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フランス/リヨン特派員ブログ マダムユキさん

フランス・リヨン特派員が現地からヨーロッパ地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。

【フランス リヨン便り n°55】


こんにちは。フランスのリヨン在住マダムユキです。
リヨンのみやげにおすすめ! とってもステキなお店をご紹介します。


ある天気のよい土曜日。リヨンの北側に広がるクロワルースの丘の中腹あたりに小さな広場があり、その広場の雰囲気がおしゃれなのでFacebookに投稿する写真を撮影しようとカメラをもって出かけました。


クロワルースの丘へは、リヨン市庁舎やリヨン美術館があるテロー広場の横の道を登っていくのですが、途中で「ディアブル(DIABLE)!」と書かれたお店が目に飛び込んできました。
「あれ、こんなところにお店があったかなあ」、しかも、日本語で「悪魔!」というネーミングなので驚いてウインドーをのぞいてみたら、店内にポスターやカードが並んでいました。
「なに、なに、いったいどんなお店なの」って好奇心が膨らみ、ドアを開けて中に入ってみると、とってもカラフルな色遣いのイラストが所せましと並べられ、「わあ、かわいい!」と思わず声をあげてしまいました。すると、お店の奥から「いらっしゃいませ」と上品なエプロン姿(作業服)のマダムが現れ、あわてて「あの......すみません......とってもすてきな店内なので、写真を撮らせてもらってもいいですか」と尋ねると、「もちろん、構いませんよ」と笑顔で答えてくれました。
「あ、あ、ありがとうございます」とお礼を言って、カバンからカメラを取り出して、店内をゆっくり見渡したら、「わわわあ~、本当にかわいいお店だ」、再び声をあげてしまいました。


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リヨンの風景と動物をモチーフにしたカラフルな色遣いのイラストに目を惹かれました。
「とってもおしゃれなイラストです」と心を込めて伝え、「あなたのデザインですか」と尋ねると、「ええ、そうよ。私はイラストレーターで、姉がグラフィックデザイナーなの。ふたりではじめたお店です。気に入っていただけてうれしいわ」と、素敵な笑顔で答えてくれました。
「リヨンをモチーフにしたイラストがたくさんありますが、お客様は観光客が多いのですか」
「そうね。以前は観光客もいたけど、いまはリヨンや近郊に住んでいる人がプレゼントや記念日のカードを求めて訪ねてきてくれるわ」


お店のオーナーはクレアさんとマリエットさんの姉妹。ひとりがグラフィックデザイナーでひとりがイラストレーター。ふたりが1960年代の活版印刷の技術をいまに伝えたいとアトリエを開いたのが2014年のこと。人間の手による、クラフトマンシップを大切にした作品を生み出しています。


「あ、これはドイツ製のマシンですね」と尋ねると、「そうなの。ハイデルベルグの活版印刷機をご存知? 世界一の品質を誇る印刷機で、手作り感と奥行きのある仕上がりが特徴的なの」


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「すべての作品がここで印刷されているのですか」
「カードなどの小さいものはここで印刷しているわ。媒体の紙にもこだわりがあるの。ほら、和紙に感触が近い紙も使っています。ただ、ポスターのように色の種類が多いものは高度な印刷機が必要なので委託して印刷してもらっています」


写真をご覧ください。60年代の活版印刷機で印刷されたイラストは温かみのあるトーンで見る人の心を和ませくれますね。


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お店の名前が気になったので、「ディアブル(悪魔)って、遊び心で名づけたのですか」と尋ねると、「ディアブルって、元気な子供を愛情をこめてそう呼ぶの。それに、サプライズっていう意味もあるのよ」。
「本当にサプライズでした。とくに、リヨンの風景をモチーフにしたポスターはリヨン観光のおみやげにおすすめですね!」と答えると、「あなた、日本人ですよね。私の父が折り紙が大好きで、小さいときに折り紙で遊んだわ。それが私たち姉妹の手作りという活動の始まりよ。そのころから日本に行ってみたいって夢みていたの。それが2019年に実現したわ。すばらしい旅行でした。日本は古きよきモノを大切にしながら、新しいモノを生み出している国ですね。私たちもそういう姿勢で創作活動をしています。海外旅行ができるようになって、日本人旅行者がリヨンに遊びにくることができるようになったら、ぜひ私たちのお店に立ち寄ってほしいわ。きっと、共感できるものがあると思うの」。
本当にそう思います。北斎や広重の浮絵を彷彿とさせる構図になつかしさを覚えます。


