ナポリの子育て環境

公開日 : 2012年11月19日
最終更新 :

 ナポリだけでなく、イタリアの子育て環境は私が見てきた限りヨーロッパの中でワーストワンだと思います。学校は度々ストライキでお休みになり、6月中旬から9月中旬まで長い長い夏休みがあります。その他にクリスマス休暇、謝肉祭休暇、復活祭休暇など、日本の子供たちには羨ましいほどのお休みの多さ。これはもちろん子育てママたちの悩みの種。

 これだけ学校の教育環境が悪いのなら、せめて地域での課外活動などを促進してほしいものですが、これもまったくだめ。さらに、安心して遊べる公園や広場、施設が極端に少ない。そのため、子供たちが道路でサッカーをして、ボールが通行人に当たって喧嘩になるというシーンを何度見たことでしょう...

 南イタリアの食育の方法も、私は将来が心配になってしまいます。というのも、大皿のパスタを食べて、チョコを食べて、ポテトチップスを食べて...なんとも肥満の子供の割合が高い。まんまるとした子供の横を見ると、まんまるとしたマンマが平気な顔して子供にコーラを飲ませているのです。子供がたくさん食べることが至上の喜びであるかのように。(それも分からなくはないのですが。)

 国を挙げてもっと教育に力を入れ、健康のための知識も与えていかないと、情報や知識のなかった昔に比べて、化学物質や砂糖のたっぷり入った食品が豊富な今、子供は簡単に嗜好品を得ることができます。

 時々頼まれて友達の子どもに算数を教えたりするのですが、日本と比べるとレベルの低さに驚きます。日本だと小学1年生で習うことが、こっちでは小学5年生だったり。きっとその逆のこともあるのでしょうが、あれだけ授業数が少ないと当然のような気もします。教科書などは個人で買うので、年度初めは相当の出費ですが、教科書が半分も終わらないうちに学期が終わる。そして最終的にはすべて子供たちの自己責任なのです。

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 そんな教育環境なのに、世界的に秀でた数学者や科学者、文学者、芸術家などが輩出される国イタリア。私が思うに、こどもたちは暮らしから学ぶのがとても上手で、大人の会話をよく聞いています。これはどこの国のこどもにも言えることだと思います。違うのは、周りの大人たち。少なくともナポリの大人たちはあまりこどもに隠し事をしません。というより、声が大きいので隠し事ができないのでしょう。お金の話も、仕事の話も、警察の会話も、銀行員の会話も、男女の会話も、しーっかり聞いています。小さい頃から処世術に長けているのはきっとこのためだと思っています。

 世渡り上手になることは、イタリアで生きていく上でとても大切なことですが、私は少なくとも南イタリアで子育てはしたくないな、と思ってしまいます。

(11月のお題「世界各地の子育て環境」)

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