【新型コロナウイルスCOVID-19】フランスで2度目の「ロックダウン」、リヨンで「光の祭典」中止が決定

公開日 : 2020年10月31日
最終更新 :

【フランス リヨン便り n°41】

皆様、ご無沙汰をしておりました。リヨン在住のマダムユキです。

10月はブログをお休みしてしまいました。ごめんなさい。

日本の友人・知人、仕事関係者から、ウイルスに感染したの?という心配のメールをいただきました。ありがとうございます。いえいえ、大丈夫です。運よくもウイルスにはまだ感染していません。「運よく」というのも、リヨンおよびその周辺も含め、オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地方圏では新型コロナウイルスCOVID-19の感染状況がかなり悪化しています。

オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地方圏の週43(S43 : 2020年10月19日~10月25日)における新規感染者数は5万6400人で、パリを含むイル・ド・フランス地方圏の同期間における新規感染者数5万3421人を上回る数となっています。

陽性率をみても、週43における陽性率は26%と、イル・ド・フランス地方圏の20.5%を大幅に上回っています。

▼オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地方圏の新規感染者数と陽性率の週間推移

(出典:Santé publique 「Point épidémio régional Spécial COVID-19 Auvergne-Rhône-Alpes」)

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新型コロナウイルス感染者の入院者数も急激に上昇しており、4月時点のピークを上回る勢いです。重篤者数も4月のピークに近づきました。特にリヨン市内の病院では、医療飽和状態が危惧されています。

▼オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地方圏の感染入院者数および重篤者数の推移

(出典:Santé publique 「Point épidémio régional Spécial COVID-19 Auvergne-Rhône-Alpes」)

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ウイルス感染者の病院での死亡者数も週35(S35 : 2020年8月24日~8月30日)を境に増え続け、春のピーク時の週17(S17 : 2020年4月20日~4月26日)とほぼ同水準となりました。亡くなられた方の68%が80歳以上の高齢者です。

▼オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地方圏の感染入院患者の死亡者数推移

(出典:Santé publique 「Point épidémio régional Spécial COVID-19 Auvergne-Rhône-Alpes」)

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数字が示すように、オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地方圏の感染状況は芳しくありません。

周りの心配をよそに、10月は実り秋、芸術の秋ということもあって、あちらこちらに出かけておりました。

リヨン近郊のぶどう畑も紅く色づきはじめ、美しい紅葉と黄葉の景色をいち早く楽しんできました。今年は例年よりも早くぶどうの収穫が行われたこともあり、いままさに、ぶどうたちがワインへと姿をかえて熟成をはじめています。ボージョレ、ローヌ、サヴォワ、ジュラ、ブルゴーニュといったリヨン近郊のワイナリーを訪問し、今年のワインの様子をうかがってきたところです。

▼リヨンから車で1時間弱、ボージョレ地方のブルイィ山から一望するぶどう畑の眺め

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そうこうしているうちに、フランスでいろいろなことが起きました。

【リヨンが警戒最大化ゾーンに指定される】

10月8日、オリヴィエ・ヴェラン連帯保健大臣が記者会見を行い、10月10日からリヨンとその近郊都市(グルノーブル、サン・テティエンヌ)、およびリールを「警戒最大化ゾーン」へ移行することを発表しました。「警戒最大化ゾーン」に指定されると、リヨン市内のバーは閉鎖されます。レストランは営業を継続できます。

10月10日から感染対策措置が強化されましたが、「この店は閉店してあの店は営業している」、どちらもバーだったと思うけど......。リヨンの町を歩きながらふと、バーとレストランの違いは?という素朴な疑問が生まれました。

どちらもアルコール飲料を提供するには「ライセンスIV(Licence IV)」を取得していなければなりません。「バー」はアルコール飲料も含めて、飲料の提供を主たるサービスとし、レストランは食事の提供がメインとなります。飲料は付随サービスで、着席して食事をするところがレストラン、ビールやグラスワインなどアルコール飲料だけのサービスはバーというカテゴリーになります。最近のバーでは、おつまみとして乾きもの(チーズやハムの盛り合わせ)だけでなく、ピザやハンバーガー、揚げ物(ポテトフライや唐揚げ)といった軽食を提供するところが増え、日中も営業しているところも見られます。消費者からすれば、バーなのかレストランなのか、お店によっては位置づけがあいまいにみえますが、恐らく、商業登録の際に記載される業務内容(バーであるかレストランであるか)に従って、営業が可能か不可かが決定するのでしょう。

▼若者でこみあうビールバーだったのですが...

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【フランス全土で夜間禁止令が発せられる】

10月14日、マクロン大統領がテレビインタビューで、10月17日の0時より、パリとその近郊、そしてリヨンを含む8つの都市(グルノーブル、リール、エクス=マルセイユ、モンペリエ、ルーアン、サン=テティエンヌ、トゥールーズ)において夜間外出禁止令を発しました。いわゆるプチロックダウンの始まりです。

外出が禁止される時間帯は21時から6時です。これに対応するために、レストランの夜の営業時間が19時30分から18時に繰り上げられ、20時30分に閉店するところが増えました。夕食の時間が遅いフランスでは、通常であれば21時頃からレストランが混みあってくるので、18時頃からレストランで食事をすることをどう思うかとても気になりました。「郷に入っては郷に従え」ですね。順応する動きがみられ、私も18時30分にレストランを予約し、20時30分までの2時間という限られた時間のなかで、食事を楽しみました。もしかしたら、これを機にフランス人の夕食時間が早まるかも......と、今後の生活習慣の変化を見守りたいと思いました。

▼あと10分で外出禁止となる地下鉄「ベルクール広場」駅(急がねば......と思うのは私だけ?)

