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フランス/リヨン特派員ブログ マダムユキさん

フランス・リヨン特派員が現地からヨーロッパ地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。

2021年12月 1日

ボージョレ・ヌーヴォー2021の解禁をブションで祝った


ボージョレ・ヌーヴォー2021の解禁をブションで祝った

【フランス リヨン便り n°64】


こんにちは、マダムユキです。フランスのリヨンからお届けしています。


ブログの更新がすっかり遅れてしまって、ごめんなさい。
9月から衛生パス(*)を提示することによって人が集まることが許され、リヨンでさまざまなイベントが開催されています。楽しい雰囲気を日本の皆様にお伝えしたくて、カメラ片手に取材に出かけていますが、ライティングが追いつかず、ニュース性に欠けてしまって、恥ずかしい限りです(泣)。


言い訳している場合ではないのですが、フランスはワクチンの完全接種率が70%で頭打ちしてなかなか進まず、10月中旬頃から感染者数が増え始めました。11月30日の1日あたりの感染者数は4万7000人を記録しました。
また、日本も同様ではないかと思いますが、南アフリカ共和国でオミクロンと名づけられた新種のウイルス変異株が確認され、フランスのメディアはその話題でもちきりです。


2週間ほど前、ボージョレ・ヌーヴォーが解禁し、リヨンは伝統に従って新酒を楽しみ、にぎやかな週末を過ごしたのがうそのようです。
思い起こせば2021年も、秋に感染者数が爆発的に増えて、フランスは11月に2度目のロックダウン入りをしました。飲食店の営業が禁止され、ボージョレ・ヌーヴォーの解禁を自宅で細々と祝ったものでした。
今年こそは、友だちと、同僚と、家族と、ワインバーやカフェやレストランで楽しく飲んで食べて祝いたいとリヨン人はみなそう願ったと思います。


(お時間のある方)
2020年のボージョレ・ヌーヴォー解禁はこちらのブログをご閲覧ください
https://tokuhain.arukikata.co.jp/lyon/2020/11/post_341.html


1985年からボージョレ・ヌヴォーの解禁日は11月第三木曜日と法律で規定されました(フランスはボージョレ・ヌーヴォーの解禁日まで法律で決める国なんです)。
今年は11月18日が解禁日でした。朝からうずうずして、仕事も手につきません。さっそくランチにリヨンの伝統料理を楽しめるブションを訪れました!


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ブションについてはブログで何度か紹介していますが、ブションは、所せましと並べられたテーブルに座って、「袖振り合うも他生の縁」のごとく、両隣りの見知らぬ人と気軽に言葉を交わし合い、アットホームな雰囲気でリヨンの伝統料理を楽しむ大衆食堂です。
観光客に絶大なる人気を博していますが、おすすめは地元の常連客に愛されているブションです。


そのひとつが「オー・プティ・ブション・シェ・ジョルジュ(AU PETIT BOUCHON CHEZ GEORGES)」


リヨンの中心地区、プレスキル(ローヌ川とソーヌ川に挟まれた中州)にありますが、少し奥まったところなので、知る人ぞ知るブションです。
サイトも用意されていますが、オンライン予約は受けつけず、テーブル予約は電話のみです(これも伝統継承のひとつでしょうか!)。


しかも、朝9時から営業しています。リヨンでもマション(Mâchon)を楽しめる数少ないブションなのです。


マションは、「噛む」という意味の「マショネ(mâchonner)」からきたリヨン固有の表現で、シャルキュトリー(Charcuterie)と呼ばれるハムやサラミなどの豚肉加工品の盛り合わせや贓物を使用した料理を、リヨンではポ(pot)と呼ばれる底の厚いボトルに入ったボージョレの赤ワインやマコネーの白ワインと一緒に楽しむことをさします。きちんとした食事というよりは軽食のイメージです。
「朝から!」という声が聞こえてきそうですが、伝統的にはそうなんです。朝から肉加工品をワインと一緒に楽しみます。実は、マションは夜通し働き続けたカニュ(リヨン絹織物職人)たちの朝食だったのです。


絹織物産業の後退により職工がいなくなり、マションの伝統も消えていこうとするなか、1964年に「マションの伝統、リヨンの食文化遺産を守っていこう」いう有志が集い、「フラン・マション(Francs-Machôns)」という団体が結成されました。その音頭をとったのが、「オー・プティ・ブション・シェ・ジョルジュ」の創業者であるジョルジュ・ドレベ(Georges DREBET)さんです。
ブションの入口にそのことが記されたプレートが飾られています。


▼マションの伝統を継承する団体の誕生が記されたプレート
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リヨンの伝統を後世に伝え続けたいという熱い思いが今でも伝わってくるブションです。
ですから、例年、ボージョレ・ヌーヴォー解禁日は大にぎわいです。


「オー・プティ・ブション・シェ・ジョルジュ」は30席しかないので、特別な日でなくても、いつも満席です。店内に人があふれたら、人の顔を避けて撮影することはほぼ不可能なので、午前中の人が少ない時間帯に店内を撮影させてもらいました。


▼レトロな雰囲気の店内でしょう!
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▼年季が入ったバーカウンター
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▼ブションのトレードマークである赤と白のチェック柄のテーブルナプキン(シャツの第一ボタンに留められるようにボタン穴がついているのもブションならでは)
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▼鏡に映るマダムユキ(壁一面の鏡が小さな店内に奥行き感を与えています)
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▼恋人たちの席(ここを予約しようとしたらひとりじゃだめって断られました......、店長の冗談なのでご安心を)
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▼今年のボージョレ・ヌーヴォーを紹介する店長さん(エプロンもボージョレ・ヌーヴォー)
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店長さんに今年のボージョレ・ヌーヴォーの評価をうかがいました。


マダムユキ:今年のボージョレ・ヌーヴォーをどう思いますか?


