反対側に出ようとしたところ、危険防止のためということで、交差点の南西側に出るエスカレーターが止められており、利用者は歩いてエスカレーターを上り下りしていました。

地上に出たところまでは良かったのですが、結局、人込みで歩けなくなり、河原町通での見物は諦め、長刀鉾の辻回しが始まったところで再び地下鉄で烏丸御池に戻ることにしました。

地下鉄の駅は四条も市役所前も烏丸御池も、電車が着くと、これらの駅では見たことがないほど沢山の人々が降りて来ました。

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山鉾巡行が始まっても烏丸通の交通は普段通りです。このため交差点の南北にある横断歩道上で巡行見物は出来ません。巡行列が来るとどうなるかは分かりませんが、歩道上に誰もいなければ、この写真を撮った辺りは恰好の見物場所になりそうです。

カメラの望遠レンズで写真と反対の四条烏丸の方向を覗くと、スタートの順が来るのを待っている舁き山の赤い傘がいくつか見えました。

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山や鉾を通すため、信号機の向きを変える作業車が来ています。新町御池に長刀鉾が到着するのは11時10分頃の予定です。左の写真はその30分ほど前の交差点の様子。長年山鉾巡行に携わって来た人の話では、この交差点での辻回しが最も見応えがあるそうです。広い御池通から狭い新町通に入って行く難しさがあるからです。

ここで辻回しを見るには、観客の前列でないと街路樹が邪魔して見にくいです。

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日差しが大変強いので、日陰になり、なおかつ写真の背景も悪くない場所ということで、衣棚(ころものたな)通と室町通の中間に見物場所を決めました。曳き子はよく見えませんが、山鉾を見るだけなら十分です。

ただ、烏丸御池を過ぎると巡行順が入れ替わり、間が詰まったり開いたりするので、整然とした巡行を見るには四条通、河原町通、御池通の烏丸までの方が適当です。

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長刀鉾がやって来ました。稚児が「太平の舞」を舞います。通過する町内が変わるごとに鉾から身を乗り出し、体を左右に大きく振ります。

かつて鉾に乗る稚児は生身の男児でしたが、長刀鉾の稚児以外はとうの昔に人形に替わりました。その理由は二つあり、まず稚児を出す家は高額な出費が必要であること(現在は千万とも2千万とも...)、また就学児童を長期間拘束するのは問題だということです。

費用の面では既に室町時代から生稚児をやめる鉾が出始め、明治になると学校に行けなくなるというもう一つの新たな問題が起きてきたためやめてしまったようですが、長刀鉾が今も続けているのは、巡行の先頭を務める責任感からでしょうか?そんなわけで長刀鉾の稚児や葵祭の斎王代は、ええとこのお子でなければなれないのです。

ところで長刀鉾と言えば鉾頭(ほこがしら)の長刀の刃先を御所と八坂神社には向けない、という話は有名です。しばらく忘れていたことでしたが、巡行コースを一周すると鉾は向きを360度変えるわけで、それでも刃先が向かないとなると、それなりの仕掛けが必要となります。そこで今年、実際はどうなのか確かめてみようと思いました。長刀鉾に行った時に聞くのが最も早いと思っていたのですが、それより早い方法がありました。撮影した写真を見てみることです。

結論は、言われていたことは迷信?でした。ネタばらしなどではなく、それ以前に注意して巡行を見ていれば簡単に分かることです。でも、刃先を向けないというのはどのような場面で言われることなのかは考えてみる必要がありそうです。恐らく、会所前に停止している時は、という但書を付けるのが本当のところではないでしょうか?でも御所と八坂神社には刃先を向けない、というのはお約束、ということでいいのでは?

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有料観覧席(3100円!)の様子。この観覧席の設置には山鉾保存会は一切関知していないそうです。

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いつも人気の蟷螂(とうろう。かまきり)山。子供も大好きです。

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新町通に入ると、山の多くは遠回りになっても姉小路(あねやこうじ)通から室町通へ抜けて帰って行きます。

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新町通の昔ながらの光景です。2階から鉾見物なんて今では贅沢に思えることも、以前はこれが当たり前だったんですね。この通りに入るまではただ乗っているだけのようだった屋根方も、ここでようやく本領が発揮できます。

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鉾の後ろには追っかけ?がぞろぞろ付いて行きます。

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これは私の当日最高の見ものでした。西洞院(にしのとういん)通から見えた新町通をゆらゆら揺れながら通過する月鉾の真木です。かつてはありふれた光景で、遠くからも鉾の進む様子を知ることが出来たのでしょうが、今では高い建物が増えてしまい、このような光景は大変貴重なものになってしまいました。

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四条通に戻って来た鉾たちです。一目で分かることですが、山や鉾の基調となる色は鮮やかな朱色です。目立つために使っているわけではなく、この色には魔除けの意味があるからです。華やかで目立つようになったのは結果の話です。この色はご存知の「あをによし」の丹(に:水銀と硫黄の化合物)の色で、今も神社の鳥居や社殿などの定番カラーですね。

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四条新町での月鉾の最後の辻回しです。

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四条新町を通過する船鉾。これで今年の山鉾巡行は終了です。先回りしていたせいで後祭(あと(の)まつり)の巡行列をまったく見ていなかったことに後で気が付きました。これが本当の後の祭です。

観光客の方々が目にすることのないような光景をお見せしたつもりですが、いかがだったでしょうか?来年の見物の参考になれば幸いです。

なるべく日陰を選んで見物や移動をした積りでしたが、1日で大変な日焼けをしてしまいました。焼けたところがヒリヒリ痛みます。前夜の日和神楽の祈りが効きすぎたのかもしれませんね。

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