ナポリのカンツォーネが後世に与えた影響
今や世界中で愛されているナポリのカンツォーネ。その美しさは色褪せることなく、むしろ時代を重ねるごとにますます輝いていくようにすら感じます。
そんなカンツォーネは、後世のオペラ作曲家たちに多大なる影響を与えています。大学院修了の際、私はガエタノ・ドニゼッティの人生を辿りながら、彼のオペラセリア「マリアストゥアルダ」についての考察をテーマに論文を書きました。あの頃カンツォーネナポレターナについてもう少し熟知していたら、きっと影響を与えた作品についての論文を書いていたと思います。聴けば聴くほど頭から離れなくなるメロディー。あの影響力の強さは当時の作品を聴けば存分に伝わってきます。ドニゼッティは、ミラノの少し北にある小さなベルガモという町の出身ですが、ナポリで生活をし、ナポリの劇場で数々のオペラを初演していることもあって、ナポリ民謡の影響を充分に受けています。ナポリ方言で歌曲も書いています。
分かりやすいところでいうと、有名なカンツォーネ「サンタルチア」→ドニゼッティ作曲のオペラ「ルクレツィアボルジア」
驚いたことに、有名なカンツォーネ「te voglio bene assaje」(1835年作曲)は、ある音楽祭の時にドニゼッティが作曲した作品かもしれないのです。残念ながら真相はわかりませんが、ベッリーニ作曲オペラ「夢遊病の娘」(1831年初演)から影響を受けています。つまり、オペラがカンツォーネになるパターンもあったということです。ベッリーニはシチリア島出身ですが、シチリアの音楽院から奨学金を得て、ナポリの音楽院のマスターで学びました。その際ナポリ楽派に師事したそうです。
さらにはイタリアで最も人気のある作曲家ヴェルディの代表作「アイーダ」は「マリアマリ」の始まりと同じシラブルを踏んでいます。
実は二年前に、私もカンツォーネ「mala femmina」に影響を受けた歌を作りました。これはオニプロデューサーによって「古臭い」とボツとされたのですが(笑)、いつか必ず公開したいと思っています。温故知新は音楽界にも必要だと思うのです。
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