店長:おいしい


マダムユキ:あの~、ほかにもっと......


店長:あのね、ブションはワインを高級レストランのように、香りを嗅いだり、色を見たり、いろいろ吟味して飲んだりしないよ。お客さんはぼくたちを信用してくれているから、出されたものを吟味せずにそのまま口に入れる。そのとき「旨い」って言葉がさりげなくでてきたら、最高だよね。


マダムユキ:あの~、それで、今年は......


店長:早造りだから、よほどのマイナス要因がなければまずいワインにはならない。そもそもタンニンが控え目でフルーティなワインだからね。新酒は、ワインを楽しむというよりは、ぶどうを楽しむものだよ。1年間、病気にならず、雨風に耐えてよく育ったねって。カニュ(リヨン絹織物職人)はワインを飲めることに幸せを感じていたんだ。それに比べると、ボージョレ・ヌーヴォーをああだこうだというのは贅沢すぎると思わないかい?


マダムユキ:カニュの話は興味深いですが、あの~、それで、今年は......


店長:おいしいよ。さっきも言っただろう。2種類のヌーヴォーを用意した。フィルターにかけたものとかけていないもの。フィルターにかけたほうが飲みやすいけど、本来のぶどうの味、ガメイ種だよ、知っているよね、もちろん。ガメイの味わいを楽しみたかったからフィルターにかけていないものを味わってごらん。少し濁っているから、見た目は悪いけど、風味が深いよ。外見で判断してはだめだ。人間も同じだ。


マダムユキ:とてもよいお話しですが、あの~、それで、今年は......


店長:しつこね、マダムユキ。今年はたいへんな1年だったんだ。取引しているドメーヌが話してくれたよ。4月に霜、7月に雹、8月に雨だよ。収穫量は例年の30~50%減。9月の中旬からぶどうの収穫が始まり、雨が降ったりやんだりで1ヵ月もかかったらしい。ともかく異常気象だったけど、意外なことに......、


マダムユキ:えっ、何が意外なんですか!


店長:マダムユキ、顔が笑っているよ。わかったよ。話すよ。2020年は猛暑だったよね。覚えているだろう。収穫が8月中旬から始まった。今年は冷夏で9月の中旬だ。確かに昨年よりは遅いけど、歴史的には例年なみの収穫時期だ。決して遅いわけではない。ここ数年、収穫時期が早かっただけだ。つまり、ぶどうは普通に育っている。いろいろトラブルがあったけど、ぶどうは自然のなかで生きているから、霜や雹なんて、何度も経験してきた。それくらいは覚悟している。飲んでごらんよ。タンニンがやわらかい。予想した以上に酸味とのバランスがとれている。もしかしたら、クリュ(格づけがワンランク上の長期保存型ワイン)はいい感じに熟成するかもしれない。そんなポテンシャルなところを発見するのが新酒の魅力だ。2021年は意外とあなどれない。コアなファンができると思う。


マダムユキ:ありがとうございます! パーフェクトなお答えです(⌒∇⌒)。


▼グラトン(豚の脂を揚げたもの)とソーセージがおつまみ
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▼ソーセージのワイン煮込み(店長いわく、いつも同じ料理を注文するねって。はい、赤ワインソースにからめたリヨンソーセージは絶品です。ボージョレワインとの相性も抜群!)
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意外でしたが、本当に深みのあるヌーヴォーでした。色もガメイらしく紫がかった美しい赤色で、香りは定番ですがレッドフルーツ系で、だからファーストノートはフルーティだけど、後からバナナのようなまったりした風味が口全体に広がって、よくボージョレ・ヌーヴォーは軽いって言われるけど、ストラクチャーがしっかりしているなあって感じさせるワインでした。新酒のあとは、熟成させたワインを味わってみたいですね。
店長さん、いつもわがまま言ってごめんなさい。おいしい料理とワインと心温まるおもてなしをありがとう。


【お店情報】
 AU PETIT BOUCHON CHEZ GEORGES(オー・プティ・ブション・シェ・ジョルジュ)
・住所: 8 rue du Garet - 69001 Lyon France
・電話: +33 4 78 28 30 46
・営業時間: 月曜日~金曜日 9:00~14:00、19:00~22:30
・休業日: 土曜日、日曜日
・サイト: https://www.aupetit-bouchon-chez-georges.fr/


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マダムユキより


※「衛生パス(Pass Sanitaire)」とは、ワクチン完全接種済みの証明書あるいは72時間以内に取得したRT-PCR検査または抗原検査に基づく陰性証明書あるいは過去11日前から6ヵ月以内に感染回復したことを示す証明書をもって交付されるQRコードのことです。
 
 

 
 
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  • 特派員プロフィール
  • リヨン特派員

    リヨン特派員
    マダムユキさん
    リヨン在住20年。リヨン第二大学で美術史専攻。中世からルネサンス期の美術品・絵画・建築を得意とする。ワインとビールが生活の友。フランス現地手配会社を経営する。フランス リヨンの文化・芸術・建築を中心に、リヨン情報をお届けしたい。ツアー情報などのお問い合わせはこちら
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