オーストラリア・デーに「ミートパイ」
■グレービーが決め手
オーストラリアのミートパイは、日本のものとは味も形も違います。日本のものはトマトソース味のハンバーグがパイシートに包まれている感じですが、オーストラリアのミートパイは、肉がグレービー(肉汁を素に作ったソース)ともに手のひらサイズのパイ皿に適度な硬度で収められています。トマトソースを上にのせたり塗ったりしてかぶりつくファーストフードです。初めて食べときに「あれ、間違えて買ったかな?」と思うほどに、日本のそれとは別物でした。ミートパイの起源は古代エジプトまで遡るといわれますが、オーストラリアにはイギリス人の入植とともに入ってきました。開拓時代には安価な羊肉が使われ、その後はホテルでの軽食や各種スポーツやイベント会場でスナックとし移動販売されていたほか、シドニーの観光地・サーキュラーキーでフェリーの乗客相手に人気となり、その後各地のベーカリーで手作り、販売されるようになり広まっていきました。現在ではベーカリーはもちろん、冷凍食品売り場ではかなりのスペースを占める(20銘柄以上あります)ほかミートパイの専門店もあり、具材やフレーバーも種類が豊富です。
■国際色豊かなフレーバー
オーストラリアでのミートパイの年間平均消費量はひとり当たり12個で総計2億70万食が消費されているそうです。フレーバーはプレーンな牛肉を中心に、ステーキ&マッシュルーム、ステーキ&オニオン、ベーコンエッグ、タイカレー、バターチキン、モロッコラムなど、多文化国家オーストラリアならではでバラエティに富んでいます。州によって嗜好も違うそうで、ビクトリア州はステーキ&オニオンが好まれています。また、南オーストラリアでは、グリーンピースのスープにパイを浮かべて食べる「フローター」という独特の食べ方もあります。とはいえ、ミートパイは定義もしっかりとあり、「肉を最低25%含んでいること」とオーストラリアの食品基準(Food Standard Australia and New Zealand)で定められています。1990年からは「ザ・オフィシャル・グレート・オージー・ミートパイ大会(The Official Great Aussie Meat Pie Competition)と呼ばれるミートパイの全国大会が開催されており、プレーン、ベジタリアン、グルメなど10のカテゴリーで、本職が腕を競っています。
ミートパイ大会での審査基準は、パイ皮の焼け具合と中身の味のバランスやグレービーの硬度です。受賞作にはかないませんが、インスタントの冷凍生地があれば簡単にオーストラリアのミートパイを作ることができます。オーストラリア名物ベジマイトが隠し味です。
材料(直径8cmのパイ/タルト皿2個分):
冷凍タルト生地(甘くないもの)1枚、冷凍パイ生地 1枚、溶き卵 適量、油 大さじ2分の1、玉ねぎのみじん切り 2分の1個分、牛ひき肉 250g、コーンフラワー 大さじ2分の1、スープストック(ビーフ) 90㏄、トマトソース 90ml、ウスターソース 大さじ1、中濃/とんかつソース 大さじ2分の1、ナツメグ、ベイリーフなどの香辛料 適量、ベジマイト 小さじ2分の1(※1)
準備:パイ/タルト皿に油を塗っておく。オーブンを220℃に温めておく。
作り方:
①油をひいて熱したフライパンで玉ねぎをしんなりするまで炒め、ひき肉を加えて肉が茶色になるまでさらに炒める。
②スープストックにコーンフラワーを混ぜ、トマトソース、ウスターソース、とんかつ/中濃ソース、ベジマイト、香辛料とともにひき肉のフライパンに加えて沸騰させる。弱火にしてとろみがつくまで煮込む(7~8分)。冷ます(※2)。
③煮込んでいる間にタルト生地をパイ皿に敷き、冷めた具材を入れてパイ生地でふたをし(※3)、表面に溶き卵を塗る。オーブンで30~35分、きつね色になるまで焼く。
※1 ベジマイトがなければ醤油でも。
※2 煮込んだ具材を熱いままパイ皿に入れると生地が水分を吸ってしまいます。
※3 パイ・タルト生地は15cmくらいの丸型で抜くときれいに収まります。
〈参考サイト〉
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