フランス リヨンで、観光地の喧騒から離れて隠れ家のような「プチホテル」に泊まる

公開日 : 2020年02月10日
最終更新 :

【フランス リヨン便り n°10】

お洒落なプチホテルが誕生したので訪ねてみました。

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フランスのリヨンに流れるふたつの川(ローヌ川とソーヌ川)に挟まれたプレスキル(Presqu'Île)と呼ばれる中州は、商業が発達したリヨンの中心地区になります。プレスキルの真ん中に、6ヘクタール(62,000m²)の広さをもつベルクール広場(Place Bellecour)と称する、車の通行が禁止された歩行者専用の広場があります。この広場はリヨンのもっとも主要な十字路で、リヨン市庁舎やオペラ座へと続くリヨンのメインストリート「レピュブリック通り(rue de la République)」や、お洒落なブティックや高級ブランド店が軒を連ねる「プレジデン・エドゥアール・エリオ通り(rue du Président Edouard Herriot)」、ぺラシュ駅へと続く歩行者専用の「ヴィクトール・ユーゴ通り(rue Victor Hugo)」などがこの広場でつながります。

ベルクール広場からヴィクトール・ユーゴ通りをペラシュ駅方面に進むと、アンペール広場(Place Ampère)と称される小さな広場が現れます。フランスの物理学者・数学者であり、電磁気学の創始者のひとりに挙げられるアンドレ=マリー・アンぺール(André=Marie Ampère)の名を冠した広場です。アンペールといえば......覚えていますか? 中学の理科の授業で習った「右ねじの法則(あるいは右手の法則)」と呼ばれる法則を発見した人です。電流を右ねじが進む方向に直進させると、磁場が右ねじの回転方向に生じるという法則です。右手を握って親指を立てると、親指が電流の向きを示し、ほかの指が磁場の回転方向を示すという、これは日本ならではの覚え方なのですが、一般には「アンペールの法則」と呼ばれています。生活のなかで使われている電流の単位「アンペア」はアンペールにちなんでいます。

アンペールはこのリヨンで生まれ、マルセイユで死去しパリのモンマルトル墓地に埋葬されました。リヨンの人たちは、リヨン出身で、スウェーデン王立科学アカデミーの外国人会員にも選ばれた世界的物理学者アンペールを非常に誇りに思っています。アンペール広場の中央には、彫刻家シャルル・テクスト―ル(Charles Textor)作のアンペール像が置かれています。

アンペール広場からソーヌ川沿いに続く一帯は、エネ地区(Quartier d'Ainay)と呼ばれ、リヨンのなかでも歴史の古い地区のひとつです。前回のブログで、リヨンでもっとも古い教会を紹介させていただきましたが、その「サン・マルタン・デネ教会」が建てられたのもこのエネ地区になります。

13世紀、エネの修道院はブルゴーニュ地方からプロヴァンス地方の71の教会の頂点にたつ、フランスのもっとも重要な修道院のひとつでした。のちに修道院内に、フランス王が滞在するための館(フランス革命で破壊されました)が建設され、修道院を保護するために1313年から1324年にかけて塁壁が築かれるほどですから、当時の規模が想像できるでしょう。塁壁は1777年に取り壊されてしまい、現在は「エネのランパール(塁壁)通り(rue des Remparts d'Ainay)」という名が残るのみです。エネ地区はファサードが美しい建物が多く、リヨンの貴族やブルジョワ階級が住んでいた由緒正しい地区であったことがうかがわれます。

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2019年6月、エネ地区のサン・マルタン・デネ教会の前に、かつて学校だった建物を改修したお洒落なホテルがオープンしました。オテル・ド・ラべイ(Hôtel de l'Abbaye)、日本語で「修道院ホテル」と称される、全21室という小さなホテルです。教室が客室に、学校の食堂がレストランに、職員室が喫茶ルームにリニューアルされて地上階(日本では1階)にレセプションやレストラン、喫茶ルーム、その上の3階層が客室となっています。各階ごとに客室のインテリアスタイルを変え、70年代ヒッピーやロースタイルであったり、コクーニングを基調とするカジュアル&シックな雰囲気が、お洒落さを高めています。こじんまりと落ち着きのある佇まい、洗練された古きよき時代のインテリア、そこは隠れ家のように、観光地の喧騒を離れ旅の疲れを癒してくれます。

かつて学校だったこの場所は、エネ地区の住人にとってはとても身近な場所です。ホテルのレストランは、昼も夜も地元の人でにぎわっているそうです。

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【オテル・ド・ラベイ(HOTEL DE L'ABBAYE)】

・住所: 20 rue de l'Abbaye d'Ainay 69002 Lyon France

・電話番号: +33 4 78 05 60 40

・Webサイト: https://hotelabbayelyon.com/

・最寄り駅: 地下鉄A線 アンペール・ヴィクトル・ユーゴ(Ampère Victor Hugo)

筆者

フランス特派員

マダムユキ

リヨン在住20年以上。フランス各地の魅力を文化・芸術・建築・食を中心にお届けしたい。

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