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イタリア/ナポリ特派員ブログ 角南有紀

イタリア・ナポリ特派員が現地からヨーロッパ地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。


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 11月15日18:30未明、「イル・ポスティーノ」で広く知られる音楽家ルイス・バカロフが死去されました。享年84歳でした。

1933年8月30日にアルゼンチンのサン・マルティンで生まれ、ピアニスト・作曲家・指揮者・編曲家として活躍したバカロフ氏はイタリア国籍を持ち、ローマの自宅の近くの病院にて息を引き取りました。
 ご家族と共にその場に居合わせた夫からの話だと、穏やかな表情で静かに亡くなったそうです。脳溢血のため病院に運ばれたのが約一週間前のこと。それまでもこの一年間は老人性鬱のため活動を休止していました。

 活動休止するまでは、年齢を全く感じさせないタフさで世界中を駆け回って音楽活動をしていました。私は夫を通して知り合い、彼らのコンサートにアシスタント、または観客、時として共演者として関わる機会に恵まれ、マエストロの人間臭いほどの情熱深さ、人情味、音楽に対する完璧主義なところなどに夫婦共々惹かれていました。
 30代半ばの夫とレコーディングの際に音楽性が合わず大喧嘩していた時などはもう気が気ではありませんでしたが、その一ヶ月後にロンドンのAbbey Road Studioにて2人で録音を聴いて、肩を抱き合って和解し、マエストロの方から謝ってくださったと聞いた時には、その人間性にますます惚れてしまいました。

 日本でもよく知られる「荒野の用心棒」「母をたずねて三千里」「遥かなる帰郷」「カラヴァッジョ 天才画家の光の影」など、実に50作以上の映画音楽以外に、ピアノ曲や連弾曲、協奏曲など数々の名作を残しています。

 結婚式にも来てくださり、公私ともに仲良くさせていただいていたため、本当に淋しいです。
 マエストロのご冥福を心からお祈りします。
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 これを機会に、「イル・ポスティーノ」を観たことのない方は是非観てみてくださいね。ナポリの前に浮かぶプロチダ島という田舎町を舞台にした郷愁誘う素晴らしい映画です。


2017年11月16日

 「ナポリを見て死ね」とはイタリア語で「Vedi Napoli e poi muori」ナポリを見ずしては死ねない、ナポリをこれでもかという表現で讃えたフレーズです。
 そんなナポリを見るにふさわしい場所がポジリポ。ナポリのカンツォーネにもなっている、小高い丘のハイソな地区を指します。ポジリポから見るヴェズーヴィオ火山は圧巻。夜景も美しく、朝から夜遅くまで観光客と地元民がその美しさを見に訪れています。
 
 ポジリポには古代ローマ時代の劇場の遺跡が残っています。Pausilypon(パウジリポン)と呼ばれる考古学自然公園にはセイヤヌスの洞窟を通って辿り着きます。この洞窟は第二次世界大戦中には防空壕としても使用されたそうですが、完全に昔からの形で残っています。夕方から夜にかけては神秘的過ぎてゾクゾクするくらい。
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 紀元前1世紀に建てられたPausilyponの別荘の遺跡、ローマ劇場、会議室などが海を見渡す広い敷地に残っています。
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 その古代遺跡で様々なイベントが行われています。→http://www.napolike.it/suggestioni-all-imbrunire-2017-al-parco-del-pausilypon-programma
演劇、ピアノソロ、カンツォーネなど、いろんなジャンルの舞台を楽しむことができます。遺跡探索と夕涼みを兼ねてポジリポの丘を尋ねてみては?
住所:Grotta di Seiano, Discesa Coroglio, 36
information:https://www.suggestioniallimbrunire.org
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2017年6月24日

 昨年開催されたカラヴァッジョ展の大人気もあり、カラヴァッジョの作品に興味を持っている人も多いのではないでしょうか。ナポリにも彼の名画を見られる場所があります。写実性と劇的な光と影、心にささる感情表現で、後に多くの画家に多大な影響を与えたと言われるイタリアバロック絵画最大の巨匠は、イタリアでも大人気の芸術家の一人です。

