イタリアCMウォッチング

公開日 : 2000年06月28日
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イタリアに来たら言葉は分からないにしても、ホテルで何となくテレビをつけてみたくなることがあるでしょう。イタリアのテレビ番組はやたらにぎやかで、派手なバラエティーショーが多いですが、そういったショーは内容が理解できないとつまらないもの。でも短いCMならビジュアルに訴える内容なので、言葉の分からないツーリストでも面白く鑑賞できることがあります。最近のイタリアのCMの中で、私の一押しはやっぱりWINDのコマーシャルでしょう。WINDはENEL(イタリア電力公社)やフランステレコムが株主に名を連ねる、新しい民間のテレコミュニケーション会社。このCMがなかなかかっこいいのです。イタリア国民一人一人の胸に深く刻まれているあのシーン、94年のサッカーワールドカップでロベルト・バッジョがPKをはずしてしまった忘れもしないあの場面を起用したCMなのです。このCMでは、あまりにも有名なあの決定的瞬間をコンピューターグラフィックスを駆使して操作し、事実とは裏腹にPKが「決まる」シーンに再現し直したのです。監督と抱き合って喜ぶバッジョの姿はCM用に後から撮影されたものとか。そして画面に流れるコピーは「WINDは歴史を変える。」!!あまりにも格好良すぎやしませんか!テレコミュニケーション関連の中でも携帯電話の競争は年々激しく、派手なCM合戦が昨年から繰り広げられています。オムニテル(オリヴェッティ系列)とテレコムイタリア(日本のNTTにあたる老舗企業)の闘いはし烈ですが、昨年まではオーストラリア人モデル、メガン・ゲイルの爆発的な人気でCMではオムニテルが圧勝した形になっていました。(アラン・ドロンとの共演でベネチアを舞台にしたCM。メガンは仮面をつけたミステリアスな女性役で出演していました。その後も彼女が出演するシリーズCMは今も続いています。)テレコムもこれに負けていられないと、今年の早春から莫大な資金を投資して話題のCMをフューチャーしました。ウッディ・アレン、マーロン・ブランドなどハリウッドの大スターを起用し、ちょっとかっこいい大人の高級感あふれるCMになっています。ウッディ・アレンの出ているCMは、ニューヨークの街角で心配性の彼が心理カウンセラーの先生に携帯から長電話している滑稽なシーンです。まるで彼の映画の一シーンを見ているような気分になります。笑ってしまうのはパスタのバリッラのCM。いろいろなバージョンがあるのですが、シリーズの一つに「息子を訪ねて日本に初めてやってくるイタリアの両親」のCMがある。なぜそれがパスタと関係があるのか?日本人の女性と結婚して日本に住む息子、その息子には黙って両親が日本まで彼を訪ねてやってくるという場面設定なのですが、息子が家に帰ってくる前に、イタリアのマンマと息子のお嫁さんが仲良く一緒にパスタを料理する場面が出てくるのです。お嫁さんの茹でたスパゲッティを味見するお母さんが満足の表情を見せると、「ありがとうございますぅー。」とばかりに感激の表情で頭を下げる日本人のお嫁さん。イタリア人の日本人に対する大きな勘違いも見え隠れするこのCM、結構笑えるので見て下さい。テレビはその国の大衆文化を理解する良き窓口。言葉の分からない国だからといって敬遠しないでちょっとのぞいて見て下さい。その国について面白い発見がきっとあるに違いありません。

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