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フランス/リヨン特派員ブログ マダムユキさん

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2020年12月14日

【コロナに負けない】2020年12月8日の「光の祭典」、窓辺に灯したロウソクの光で包まれたリヨンの町


【コロナに負けない】2020年12月8日の「光の祭典」、窓辺に灯したロウソクの光で包まれたリヨンの町

【フランス リヨン便り n°46】


皆様、こんにちは。リヨン在住のマダムユキです。


2020年12月8日はリヨン人にとって特別な日。毎年、最先端のプロジェクションマッピングとイルミネーション技術を結集させた世界最大級の光のイベント、「リヨン光の祭典」が開催される日です。2019年は、大規模なストライキが行われていたなか、それでも4日間で180万人がリヨンを訪問しました。今年は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより、リヨン市が苦渋の決断でイベントを中止しました。そういえば、過去に一度、パリ同時多発テロ事件が発生した2015年もリヨンの光の祭典が中止になりました。まだ記憶に新しいです。


「リヨンの光の祭典」の起源をたどれば、中世の時代に疫病ペストからリヨンを救ったとされる聖母マリアへの感謝を示し、窓辺にローソクを灯してリヨンの町を光で包む、「感謝の光」「祈りの光」が由来です。


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1643年のこと。南フランスからペストが蔓延しリヨンに近づいてきました。リヨンの人々はペストの脅威から救いの祈りをフルヴィエールの丘の聖マリアへ捧げ続けました。想像してみてください。顕微鏡技術のない当時、目に見えない敵が襲ってくる恐怖を。
歴史が語るように聖マリアはリヨンに微笑みました。リヨン人の祈りが天に届いたのか、ペストはリヨンを襲うことなく終息していったのです。それから毎年、聖マリアの誕生の日にあたる9月8日、感謝の気持ちを込めて、リヨンの住民はサン・ジャン大聖堂からフルヴィエールの丘の聖マリア像が祀られた礼拝堂(サン・トーマ礼拝堂)まで巡礼行列を行い、聖マリア像に大きなローソクと金貨1枚を献納するという儀式を始めました。これがリヨンの伝統行事のはじまりです。


200年後の1850年、フルヴィエールの丘の礼拝堂の鐘塔の上にマリア像を設置することが決まりました。2年間の制作期間を終えて、高さ5.6m、重さ3トンの聖マリア像が完成しました。そして、1852年9月8日、フルヴィエールの丘からリヨンを見下ろす聖マリア像の完成式典が予定されました。当日、不運なことにフルヴィエールの丘のふもとを流れるソーヌ川が増水するほどの悪天候に見舞われ、式典は聖マリアの「無原罪の御宿り」を祝う12月8日に延期となりました。そして、待ちに待った1852年12月8日の朝。二度あることは三度ある。今度は雷をともなう大雨がリヨンを襲いました。リヨン市は翌週の日曜日に延期しようと話し合っていました。しかし、リヨンの住民は「3ヵ月も待たされたんだ。これ以上は待てないよ」ということで、式典の準備を始めたのです。フルヴィエールの丘から花火をあげて、ファンファーレを奏でることが予定されていました。すると、次第に雲が晴れてゆき、リヨンの人々は空を見上げて喜びにあふれ、誰とはなしに窓辺にローソクを灯し、窓越しから賛美歌を歌い、「マリア様万歳!」と叫びました。祝典は夜中まで続いたそうです。リヨンでは、フランス王がリヨンを訪問した日や戦勝記念日といった重要な行事がある日には、窓辺にローソクを灯すことが伝統でした。こうして12月8日は窓辺にローソクを灯すことが慣習となり、それが今日まで続いています。


ローソクは「リュミニョン(lumignon)」あるいは「ランピオン(lampion)」と呼ばれ、カップケーキの形をしています。それを彩色されたグラスに入れて窓辺に飾ります。


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1989年、リヨン市が12月8日の伝統行事の日にリヨンの歴史的建造物をライトアップしました。これが大好評で、1999年からは12月8日をはさんだ4日間を「リヨンの光の祭典」と称して、照射技術者による大規模なイルミネーションが行われるようになりました。2005年からはフランス国内のみならず、世界各地からコンペに勝ち抜いたプロジェクションマッピングやイルミネーションのアーティストによる光のショーが繰り広げられ、2010年には300万人、2012年は400万人がリヨンを訪問するという世界有数のイベントに発展していきました。


今年は、新型コロナウイルスのパンデミックにより華やかなイベントは中止となりました。リヨン市は「イベントが中止となってしまったが、だからこそ、数世紀にわたる伝統に忠実に、窓辺にローソクを灯してリヨンを輝かせよう」と住民に訴えました。そして、2020年12月8日、リヨン市はウイルスと日々闘っている医療従事者の方々への感謝と連帯感を表現するために、2万個のローソクで飾られたフレスコ画を実現させました。人が集まってくることを避けるため、場所は未公開となりましたが、その様子を地方テレビ局France 3 が放映しました。


フランス政府はロックダウンを解除していませんが、1日に20km圏内で3時間までの散歩が許されています。2020年12月8日、私も仕事帰りにリヨン市内を歩きました。そして、ソーヌ川沿いからフルヴィエールの丘を見上げてみると、1643年のペストと2020年のコロナウイルスの歴史が交差して、ローマの歴史家クルチュウス・ルーフスの言葉でドイツの哲学者カール・マルクスが引用した「歴史は繰り返す」が頭をよぎりました。ウイルスは必ず終息します。ペストが終息したように。良くも悪しくも歴史は繰り返します。


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皆様、引き続き、お身体をご自愛くださいませ。

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    リヨン特派員
    マダムユキさん
    リヨン在住20年。リヨン第二大学で美術史専攻。中世からルネサンス期の美術品・絵画・建築を得意とする。ワインとビールが生活の友。フランス現地手配会社を経営する。フランス リヨンの文化・芸術・建築を中心に、リヨン情報をお届けしたい。ツアー情報などのお問い合わせはこちら
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