イギリス:拡がる詐欺行為に注意!「実録レポート」

公開日 : 2021年05月02日
最終更新 :

もともと信じやすく騙されやすいタチなので、日本にいる頃は人並みに「オレオレ詐欺」などには気をつけていましたが、海外ですと旅行や生活中にどうしても言葉の壁から情報を拾い損ねたり、現地の言葉で話しかけられたりするとビックリしていとも簡単に騙されてしまいます。

0DC26D5E-B1B0-4C0B-BDB2-D63B3AE0A3B0.jpeg

つい先日も怪しげな電話が、それも2度もあったのでさすがに不審に思い夫に聞いてみると、いまはコロナ禍で不景気なこともあり、さまざまな手法で詐欺行為を働くやからが増えているそうです。以下、実際にあったやりとりをレポートします。

過去の迷惑電話

普段、インターネット回線のために引いている固定電話には、誰にも番号を教えていないので知り合いからかかってくるわけもなく、セールスや間違いなど、ろくな要件がないのであるときを境に応対するのはやめました。

問題は、個人の携帯電話にかかってくる正体不明の番号です。病院やお店の予約など、たまに見知らぬ電話番号から、それも忘れた頃にかかってきたりするので、基本的にはすべての着信に出ています。

最近では減りましたが、来英当初はなぜか「あなたの車が事故にあったと聞いたが、それは事実か」という、自称保険会社からの電話が頻繁にあり辟易しました。

これに関しては運転をしないので迷わず受け答えし、強い口調で応対することができたのですが、「違う」と言ってるにもかかわらず記録や引き継ぎが社内?でできていないのか、相変わらず毎回同じ質問で別の担当者からかかってきました。

申し訳なさそうな演技で謝る人もいれば、「違う」と言った瞬間にガチャ切りしてくる人もおり、時間も無駄ですしなによりたいへん不快でした。

威厳のある行政口調

それが、そういえば最近かかってこないな、と油断していた矢先、今度は民間企業ではなくなにやら「revenue」と収入や税金に関係ありそうな単語を持ち出し、支払い義務があるから担当者と話すために回線番号1番を押す必要がある。

押さなければ「lawsuit」する、と法律(law)という言葉が出てきたので、慌ててボタンを押しました。働いていないのになぜ税金が関係あるのかと、疑問が脳裏をよぎりましたが、普段から税関連の書類は夫宛てに郵便でしょっちゅう届くので、それと似たような用件かと思いました。

また、声が過去の保険会社のくだけた調子とは違い、とてもきれいなアナウンサー調で、いかにもお役所的な音声だったことも後押ししました。

一転インド訛りに

ところが、代わって登場した「担当者」が今度は一転、明らかにインド訛りの発音に。それでも、他民族国家のイギリスでインド人も多いのでさほど気にせず、聞かれたとおりに回答していきました。

そう、フルネームといった個人情報を!!

なんの疑念も抱かず、強いて言えば名前のスペルを何度も聞き直されてイラっとした程度で、その後も答えていたのですが「で、お仕事はなにを?」という質問に「働いていない」と言った瞬間にまた切れました。

回線のせいか、それとももともと私自身もはじめから疑問に思っていた「働いていないなら関係ない」という事例にまさに当てはまったため、やはりガチャ切りしてきたのか。

またしても不快でしたが、繰り返すようにこちらではよくある失礼な態度なので、あまり気にせずそのまま忘れてしまいました。

音信不通の電話番号

それが、1週間も経つと再び同じ内容でかかってきました。今度は自分は該当せず関係ないのではないかという自信があったのと、また、前回おそらく自動音声であることに気づいたため、今度はこちらがすぐに切りました。

しかし、またかかってきたら面倒だ、「該当しないから今後かけてこないよう、データに入力してもらいたい」と言いたくなり着信番号にかけ直すと、「この番号には繋がりません」という自動音声が流れてきました。

試しに、その前の週にかかってきた番号にもかけてみましたが、同じでした。そこでようやく夫に聞いてみると、冒頭の会話にもあったよう、詐欺だと発覚しました。テレビやラジオなどでも注意喚起しているから本気で気をつけるべきだ、と言われてしまいました。

さっそくインターネットで調べてみると、政府による注意情報が一発で出てきて、いかにいま現在流行っているかということがよくわかりました。

それによると、英国の歳入税関庁(Her Majesty's Revenue and Customs《HMRC》 )を語った騙しの手口が携帯電話のショート・メッセージ、Eメールに電話、SNSなど多岐にわたり、問い合わせが殺到しているそうです。

Revenueにlawsuit、1番ボタンに自動音声まで、なにからなにまで私が受けたパターンに完全に一致しており愕然としました。

今回の学びとしては、訛りがなく、かつ強い口調で淀みなく話されると、指示に従ってしまう確率が高まるなと思いました。心当たりがなく、少しでも疑問がよぎったときはその直感に従うべきで、特に住所・氏名など個人情報を与える場合はとりわけ注意が必要だとも。

旅行中にも当てはまる教訓かと思いますので、参考にしていただければ幸いです。

筆者

イギリス特派員

パーリーメイ

2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。