イギリス黒歴史を直視する、ウォータールー駅「ウィンドラッシュ・モニュメント」
ウォータールー駅は、ロンドンの主要ターミナル駅のひとつ。イギリスご滞在中に利用する人も多いことでしょう。
ここで今年(2022年)6月に建てられたのが、ウィンドラッシュ・モニュメントと呼ばれる銅像です。
ウィンドラッシュというのはジャマイカなどカリブ海諸国からの移民を最初に乗せてきた船エンパイア・ウィンドラッシュ号にちなみ、その移民世代はウィンドラッシャーと呼ばれました。
そもそも現在西インド諸島にアフリカ出身住民がいるのは、帝国主義時代イギリスら欧州列強が「三角貿易」でアフリカやアメリカなどの間を工業製品、原料、人(奴隷)をやり取りしていた結果。
そしてウィンドラッシュ世代は、第二次世界大戦後の労働力不足を補うためイギリス政府が打ち出した招へい策によって、この国へ移住してきた人々。なのに当時は人種差別に遭ったり、低賃金の重労働しか就けなかったり、さまざまな困難に直面しました。
また当時は親と一緒に来た子供にはパスポートなど公的書類がないまま入国・定住できたものの、後年になってからウィンドラッシュ移民の到着記録を内務省がオフィス移転のとき大量廃棄!
それら過去のずさんな事務処理のため、数年前に不法移民の取締まり法が強化された際には国外退去の危機に面した人が続出し、大きな社会問題となりました。
だからウィンドラッシュ世代の人々を語ることは、イギリスの黒歴史を直視することでもあります。
このモニュメントが公式にお披露目したのは「ウィンドラッシュの日」に制定された6月22日。ウィリアム王子(現在は皇太子)とケイト妃によって執り行われました。
今ではこの国のダイナミックな活力源となっている、西インド諸国系のイギリス人。彼らが経た道のりを象徴するモニュメントなのです!
筆者
イギリス特派員
小野雅子
在英30年を過ぎました。初めてイギリスへいらっしゃる方にも分かりやすいロンドン観光&文化情報を中心に、イギリス各地やヨーロッパの情報もご案内いたします!
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