話好きでお節介気味のイギリス人から学ぶ、現地事情と英語の言い回し

公開日 : 2020年10月02日
最終更新 :

「古い物が好きで暗い霧の中で寡黙に暮らすイギリス人」と、わたしはとんでもなく偏ったイメージをもってイギリスに来たので、実はイギリス人が話好きということにはじめは驚きました。子連れのせいもあるのか、道を歩いているだけで話しかけられることが多いです。

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スーパーのレジでも、まずは目を見て挨拶。お元気?などといろんな会話をしながら手早く会計をしていくのが普通です。

凝った挨拶が多い

Amazonやネットスーパーなど、こちらでもよく利用する宅配サービス。配達業者さんがサインを受け取って去る際の挨拶もサンキューだけを想定していると、「Cheers!」 だの「All the best」だの言ってくれます。2度と会わない確率が高い相手に対しても随分と心に響く挨拶をしてくれるのだな、とはじめは感激していました。

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けれど、これは「イギリスあるある勘違い」のひとつで、これらに特別な感情や意味はないのだということを、あとで知りました。同じくカジュアルな別れの挨拶に「See you later」があるのですが、作業をしにきた配管工などの業者さんでも帰るときに使うので、「え、まだ作業は終わってないの......?」と当初は戸惑いました。こう思ったのはわたしだけではないようで、ほかの在住日本人の方は作業員の人がまたすぐに戻って来るのかと勘違いし、いつまでも家で待っていたそうです。

親への注意が多い

歩道でも歩行者が交通事故に巻き込まれるケースがあるので油断は禁物ですが、日本では年齢的にわが子が手をつなぐのを嫌がったりしたため、目の届く範囲では手をつながないこともありました。イギリスでは治安面からもしっかり手をつないでいないと、反対側の歩道からでも見知らぬ人に注意されます。

通行人だけでなく、車からもクラクションを鳴らされ、窓をあけてまで怒られたり、わざわざ停車して降りてきてまで注意されたことも1度ではありません。危ないから子供にマンホールの上を歩かせるな、と注意されたこともあります。

わたしの監督不行き届きが原因で自分が悪いのですが、それにしても過剰に過ぎないか、と正直内心では困惑していました。ところが、これは「ところ変われば」で、その国にはその国の事情(ケース)があり、日本では考えられないことが実際によく起きるからなんだな、とこれまたあとで知りました。

一例としては、落ちるはずのないマンホールの蓋がゆるんではずれていたり、アクション映画さながら、一瞬の隙に車道から子供を車内に押し込み、連れ去ったりといった事件があるからなんだそうです。

どちらも日本やそのほかの国でもあり得ることですが、やはり危機意識が他国の人と比べて薄かった、現地の人のいうことには従ったほうが賢明だと反省しました。

見知らぬ人でも世間話

このように注意もよくされますが、もちろんそればかりではありません。彼らは基本的に子供だけでなく、ときには親であるわたしのことまで褒めそやしてくれることもあり、恥ずかしくて赤面してしまうことすらあります。

出かける用事があり、いつもよりいい格好をして歩いていたら、向かいから来た上品なご年配のレディーに、立ち止まってまで「ベリーナイス」といわれビックリしました。イギリスでは服装や髪型など、お互いの身なりを褒め合うことが多く、わたしも見習ってよく声をかけるのですが、このように見ず知らずの人に褒められたのは初めてでした。このレディーはそのあともしばらく立ち止まったままニコニコしており、そのあまりのストレートさに気恥ずかしさでいっぱいになりました。

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また、イギリス人は日本人と同じく並ぶのが好きで(誰も好んで並んでいるわけではありませんが......)トイレの順番待ち、バス待ちから信号待ちまで!隙あらばとにかく話しかけてきます。

ある日などは電動自転車に乗って信号待ちをしていたら、山高帽の老紳士に「バッテリーがついてるなんてフェイク(ズル)じゃないか」といわれ、苦笑しました。これもイギリス人お得意の、ブラックユーモアだったのでしょうか?!

そんな愛すべきイギリス人気質ですが、昨今の新型コロナによる影響で、道を通るときはわざわざどちらかが車道に降りてまでお互いを避け、見知らぬ人との軽快な会話のやりとりもすっかり影を潜めてしまいました。

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それでも、一時期あったスーパーでの長蛇の列では、社会的距離をとりながらもしっかりマスク越しに大声でしゃべり合ったり(やはり見知らぬ者同士......)、スーパーの店員さんにまで「You're coming wrong way darling(そっちじゃないわよダーリン) 」と声をかけてもらったり、脇を通りたい人が「Sorry sweetheart......(ちょっと失礼)」と語尾に「スイートハート」をつけてくれたりと(どちらもやはり特別な意味はありません)、根っからの人懐っこさはそう簡単に変わるものではありません。

ラテン系や東南アジア系のフレンドリーさとは別物だと感じますが、少なくとも日本で抱いていた「眉間にシワを寄せた英国紳士」という、まったくもってひどい偏見で想像していたイギリス人像とは大違いでした。皆さんにも、この「イギリス人のフレンドリーさ」を、いつかイギリスにいらっしゃった際に感じてもらえるといいな、と思います。

筆者

イギリス特派員

パーリーメイ

2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。

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