元興寺の見どころ

公開日 : 2017年11月30日
最終更新 :
筆者 : 大向 雅
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猿沢池から奈良の旧市街地(通称ならまち)へ向かいますと、車が一台やっと通れるほどの道に江戸時代以降の町屋が数多く建ち並んでおり、造り酒屋をはじめ、蚊帳や薬屋さんといった有名老舗に加えて、近年では洒落たカフェや雑貨店なども多く並び、奈良の観光スポットの一つとして賑わっています。

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実はこの「ならまち」は奈良の世界文化遺産の一つである元興寺(がんごうじ)の寺内町として発展してきた町なのです。

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東大寺や興福寺といった大寺院ほど有名ではありませんが、元興寺は南都七大寺の1つであり、蘇我馬子(そがのうまこ)が建立した法興寺(ほうこうじ)が前身、つまり日本最初の本格的仏教寺院が平城京に遷都(せんと)されたときに飛鳥から移転して元興寺と改められたという凄いお寺なのです。

日本は、長い歴史のレールの上で様々な出来事が起こり、多くの先人達の知恵と頑張りのおかげで現在の形があるわけです。この元興寺も原形こそ留めてはいませんが、もっとも古いお寺の意思を受け継いでいるといえます。

奈良時代、この地に建てられた元興寺は、現状からは想像もできないくらい広大な敷地の寺領を誇り、東大寺や興福寺と変わらぬ大寺院でした。

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しかし現在は、幕末の1859年まで現存した五重塔の礎石が残る塔跡のエリアと極楽坊(ごくらくぼう)とよばれる本堂があるエリアに分かれているので、うっかり通過されてしまうほど気配を消してしまっています

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極楽坊は、奈良時代の僧坊を鎌倉時代に改造したもので、現在も柱や天井材には奈良時代の古材が使われていますし、屋根瓦も注目して欲しいところ。

カラフルに色が混ざっているのがお分かりでしょうか?これは飛鳥時代~奈良時代に作られた瓦がいまだに一部使われているからなんです。

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下が広い円筒を縦に割ったような丸瓦で、末広がりな形状の瓦を重ねていく行基葺き(ぎょうきぶき)という工法を見ることができるのも元興寺ならでは。

新しい瓦と古い瓦がきれいに並んで、見比べられる場所もあるので、行かれたらぜひ!瓦屋根にも注目して頂きたい。

内部は写真に撮れないのが残念ですが、内陣の中心に祀られる御本尊・智光曼荼羅(ちこうまんだら)を取り囲むように畳が敷いてあり、広々とした空間の居心地がとても良いです。

特に夏の暑い時などは、ウソのように汗が引くのを実感できるし、冬場も板床に比べて温もりがあるので、自然の冷暖房完備のお堂です。

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極楽坊と横にある「禅室」が国宝に指定されています。

それともう一つ、収蔵庫に小さな五重塔が安置されています。この小塔は奈良時代に本物の十分の一の寸法で作成され、高さは5.5mながら、かなり精密に作られていて内部構造も細部まで忠実に再現されたものなのです。

ミニチュアサイズとはいえ、れっきとした奈良時代の建造された五重塔として国宝に指定されていることにも驚きです。

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