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早く海外旅行ができる日が戻ってくるとよいですね。
引き続き、お身体をご自愛くださいませ。
マダムユキ


追伸:
この日の散歩の目的はクロワルースの丘の中腹にある広場の写真。お店訪問後に目的を果たしました。円形の広場で、中央から空を見上げると広場に面した建物が曲線を描いているのがわかります。


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【お店情報】
Diable ! petite manufacture(ディアブル!プティット・マニュファクチュール)
・住所: 9 rue Saint-Polycarpe 69001 Lyon France
・電話: +33 6 74 58 65 91
・営業時間:火曜日~金曜日 10:00-13:00 14:00-19:00 土曜日 14:30-19:00
・定休日:日曜日、月曜日
・URL: https://diable.bigcartel.com/


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2021年6月21日

【フランス リヨン便り n°54】


こんにちは。フランスのリヨン在住マダムユキです。


ご報告です。第1回目の新型コロナウイルスワクチン接種を受けました!
実は、ワクチン接種に対して少し懐疑的でしたが、リスクとプロフィットを天秤にかけて、ワクチン接種を決めました。
そう考えるのは私だけではなさそうです。フランスはワクチン接種が飛躍的に拡大しています!


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出典:フランス連帯・保健省サイト(https://solidarites-sante.gouv.fr/grands-dossiers/vaccin-covid-19/article/le-tableau-de-bord-de-la-vaccination)
水色:1回目接種者数、青色:2回目接種者数


新型コロナウイルスワクチン接種のフランスの現状(2021年6月13日現在)


フランスでは、2021年5月31日から、18歳以上の成人であれば年齢の制限なく、新型コロナウイルスのワクチン接種を受けることができます。集団免疫の形成に必要な接種率を確保するために、6月15日からは、12歳以上18歳未満のワクチン接種も可能となります。


フランスのワクチン接種の状況を簡単にまとめてみました。


♦現時点でフランスで接種できるワクチンの種類♦
1 ファイザー社(米)/ビオンテック社(独):mRNAワクチン
2 モデルナ社(米):mRNAワクチン
3 アストラゼネカ社(英):ウイルスペクターワクチン
4 ジョンソン社(米):ウイルスペクターワクチン


(補記)
mRNAワクチンは、新型コロナウイルスがヒトの細胞に侵入するために必要なスパイクたんぱく質を産出するための遺伝情報(メッセンジャーRNA)を投与し、免疫の働きでウイルスを攻撃する抗体をつくるように促します。ウイルスペクターワクチンは、ヒトに対して非病原性あるいは弱毒性のウイルススペクター(運び手)に抗原たんぱく質の遺伝子が組み込まれた組み換えウイルスを投与するワクチンです。


フランスのワクチン接種状況ですが、2021年6月12日時点で、ワクチン接種者(少なくとも1回接種した人)が3000万人を超えました。フランスの全人口(およそ6700万人)の45%、全成人者の57.4%に相当します。
フランス政府は春に「6月15日までに3000万人が第1回目のワクチンを接種する」という目標を掲げました。当時はまだ500万人にも満たない接種率でした。「そんなの無理だよ」という声が多かったでのすが、数日のズレがあったものの目標達成です。
振り返ってみれば、3回にわたって行われたロックダウンもその効果は限定的で、外出制限を解除すれば、感染の波に襲われました。そうなるとワクチンに頼るしかないということです。政府はワクチン接種が迅速かつ円滑に行われるようにシステムもインフラもロジスティックスも整備しました。そして、最も大切なのはワクチンの重要性を広める啓蒙活動です。「ワクチン接種キャンペーン」で保健相をはじめ政府関係者のメディア出演が目立ちました。
いや~、フランスの底力を感じました。すごいことです。


フランスのワクチン接種の流れ


♦ワクチン接種対象者(2021年6月13日時点)♦
0歳~15歳:現時点では対象外
16歳~17歳:現時点ではリスクが高い人のみが対象(ファイザー・ビオンテック社製ワクチン)
18歳~54歳:対象(接種場所に応じて、モデルナ社製あるいはファイザー・ビオンテック社製ワクチン)
55歳以上:対象(接種場所に応じて、アストラゼネカ社、モデルナ社製あるいはファイザー・ビオンテック社製ワクチン)


