ガウディファン必見、友情が生んだレオンのガウディ建築

公開日 : 2019年01月20日
最終更新 :
筆者 : 石田妙

こんにちは。レオン特派員の石田妙です。

スペインで最も有名な建築家といえばアントニ・ガウディですが、バルセロナを始めとするカタルーニャ州の外にも作品を残したことはあまり知られていません。カタルーニャの外にあるのは3作品のみで、その内の2作品がカスティーリャ・イ・レオン州レオン県にあります。

今回紹介するのはレオン県アストルガにある、アストルガ司教館です。中世のゴシック様式の復興運動として栄えた、ネオ・ゴシック様式を用いガウディが設計したもので、外側はまるでお城のような、内側は教会を思わせるようなデザインが特徴です。

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なぜカタルーニャ人のガウディが、遠く離れたレオンのアストルガに作品を設計することになったのか、不思議に思われる方もいるかもしれません。理由は意外とシンプルで、当時アストルガの司教を務めていた、カスティーリャ・イ・レオン出身、バルセロナの神学校で学んだりタラゴナの司教を務めたりした経歴を持つグラウ司教と、ガウディが仲のいい友達でした。グラウ司教は、アストルガの司教館が火事で燃えてしまった際、ガウディに再建を頼んだのです。

ガウディはこの時、バルセロナのグエル邸の設計に取り掛かっていたので、写真や絵などで可能な限りの情報をアストルガから送ってもらい、設計を始めたそうです。しかしそのデザインには全く妥協しませんでした。ステンドグラスの模様や、陶器の装飾、彫刻、それぞれの建築材など、細部も隅から隅まで、デザインしたのです。

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実際に建設が始まると、ガウディは現場を監督するために、10回アストルガに訪れました。親友のグラウ司教と作品を作ることを、ガウディ自身も楽しんだと言われています。しかし、1893年にグラウ司教が亡くなると、新しい司教とは馬が合わず、ガウディは作品の途中で辞任してしまいます。その後、しばらくの間、ガウディのような建築家の作品を受け継ぐ勇気と技術のある者はなかなか現れず、司教館の建設は中断していました。20世紀の初めにリカルド・ガルシア・ゲレタという建築家が、ガウディのデザインで仕事を引き継ぐことを受け入れ、最上階と屋根の建設を終え、司教館を完成させました。

司教館の内部は、縦と横の長さが等しいギリシャ十字の配置になっています。地下室は最もネオ・ゴシック様式の特徴が顕在する場所で、建物の周りの堀のお陰で、自然光が入るようになっています。メインとなる2階部分はガウディが一番精を出した部分ともいえ、どの部分をとっても、そのデザインには細部にまで意味が込められています。見た目にももちろん美しいのですが、ガイドの説明があるとその魅力を何倍も楽しんでいただけます。この司教館で採用したデザインを、自分自身も気に入り、その後の作品にも用いたというものも多くあります。

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このアストルガ司教館を見ずに、ガウディを語るにはもったいない、ガウディの最高傑作の一つです。アストルガはレオン中心部から車で30分、サンティアゴ巡礼の道が通る場所でもあります。マドリードなどその他の都市からもアクセス可能ですので、ぜひ足を運んでみてください。

さらに詳しい情報が必要な場合、ガイドや同行通訳、ルート作成等が必要な場合はウェブサイト またはメール  からお気軽にお問合せください。

アストルガは今回紹介したガウディの司教館の他にも、興味深い歴史やおいしい郷土料理など、魅力が詰まった街ですので、引き続きこちらのブログで紹介していきます。

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