稼働させない原子力発電所 バターン原子力発電所

公開日 : 2014年10月22日
最終更新 :
筆者 : Okada M.A.

フィリピンにも、実は原子力発電所があります。マニラの北西100kmのフィリピン海に面したバターンにある、バターン原子力発電所です。

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バターン原子力発電所 GNU Free Documentation License

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ただしこの原子力発電所は、フィリピン大統領令により稼働させないことが現在のところ決定しています。しかし、解体された訳ではなく設備は稼働開始の可能な状態で維持されており、2011年には観光地化されることが国立電力公社により決定され、現在は見学可能となっています。まだ一度も核燃料が投入された事は無いため安全に見学出来ると言う訳で、珍しい一般市民の原子力発電所内の見学が可能となっています。

フィリピンの原子力発電は1958年の計画開始から、1973年のオイル・ショックが引き金となったマルコス政権下での原子力発電所建設決定、1976年のバターン原子力発電所着工開始、1979年のスリーマイル島の大規模な原子力発電所事故を受けての建設停止、1983年の世界史上でも有数の規模だった近隣のピナツボ火山噴火によるダメージ、1984年の建設完了、それから程なく起こった1986年の「ピープルズ・パワー」によるマルコスの失脚と、さらに時を同じくして発生したチェルノブイリの、最悪のレベル7(深刻な事故)とされる原子力発電所事故により、盛り上がる市民運動と原発反対運動に後押しされ、悲劇の英雄・暗殺されたニノイ・アキノ氏の意志を継いで大統領となったアキノ夫人のコラソン・アキノによるバターン原子力発電所の非稼働決定の大統領令が発令され、稼働されないままの、フィリピン初のみならずASEAN諸国初の原子力発電所は、現在に至っています。

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一方で現在までの間、フィリピン政府と国立電力公社は世界第四位の活火山の数を持つ(日本は第三位)地の利を生かして地熱発電所の建設を続けており、現在はアメリカ合衆国に続き、世界第二位の発電量を誇るまでになっています。

化石燃料も使用せず、核廃棄物もない、かなりクリーンなエネルギー獲得の努力も実際に続けられてもいる訳です。

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ネグロス島のプハガン地熱発電所 Creative Commons Attribution-Share Alike 3.0 Unported license

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そして、日本での大規模な原子力発電所事故のあった今、このバターン原子力発電所は果たして何の象徴として海に向かって佇むのか。原発の歴史の生き証人として何処に向かっていくのか。見守る価値はありそうです。

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