♦予約♦
次の方法でワクチン接種の予約ができます。
1 インターネット予約
2 薬局、主治医、看護師、助産師
3 各地方団体が講じる予約方法
4 フリーダイアル


私はインターネットで予約しました!
リヨンではDoctolibというサイトで予約できます。予約日の変更もキャンセルもとっても簡単にできます。


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♦接種場所♦
ワクチン接種ができる場所は
1 特設ワクチン接種会場
2 薬局
3 医療機関(病院、主治医など)


私はリヨンに特設されたワクチン接種会場を選びました。


♦ワクチンセンターの様子♦
リヨンのワクチン接種会場は第7区にあるジェルランサッカースタジアム、リヨンのプロサッカーチーム「オランピックリヨネ(Olympique Lyonnais)」のかつてのホームグラウンドです。
最寄り駅は地下鉄B線の「Stade de Gerland」駅で、ホームのいたるところにワクチン会場への案内板が設置されていました。


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駅を出て、ワクチン会場に導く矢印が描かれた看板に従って進みます。スタジアムが初めてという方も道に迷うことなく到着できます。
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入口のところで予約票のチェックと荷物検査が行われ、平日だったこともあり、それほどの混雑もなく、スムーズに会場に入場できました。
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会場に入ってからワクチン接種までの流れは、事前にメールで知らされていました。
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1 受付
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受付で保険証を提出し、質問票を受け取ります。事前に筆記用具を持参することが指示されていました。接触を可能な限り回避するためです。


2 質問票に回答する
3 必要に応じて問診
4 ワクチン接種

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既往症、ワクチン既往歴、アレルギーなどの質問に答えて、ワクチン接種場所へと移動します。
Doctolibサイトのワクチン予約は10分単位で受け付けていたので、かなり綿密にワクチン接種が行われるんだと思っていましたが、さすがフランスです。予約時間はあくまでも人が一斉に集まるのを避けるためで、ワクチン会場に入ったら、予約時間など聞かれることなく、流れにそって移動し、ワクチンを接種します。
ワクチン接種会場はファイザー社のワクチンのみになります。私は予定時間より15分ほど早く到着したので、予定時間より早くワクチンを接種しました。
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5 ワクチン後の待機
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ワクチン接種後、重大な副反応(アナフィラキシーや血管迷走神経反射)が現れないかを確認するために、15分ほど待機します。
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ワクチン接種後


ワクチンを接種するのは本当に久しぶりでした。前回のワクチンはいつだったか、何のワクチンだったか思い出せないほど昔の話です。久しぶりにワクチンを接種して、心身ともにどのような変化が起きるのか気になっていたのですが、現れた症状は接種部位の筋肉痛だけでした。2日目は腕を動かすたびに「痛い、痛い」と叫び、3日目から痛みが和らぎ、4日目に痛みが引きました。発熱も頭痛も倦怠感もなく、なんとか無事に通過したという思いです。


臨床試験によって、ワクチンを受けた人は受けていない人よりも新型コロナウイルス感染症の発症が少ないという結果が報告されています。また、ワクチン接種で十分な免疫が生成されるのは2回目の接種を受けてから7日ほど経過してからとのことです。油断禁物ということですね。リヨンは日中の気温が30度近くまで上がります。マスク着用で外出するのは決して快適ではありませんが、引き続き、適切な感染防止策を行う必要があり、「バイバイウイルス」まで、もうひとがんばりです。


皆様も、引き続き、お身体をご自愛くださいませ。


マダムユキ


2021年6月14日

【フランス リヨン便り n°53】


こんにちは、マダムユキです。フランスのリヨンからお届けしています。


ドーヴィル観光局のステファンさんのお誘いで、リヨンからパリを経由してイギリス海峡の海辺の町ドーヴィルへやってきました。

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これまでの経緯は過去のブログを訪問ください。
第1回:【ウイズコロナの旅】リヨンからドーヴィルへ(第1回)、海が見たくて旅に出た
第2回:【ウイズコロナの旅】リヨンからドーヴィルへ(第2回)、木組みの町並みに魅せられた


