新型コロナでの高校卒業試験

公開日 : 2020年06月19日
最終更新 :
筆者 : Nakky

皆さん こんにちは!

昨日(2020年6月17日)はコッパイタリアの決勝戦ナポリ対ユヴェントスがローマでありました。

見事ナポリが優勝し、試合終了後ナポリのあちこちから花火があがり、ナポリ中をバイクや車で走りまわり広場にはたくさんの人が集まって祝っていました。

案の定、今日の朝のニュースでは無観客試合でも外にマスクなしでこんなに集まっては意味がない!とコメントされてました。

ちょっと騒ぎすぎていたのでしょうがないですね......。

でも自粛期間、大好きなサッカーも見れずストレスたまっていたところ、メルテンスも残留にサインをし、ナポリも優勝したりと喜びも大きいですよね!

コッパイタリアと同じ日高校の卒業試験もありました。

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イタリアの高校

イタリアは後期の授業はほぼ自粛期間だったので家でオンライン授業を受けていました。

通常5月末から6月初旬で学校は終わるので今はもう授業もありません。

学校が開くのは9月からの予定です。

なので高校の卒業試験もせず全員合格にしようという案も出ましたが、最終的には筆記試験はなく口頭試験のみ、先生と生徒の間隔を2m空け、発表する生徒のほか1名だけ教室に入るということに決まりました。

この時期大学は試験期間でもあり、私が日本語を教えている子たちも大学の試験中で、オンラインでの筆記、口頭試験になりました。

筆記試験といってもオンラインなので当然書くことはなく漢字も4択問題なのでラッキーと喜んでました。

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日本語学科もあるナポリの語学で有名な大学。 オリエンターレ

高校の卒業試験はMATURITA'(マトゥリタ)といいます。

イタリアの高校についてちょっとお話すると、イタリアにはいろいろな公立高校があり、

LICEO CLASSICO(リチェオ・クラッシコ)はラテン語、古代ギリシャ語、哲学なども勉強する文系の高校。

LICEO SCENTIFICO(リチェオ・シェンティーフィコ)は理数系の教科を重点的に勉強します。

おもにこちらのふたつの学校に行くことが多いです。

そのほかに、LICEO LINGUISTICO(リチェオ・リングイスティコ)は語学を中心にした学校。

LICEO ARTISTICO(リチェオ・アルティスティコ)は美術、音楽を勉強する学校。

後はISTITUTO(イスティトゥート、高等専門学校)になりますが、ALBERGHIERO(アルベルギエーロ)はレストランやホテルで働くうえで必要なことを学ぶところ。

RAGIONERIA(ラジョネリーア)は簿記や経済を中心に勉強するところ。

そのほかにもさまざま高校、高等専門学校などがあり、自分の勉強したいことを選んで進みます。

高校は5年間で、リチェオ・クラッシコは2年間、GINNASIO(ジンナーシオ)3年間をLICEO(リチェオ)と分けています。

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ナポリの美術学校

そして6月の卒業試験はとてもたいへんです。

実は私もイタリアの高校を卒業したので、マトゥリタの試験を受けました。

このマトゥリタはどういう仕組みなのかというと、

4年生のときの成績、5年生のときの成績の結果から試験の前に点数が出ます。

それにマトゥリタの試験の結果がプラスされたのが最終的な点数です。

最低60点から100点までです。

大学によっては入学時にこの点数が考慮されることもあるし、その他公務員試験を受ける場合にも何点以上じゃないと受けられないという公務員試験もあるみたいです。

試験は1月くらいから用意を始めます。

試験官は外部の先生、内部の先生と半分半分です。内部の先生だけだと点数も甘くなりますが、外部の先生はどんな先生が来るかわからないので、学生たちにとってどの科目が外部の先生になるか気が気ではありません。

まず口頭試験で発表するテーマ、記事を探します......。

大きな主題があり、全科目その主題にあった内容で、しかも科目同士もつながっていなければいけません。

私の場合は先生から「音楽勉強してたんだから、音楽でいいじゃない」という理由で大きな主題は音楽にしました。

ほかには仕事、人種差別など自分で選んだり、先生と選んだりします。

今まで勉強したものではなくて本やインターネットからそのテーマに合った論文などを探すのでたいへんでした。

私の場合、音楽なのでイタリア語はオペラにもなったヴェルガのカヴァレリア・ルスティカーナについて、歴史はヴェルガの時代のイタリア統一運動、企業経営はイタリアオペラ劇場の収支などを発表しました。

試験当日各先生に渡す本、全教科をコピーして表紙をつけたものを用意します。

論文などを探すのもたいへんですが、全科目を覚えなくてはいけないのがとてもたいへんでした。

毎日毎日声に出して練習してたので、彼には「勘弁してよー」て言われていました。。

1日目は小論文。 当日出題されるいくつかのテーマ(時事、イタリア文学)の中からひとつ選び6時間以内に書きます。A4ノート4ページを折ってその半分に書きます。なので実質書くのはA4ノート2ページ分くらいの量でしょうか。

筆記体で書かなければいけなくて、修正できないので間違えられず、最初に試験用紙ではない用紙に書いてそれを試験用紙に書き写すので、6時間内にその場で与えられたテーマから論文を書き、間違えないようにゆっくり試験用紙に書くので6時間でギリギリくらいでした。

2日目は私の場合はECONOMIA AIZENDALE(エコノミア・アジエンダーレ、企業経営)の理論と実技の試験。これも6時間。

3日目はそのほかの科目が4択問題で出されます。私の場合は英語、数学、歴史、金融税務学、民法憲法。

4日目は口頭試験。3日間の試験のことや用意してきたテーマについて話します。20分から30分くらい。

というのが本来のマトゥリタの試験です。

大学の試験は高校の試験よりも厳しいですが自分で試験日を選べ、1日1科目なので私的には余裕がまだありますが、マトゥリタはイタリア語も今よりもできていなかったので同じ日にたくさんの教科の試験を受けるのは本当にたいへんでした。それでもいい思い出です。

2020年の今年は新型コロナウイルスの影響で筆記試験なしの口頭試験だけで、口頭試験の内容も変更されています。

試験時間は50分から1時間くらい、下記の5つの事柄を発表します。

試験の内容は

1、5年生のときに勉強したイタリア文学の中から選び発表する。

2、それについての質疑応答。

3、通常と同じ、事前に考えたテーマについて発表し各教科の先生たちとの質疑応答。

4、高校によっては社会勉強のために何ヵ月か仕事をする研修制度があります。研修制度のある高校は今回は仕事ができなかったので、口頭にて自分のしたいことなどを話します。

5、新型コロナウイルスのこの年の人間の権利と義務についてを話します。

今までの試験と少し違い、先生も生徒も戸惑うことも。

学生さんたちのインタビューを受けるとやはり緊張していたし、先生たちと握手をして終わることもなく、友達とハグしたりもできず高校生活を終わるのは物足りないということを皆さん言ってました。

貴重な経験ですが、みんなで楽しく終わりたかったのに残念ですね。

9月から大学へ行く人、働く人それぞれですが、頑張ってほしいです!

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ナポリの大学 フェデリコII世大学

筆者

イタリア特派員

Nakky

2006年からイタリア在住。色んなナポリを紹介したいと思っています。

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