難解なイギリスの復活祭、イースター
イギリスに来て1年目の頃は、季節が移ろうにつれ次々と見慣れないイベントを目にし、年がら年中頭の中がハテナだらけでついていくのに必死でした。特にキリスト教由来の行事が多いので、宗教や歴史的背景を知っていないとまったく意味がわからないものが多いです。
子供たちの学校行事にも関わってくる事柄なので、その都度自分で調べてみたりと行事の意味を知ることは大切なことだと思います。なかでも復活祭、イースターは2ヵ月近く前からさまざまな関連行事があるなど、とりわけ日本人にはわかりにくいものです。初年度は次々に送られてくる学校からのお便りや案内、プリントなどに圧倒され、それぞれの意味を調べる余裕もありませんでしたが、3年目にしてようやく全貌が分かりかけてきたので以下に一部ご紹介します。
覚えきれない特別な「曜日」
イースターの日にちは毎年変わりますが、毎回日曜日であることは必須です。「春分の日のあとの最初の満月から数えて最初の日曜日」と定められているので、年によって3月の時や4月のときがあります。2020年の今年は本日、4月12日です。この「イースター・サンデー」当日に向けて関連行事がひと月以上も前から始まります。その間「曜日」が名付けられた特別な日が多く、まず始めに46日前よりレント Lent(四旬節)という断食期間に入ります。
この初日のことをAsh Wednesday(灰の水曜日)と呼び、前日をShrove Tuesday(告解の火曜日)、イースター1週間前をPalm Sunday(聖枝祭)、直前の木曜日をMaundy Thursday (洗足木曜日)、Good Friday(聖金曜日)、Holy Saturday(聖土曜日)、Easter Sunday(復活祭当日)、そしてようやく最後に祝日のEaster Mondayがありやっと終了します。初めてMaundy Thursdayを目にした時はタイプミスでマンデーを間違ってつけた上に、「さらにスペルまでミス(Monday)してるな」と思ったほどです。
目まぐるしい学校の関連行事
子供が通うカトリック系の現地校では、上記のレント期間が近づくと「祈り、断食、慈善」を通した節制に励みましょう、との呼びかけがあり、灰の水曜日には教会で実際に灰を額につける儀式があります。
こうした学校行事以外の世間一般では宗教的意味合いが薄れ、実際に断食をする代わりに何かをひとつやめる(禁欲)期間となっているようです。あまり大袈裟に考えず、学校のお母さんのひとりは「食後のデザートを控えている」と言っていました。
子供たちの学校では「何をやめるか決めましょう」と書かれたカレンダーの用紙が配られます。そこには、以降イースター期間中にすべきことが日ごとに記されています。告解の火曜日は、別名「パンケーキデー」と呼ばれます。もともとは断食に入る前の食いだめといった趣旨があり、期間中特に避けるべき栄養豊富な卵や牛乳を使い切ってしまう目的でパンケーキを作るようになったといわれています。子供たちは学校で実際にパンケーキを作り、「家でも作ってもらいましょう」と言われます。
このカレンダーが配られてしばらくすると、今度は紙とシールで作ったお手製十字架を持ち帰ってきて、「寝室に貼って毎晩祈りましょう」と......。期間中、イースターの3週間前にはイギリスの母の日であるMothering Sunday(関連記事)が入るので、これまた自作のカードやらお花を持ち帰ってきます。
慈善活動としては、学校全体としてサポートする団体を毎年ひとつ決め、目標寄付金額を達成するために家庭への協力を仰ぎます。単なるお金だけの寄付だけでなく、その期間は中学校で開催されるさまざまなスポーツ活動を通して、それに子供を参加させることによって寄付金を募る、という形もあります。
聖枝祭である先週日曜日は、ヤシの葉(palm)を形どった紙の飾りを玄関のドアや窓につけたり、今年は新型肺炎で教会のミサが禁止されているので、海外のミサにオンラインで参加したりする家庭がありました。学校では例年聖金曜日に教会で子供を劇に参加させることができるのですが、こちらももちろん今年はナシ。このように「キリスト教徒にとってイースターはクリスマスより大事」と言われていることに、十分納得しました。
忘れてはいけないイースターエッグ
日本を始めほかのアジア諸国など、キリスト圏ではない世間一般ですと、とにかくそれよりも何はともあれイースターエッグとうさぎのバニー、というイメージが強いかと思います。スーパーにはバレンタインが終わると、早くもイースターエッグを形どった数々のチョコレートがところ狭しと棚を占領し始めます。
わが家でも子供にせがまれ今年も庭でエッグハント(卵の形をしたチョコレートを集める遊び)をしました。新型コロナウイルスの影響で自宅で過ごす時間が増えたので、子供の気分転換にピッタリでした。
筆者
イギリス特派員
パーリーメイ
2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。
【記載内容について】
「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。
掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。
本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。
※情報修正・更新依頼はこちら
【リンク先の情報について】
「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。
リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。
ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。
弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。