ドーヴィル観光局のステファンさんとの再会


さて、待ちに待ったステファンさんとの再会です。ホテルのフロントで待ち合わせをしていました。予定より少し早めに待機していると、ステファンさんが笑顔で登場。ステファンさんとこんな会話を交わしました。


マダムユキ:ステファンさん、お久しぶり。全然変わってないね。元気だった? ドーヴィルに誘ってくれてありがとう。こうして対面で会うのは2年ぶりね。ところで、ウイルス感染の広がりで、観光・旅行業は苦境に立たされているけど、ドーヴィルの観光業はどんな感じなの?


ステファン:わざわざ、来てくれてありがとう。今回は約束を守ってくれてうれしいよ! ところで、ホテルの場所はすぐにわかっただろう? このホテルだけど、オープン後にコロナ禍だから、けっこうたいへんだと思うよ。ぼくは外出制限が発令されてからテレワークが中心で、観光局に顔を出すのは週に1回程度かな。観光客からの問い合わせもほとんどないし、町は閑散としているし。といっても、ドーヴィルがにぎわうのは4月以降だから、これから忙しくなると思う。そうなってほしいと願ってる。リヨンは大きな町だから、ドーヴィルよりも感染拡大が深刻なんじゃない? 心配していたよ。


マダムユキ:ありがとう、ステファンさん。元気なのが何よりだよね! リヨンは検査陽性率が上昇しているってメディアが取り上げているけど、私の生活はあまり変わらないかな。外出制限下でも毎日オフィスで仕事をしているのよ。さすがに公共交通機関の利用は避けて、30分の徒歩通勤を始めたの。交通費を節約できると思ったけど、実は、靴が傷むのが早いのよね。靴の修理代がかさむからどっちもどっちかな。


ステファン:へえ、まさか、今日、ヒールの靴? ああ、違うよね。よかった! これから海岸まで15分ほど歩いて、そのあと競馬場にもいくよ。そうそう、ぼくはドーヴィルとカンの間あたりに住んでいて、ドーヴィル観光局まで車で30分だから、さすがに徒歩通勤はできない。静かな村の一軒家に住んでいるんだ。


マダムユキ:いいなあ、外出制限の勝ち組だね。


ステファン:そうだね。テレワークも慣れれば悪くない。いままでだってコミュニケーション手段はメールが中心だったから、どこにいても仕事はできるんだよ。そのことに気づかされたって感じかな。


マダムユキ:私はアパルトマン暮らしだから、そうはいかないのよ。ずっと家にいたら窒息してしまう。家から離れることで息抜きができるし。こうして人と実際に会うことは大切だと思わない?


ステファン:もちろんだよ。だから、ドーヴィルに誘ったんだ。これから海辺に建つヴィラを見学しよう。VIPなお客様にぴったりだよ。そこでランチだ!


と、ステファンさんがいつもの愛らしい笑顔を見せるものだから、うれしくなって、「やっほ~」


そんな会話をしていたところに、リヨンのローランさんとファニィさん、パリのティエリさんとダリアさんがフロントにやってきました。みんな旅行会社で働いていて、長年の顔見知り。


「あれ、マダムユキ、久しぶりだね、こんなところで会うなんて。仕事はどう?」と、ローランさん。ローランさんはリヨンでワインツアーを専門とする旅行会社を経営していて、ワイナリーでばったり会うこともしばしば。「体は元気だけど、仕事は病んでいるわよ」と答えると、そこに、ウクライナ出身でカンヌで旅行会社を経営しているイェウヘンさんがニコニコしながら登場。彼とは4年前にトゥールーズで会った以来だから感動の再開……のはずだったのだけど、「イェウヘンさん、久しぶり。全然変わってないね。元気そうでよかった。ドーヴィルで再会なんて、ちょっとびっくりよ。フランスを縦断してきたのね」と声をかけると、「外出制限のせいで少し太ったよ。マダムユキは元気そうだね。安心したよ。そういえば、この前、カンヌに遊びに来るって約束したのに、音沙汰なしだったね。まあ、こんな機会に会えたからよかったけど」と、皮肉られてしまった……。「ごめんごめん、光陰矢の如し……」、心の中で「フランス語でなんていえばいいんだっけ?」と自問自答していると、ステファンさんが「ヴィラに行くよ。オニヴァ(On y va)」と号令をかけたので、先生のあとについていく児童のように、みんな、ぞろぞろと歩きだしました。