 しかしその強烈すぎた人間性は品位に欠けるとして非難を浴びることも少なくありませんでした。カラヴァッジョは1606年、35歳の時に喧嘩で一人の男と決闘、相手を刺し殺しローマから逃亡します。ナポリの次の逃亡先のマルタ共和国で『洗礼者聖ヨハネの斬首』を描き、これが認められ教皇より免罪されます。ですが一年も経たずして再度決闘し投獄されます。一度は脱走を試みるも数日後に逮捕、同作品の目前で斬首刑を宣告されます。享年38歳。

 その死の前に、ナポリでも作品を残していました。
 旧市街のスパッカナポリに平行するトリブナーリ通りをまっすぐ駅方向へ。Duomo通りを横断したらすぐのところに、ピオ・モンテ・デッラ・ミゼリコルディア教会があります。

 1602年に設立された慈善団体、ピオ・モンテ・デッラ・ミゼリコルディアは、貧困者や病人の救済などの慈善事業を行っていました。1606年に聖堂が建設されると、当時ローマを追放されナポリに逃亡中だったカラヴァッジョに、団体は主祭壇に絵を描くよう依頼します。描かれた本作はマタイ福音書に由来する「慈悲の七つのおこない」。
 各場面をひとつの場面の中に配するという極めて斬新な構図が取られている。各場面は複雑に交錯しながらも、カラヴァッジョの自然主義的写実性で描写された誇張されない事象は明確に表現されており、わずか数ヶ月の滞在中に、圧倒的な知性と創造力によって描かれた本作は、ナポリ派の画家たちの間で大きな反響を呼び、カラヴァッジョ派の画家が、この町から多く誕生することとなります。
 『慈悲の七つのおこない』は、右部の≪死者の埋葬≫と≪囚人の慰問、食物の施与≫、中央の≪衣服の施与≫、左部の≪病気の治癒≫、≪巡礼者の歓待≫、≪飲物の施与≫とで構成されています。
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 ピオモンテ・デッラ・ミゼリコルディア教会のオフィシャルサイト→http://www.piomontedellamisericordia.it
 チケット:大人7ユーロ(学生割引・65歳以上割引・家族割引・アルテカード割引あり)
 開館時間:月曜日〜土曜日 9:00〜18:00  日曜日 9:00〜14:30(閉館時間の30分前に入場締め切り)


 先日、夫がこのカラヴァッジョの絵画の下でコンサートをしました。ナポリ出身のピアニストAlberto Pizzoによる「InLucem」(ラテン語で”光の中で”の意)と題するピアノソロコンサート。
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 「慈悲の七つのおこない」をイメージした即興が演奏され、開場は不思議な光と影の世界に魅せられていました。私も二曲ゲスト出演させていただきました。
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 実はナポリに来てから、この作品を観たのはこれが初めて。このコンサートがきっかけで出会えました。「慈悲の七つのおこない」はここでしか見ることのできない作品で、小さなチャペルの中で見る絵画はますます幻想的です。
 ナポリの大聖堂から徒歩五分程の距離にあります。知る人ぞ知る、ナポリの秘蔵。旧市街観光の合間に覗く価値は充分あります。

 


2017年5月21日
2016年11月12日
2016年11月 4日
2016年11月 2日
2016年10月30日
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  • 特派員プロフィール
  • ナポリ特派員

    ナポリ特派員
    角南有紀
    東京芸術大学大学院修了後イタリアに国費留学。ナポリ国立音楽院修了。2012年サンカルロ歌劇場主催オペラ「ラ・ボエーム」に出演。同歌劇場専属ソプラノを経て、オペラやコンサートを中心に音楽活動をする傍ら、通訳や翻訳業を行う。ゴッドファザー、マケロニ等の映画の影響で南イタリアをこよなく愛す。現在イタリア生活9年目。ナポレターノと結婚し、一児の母。治安が悪く、ゴミ問題やスリが跡を絶たないナポリの街をいかに安全に楽しむか、そして「ナポリを見て死ね」の言葉の深さを伝えたいです。番組制作コーディネート・旅程コーディネートに関するお問い合わせはこちらへお願い致します。 DISQUS ID @yukisunami

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