イギリス地元病院の受診の仕方 〜 ライブチケット並みの困難さ

公開日 : 2020年03月06日
最終更新 :

イギリスでは新型コロナウイルス発生当初、2020年2月初旬とかなり早い段階から日本を「要注意の特定地域」と捉え、「過去14日以内に日本、そのほかの特定地域から戻ってきた場合で咳や熱、呼吸困難などの症状が見られる場合には外出をせず、ほかの人との接触を避け、直ちに国民保健サービス(NHS)専用ダイヤル111まで電話するように」としていました。

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現在日本は「新型コロナウイルスの影響を大きく受けている国カテゴリー2」に分類されています。(参照:英国保健介護省

イギリスの健康保険制度

さて、この国民保健サービス(NHS)についてですが、これは在住者向けのイギリス版「健康保険制度」です。イギリスの医療システムは総合診療医(GP)式で、まずはGP(General Practitioner/かかりつけ医)を決める必要があります。日本では自分でどの病院に通うかを決めることができますが、イギリスでは必ず地元のGPに登録しなくてはNHSサービスの診察は受けられません。

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旅行者やロンドン都心部の日本人在住者は、海外旅行保険と提携している日系の私立病院に行く人が多く、あまり活用する機会がないかもしれません。しかしわが家のようにロンドン郊外に住んでいる場合、近場にそういった日系病院がないのもあり、イギリス人と同様、地元の病院にお世話になることが多いです。

かかりつけ医での受診方法

診察は予約制の病院が多く、診察料は歯科治療などを除きほとんど無料です。薬代は高齢者や生活保護受給者といった、一定の状況下での患者を除いて全額自己負担ですが、子供は16歳まで無料です。と、いいこと尽くしのようですが、それゆえの問題もあり、そのひとつに「予約が非常に取りづらい」という難点があります。

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予約は朝8時から数時間受けつけている自動音声による電話予約のみですが、ノンビリしているとこれがまったく繋がりません。実質的な予約方法とは、朝8時直前から携帯電話を握り締め、8時ピッタリに発信。生年月日と電話番号を入力すると、その日の予約可能日と時刻が伝えられます。

その時点で迷わず予約を決定すればいいものの、もっと都合のいい時間はないだろうか、などといらぬ欲をかくと一瞬で予約枠が埋まり痛い目に遭います。途中、気を抜きプッシュボタンを押すのが遅かったせいで「この日時で予約する」と0番を押しても「もうその時間は埋まりました」となる場合もあるので、日時が確認されるまではひと時も油断ができません。

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一回ごとの診察時間は1名10分と厳密に割り当てられているので、もう少し空きがあってもよさそうなものの、なにせ午前中いっぱいしか受けつけてくれないので、あっという間に埋まってしまうようです。この問題についてはNHS側も認識済みで、オンライン予約システムやスマホでの携帯アプリを導入するなど努力はしているのですが、「イギリスあるある」で予約を入れようとしてもすべて「空きナシ」となり、まったく機能していないのが現状です。

旅行者でも受け入れ可能

これまで幾度も予約を取り損ね、まるで人気アーティストのライブチケットを取るかのようだ、と常々思っていますが、この制度は外国人にも優しいのがうれしいところです。

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イギリスの医療機関は、在住外国人のみならず、海外旅行者も同様に受け入れてくれるのです。ただ、その場合でもかかりつけ医(GP)を登録しなければならず、診察費もさすがにタダではないので使い勝手は悪いかもしれません。

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NHSのWebサイトに受診方法が書かれていますが、旅行者の場合は飛び込み受付をしてくれる緊急外来や救急医療センターといった施設の利用が現実的かと思います。民間の海外旅行保険に入るのが一番確かでしょうが、参考までに旅行者向けの案内ページを以下に記します。

筆者

イギリス特派員

パーリーメイ

2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。

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