ドーヴィル港の前に建つヴィラでプライベートランチ


ドーヴィルのヨットハーバーを眺めながら歩き進むと、海岸が遠目に見える少し開けた土地に木組みの家が建っていました。景観を妨げるものがなく、贅沢なロケーションです。


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門を抜けて、手入れの行き届いた庭を通り、玄関口へ。まるでセカンドハウスのオーナーになった気分!
扉を開けて、「お邪魔します」と小さくつぶやいてヴィラのなかに入ろうとした瞬間、ワクワク感で胸が高鳴り始めました。これが旅の醍醐味です。発見の喜び……。
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ヴィラに案内され、みんな口を揃えて「おしゃれだね」を連発。
リビングに大きな窓が配され、天井は2階までの吹き抜けで、2階の寝室からリビングが見下ろせるという遊び心のある設計です。控え目な調度品と機能性を重視したインテリアで、バカンスのロングステイでもくつろげるようにと居心地のよい空間づくりがされていました。
リビングとキッチンはオープンスペースで連結し、窓から差し込む自然光がキッチンに優しい雰囲気を漂わせ、料理下手の私でさえも、「おいしい料理で人をもてなしたい」という料理心がそそられるから、インテリアデザインって大切ですね。


ステファンさんがヴィラの間取りを説明してくれました。
床面積が200平方メートル、1階(フランス式地階)にリビングとキッチンと寝室が2部屋。2階に寝室が3部屋あって、それぞれの寝室に浴室(一部はバスタブ付き)とトイレが設置されています。プライベート空間がしっかり守られる設計です。


ステファンさんが説明を終えて、「さあ、ランチにしよう」といって、ドーヴィルのレストラン「La Flambée」から届いたランチボックスをテーブルに並べると、みんな揃って「やっほ~」と叫び声。
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ヴィラの貸切料金の目安ですが、オフシーズンの1月~3月で1泊€600~、ハイシーズンの7月~9月では1泊€825~、ロングステイだと1週間あたり€2000~、1ヵ月あたり€6000~です。家族連れや友達同士、企業のセミナーやパーティで利用されています。ドーヴィルのヴィラを1棟貸切なんて、とっても贅沢に思えるけど、人数が多ければ、高級ホテルよりリーズナブルかも!


みんなそれぞれ「こんなステキなヴィラでバカンスを過ごしたいなあ~」とつぶやきながら、新鮮な魚料理を白ワインと味わいました。
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■VILLA LE PHARE
・住所: 1 rue Mirabeau Prolongée - 14800 Deauville France
・電話: +33-2-3114-0202
・部屋数: 5寝室(浴室付き)、リビング、キッチンダイニング
・サービス: WiFi無料、ペット可、シーツの用意あり





セレブが通ったドーヴィルのカジノ


ヴィラ見学後は、海辺に向かいます。目指すは、フランス映画の金字塔として知られるクロード・ルルーシュ監督の映画『男と女』の舞台で、ドーヴィルで最も有名な観光スポットとされる海岸沿いの遊歩道「レ・プランシュ(Les Planches)」です。ミーハーと言われるかもしれませんが、アヌーク・エメとジャン・ルイ・トランティニャンが歩いたドーヴィルの砂浜を私も歩くぞ~という熱気むんむんでした。


空を見上げれば、雲が流れて、澄んだ青色に輝いていました。
海岸に沿って走るウジェーヌ・コルニュシェ通り(Boulevard Eugène Cornuché)を進み、ドーヴィルのカジノへ。通りの名前となったウジェーヌ・コルニュシェはドーヴィル開発の重鎮。ウジェーヌ・コルニュシェはパリ8区のマドレーヌ地区にある有名なレストラン「マキシム」創業者であり、ドーヴィルとトゥールヴィルのふたつのカジノの創立者です。


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1912年に創業したドーヴィルのカジノの前で記念撮影。
ドーヴィルのカジノは古典主義の建築様式で建設されましたが、1988年にバロック様式で改装されました。現在はリュシアン・バリエールグループが所有しています。