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【サマータイムの終了】

10月25日からサマータイムが終わり、日本とフランスの時差が7時間から8時間となりました。日が沈む時間がさらに早くなりました。冬に向かって着実に季節が移り変っていきます。

【フランス全土で再びロックダウン】

10月に入ってから「ロックダウンがあるかも......」という噂が流れはじめ、全国的に行うのか、感染状況が悪化している都市のみで行うのか、という点が話題となっていました。

10月28日20時、マクロン大統領がテレビ演説を行い、フランス国内の新型コロナウイルスの感染状況悪化を受けて、10月30日から最短でも12月01日まで、全国的な外出制限(ロックダウン)を実施する旨を発表しました。「ついにきたか~」という思いでしたが、3月時点のロックダウンよりはかなり条件が緩和されています。

1. 学校は閉鎖されない、2. 仕事には行くことができる、3. 高齢者施設の訪問は可能であること

10月29日、カステック首相と閣僚5名が共同記者会見を行い、マクロン大統領が発表した外出制限に関する追加説明を行いました。3月のロックダウンとのは違いは、公園、広場、ビーチなどは閉鎖されず、卸売業店、ホテルなどの宿泊施設、小学校・中学校・高校および関連教育機関も閉鎖されないことです。大学などの高等教育機関はオンライン授業のみとなり、音楽学校やスポーツクラブなどは閉鎖されます。

生活必需品を扱う店(コンビニ、スーパー、駐車場、クリーニング店、情報通信機器店、レンタルカー店など)は営業を継続できます。

▼花屋さんは11月1日の万節祭まで営業が許されるそうです(その後は閉鎖されます......)

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政府の公式ウェブサイトに営業を継続できるサービスや施設、閉鎖されるサービスのリストが公表されていますが、3月のロックダウンに続き今回も、文化関連(図書館、美術館・博物館、劇場)、レジャー・アトラクション施設ならびに飲食店(テイクアウトあるいはデリバリー、ルームサービスを除く、レストランやバー)は閉鎖されます。

▼閉鎖されたリヨンのテット・ドール劇場(残念でなりません)

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▼車の通りが減った車道(大気汚染軽減につながりそうですね)

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犠牲という言葉は適切ではないかもしれませんが、今回のロックダウンで、就労前の学生さんと定年退職後のご年配の方々は活動範囲が大きく限定されます。

ロックダウンの前夜、パリやトゥールーズなどで、若者たちが「ロックダウン反対」と叫びながら、夜の町を歩いている映像が流れました。

感染しても軽症で終わる若者たちにとって、大学は閉鎖され、外出が規制されて友達にも会えないという現状はとても厳しいものであると思います。私も若かりし頃を振り返り、もし同じ立場であったら、「ウイルスの犠牲者」であると訴えていたかもしれません。

【リヨンの光の祭典が中止】

10月23日、リヨン市長とローヌ県知事との間で、リヨン最大のイベント「光の祭典」の催行について話し合いが行われました。その直後に、一部のメディアで「光の祭典が中止」という報道が流れ、私もそれを目にして、「やっぱり~」、と肩を落としていたところ、リヨン市長が、「それは誤報であり、今後のウイルス感染状況の動向をみながら、11月中旬までに決定する」と、イベント中止を否定しました。「延命」と喜ぶのもつかの間、10月28日、マクロン大統領のテレビ演説が行われる前に、リヨン市長が正式に「リヨン光の祭典の中止決定」を発表いたしました。2019年は180万人が訪れたイベントです。リヨン市の人口が52万人ですから、住民の3倍以上の人がリヨンにやってきます。「これからの1ヵ月でウイルス感染状況が改善し、安全にビジターを迎えることができる環境に戻るのか」を考えれば、リヨン人は中止の決定は賢明であると納得しています。12月8日の夜、私たちリヨン住民は伝統に忠実に窓辺にロウソクをならべ、「平和への願いを込めて」、リヨンの町をロウソクの明りで光輝かせることでしょう。

▼2019年の光の祭典(今年も楽しみにしていたのですが......)

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【家でもできること】

ロックダウンでもできること、まずは、おいしいスイーツを食べながらハロウィンの夜にホラー映画を見ることかな。

▼リヨンのショコラティエ「ヴォワザン」のハロウィンスイーツ(小さな幸せです)

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人の命を守る、教育を守る、経済を守る......、同時進行は難しいのですが、ウイルス発生以来、休むことなく働いている医療従事者の方々の日々の闘いに敬意を払い、彼らの負担を少しでも軽減するためにも、ウイルスに感染しないように努めていきたいです。出口の見えないトンネルを歩いているようですが、あきらめず、ワクチンや特効薬の開発に向けて頑張っている研究者たちを信じて、「感染しない、感染させない」ために、一人ひとりができることを続けていきましょう。

皆様も、引き続き、お身体をご自愛くださいませ。

筆者

フランス特派員

マダムユキ

リヨン在住20年以上。フランス各地の魅力を文化・芸術・建築・食を中心にお届けしたい。

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