ドーヴィルのカジノといえば、作家フランソワーズ・サガンが浮かびますが、逸話をご存知ですか。1954年に発表された『悲しみよ、こんにちは』で人気作家となったサガンが、ドーヴィルのカジノでなんと800万フラン(およそ1億6000万円)を勝ち取ったのです。1958年8月8日のことです。サガンはカジノから大金を受け取って車に乗り込み、隣町のオンフルール近くに借りていた家に戻ったのが朝の9時過ぎ。その日はちょうど家を明け渡さなけれならない日だったので、家主が鍵を受け取りにやってきました。徹夜のカジノで疲れ果てていたサガンは、カバンから現金800万フランを取り出して、「これでこの家を買うから、このまま休ませてちょうだい」と言ったそうです。家主は即OKを出して、売買取引が成立しました。サガン23歳のときのことです。
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■CASINO BARRIERE DEAUVILLE
・住所: 2 rue Edmond Blanc - 14800 Deauville France
・電話: +33-2-3114-3114
・公式サイト: https://www.casinosbarriere.com/fr/deauville.html



レ・プランシュを歩いて感無量


ウジェーヌ・コルニュシェ通りからリュシアン・バリエール通り(rue Lucien Barière)に入ると、彼方に海岸が見えます。
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建築家シャルル・アッダのプレートが飾られていました。レ・プランシュ(板張りの遊歩道)とポンペイの公衆浴場からインスピレーションを得た更衣室を設計した人です。
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クロード・ルルーシュ監督が1966年に『男と女』のロケをこの地で行ったこと、カンヌ映画祭のパルムドール(最高賞)受賞、ゴールデングローブ賞、アカデミー賞を受賞したことを記念するプレートも飾られていました。
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ついに来ました。長年の願いが叶いました。これがレ・プランシュです!
海辺に沿って幅7mの板張りの遊歩道が656mにもわたって続いています。使用されている木はカメルーンを中心とする西アフリカに群生するボンゴシ(あるいはアソベ)と呼ばれる樹木です。
遊歩道にそって更衣室の小屋(キャビン)が設置され、それぞれの小屋にはドーヴィルで開催されるアメリカ映画祭に出席した映画スターの名前がつけられています。公共の更衣室ですので、予約すれば利用が可能なのがうれしいですね。
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カンヌに住んでいるイェウヘンさんがニコニコしながら、「まじまじと眺めているけど、そんなに海が好きなの?」と話しかけてきて、「海のない町で生まれて、いまも海のない町で生きている私には、海って謎なの」と答えると、「へ~」って不思議そうな顔をしたので、「地中海とイギリス海峡は雰囲気が違うでしょう。イェウヘンさんどっちが好き?」と尋ねると、「ノルマンディの海にはコートダジュールの華やかさはないけど、確かに神秘的な雰囲気があるね。海=浪漫=バカンス、ぼくはどこの海も好きだよ。ウクライナにも海があるけど、黒海は有名だよね。アゾフ海の西岸に広がる腐海を知っている? 深紅に染まるんだ。一見の価値ありだよ。海はみんなのもので、みんなに愛されるもの」って、心温まる返事が返ってきました。


新型コロナウイルス感染対策で飲食店が閉鎖されており、人通りも少なく、また、オフシーズンということでカラフルなビーチパラソルは見られませんでしたが、19世紀から20世紀、優雅なドレスをまとったブルジョワの女性たちがこの遊歩道を歩いていた時代を想像しながら、念願のイギリス海峡をドーヴィルの地から眺め、しばし幸福感に浸ることができました。コロナ禍であることを忘れさせてくれた時間です。


次回は、「ドーヴィル競馬場で馬たちとの交流」をお届けいたします。
引き続き、皆さま、お身体ご自愛くださいませ。


マダムユキより
 
 

 
 


2021年5月25日
2021年5月17日
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2021年4月 1日
2021年3月29日
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  • 特派員プロフィール
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    マダムユキさん
    リヨン在住20年。リヨン第二大学で美術史専攻。中世からルネサンス期の美術品・絵画・建築を得意とする。ワインとビールが生活の友。フランス現地手配会社を経営する。フランス リヨンの文化・芸術・建築を中心に、リヨン情報をお届けしたい。ツアー情報などのお問い合わせはこちら
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