海外旅行・観光情報の「地球の歩き方」TOP > 特派員ブログ > 日本  > 奈良特派員ブログ > 薬師寺はシルクロードの終着駅

日本国内/奈良特派員ブログ 大向 雅

日本国内・奈良特派員が現地から日本地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。

2018年1月 4日

薬師寺はシルクロードの終着駅


薬師寺はシルクロードの終着駅

IMG_8949.JPG
薬師寺のある西ノ京という場所へは、電車、バス、自家用車と様々なルートで行くことができますが、一番わかりやすいのは電車です。近鉄・大和西大寺駅から二駅の西ノ京駅で下車して東へ行けば目の前にありますから、興福寺と並んで、最も駅から近い世界文化遺産だといえます。

IMG_8955 (2).JPG
世界遺産薬師寺は、680年天武天皇が讃良(さらら)皇后(後の持統天皇)の病気平癒のために発願され造り始められたのですが、完成しないうちに天武天皇が崩御され、すっかり健康を回復された皇后がその意志を継いで持統天皇として即位され、伽藍(がらん)を完成されました。当初は現在の藤原京跡の近くに創建されましたが、平城京遷都にともない現在の西ノ京の地に移されました。


失火や兵火によって三重塔である国宝・東塔を残して、奈良時代の伽藍はすべて焼失してしまいましたが、1960年代より復興事業が開始。当時の高田好胤(たかだこういん)館長が中心となって写経による寄進を募ることで、創建期の姿を再現するべく白鳳伽藍(はくほうがらん)復興事業が進められてきました。

IMG_8937.JPG
1976年に金堂が再建されたのをはじめ、西塔(1981年)、中門、回廊の一部、大講堂(2003年)などが次々と再建されていき

IMG_8943 (2).JPG
2017年には食堂(じきどう)も再建され、創建当時を思わせる伽藍が見事に再現されています。

DSC01242 (2).JPG
西塔が焼失して以来、約450年ものあいだ東塔が「顔」として薬師寺をささえてきたわけですが、1981年に西塔が再建されて創建当時の姿が蘇りました。しかし仲良く東西両塔が並んでいたのもつかの間、現在は「東塔」が解体修理に入ってしまい2020年までその姿は拝むことはできません。

DSC01263 (2).JPG
写真を見てもお分かりのように薬師寺の堂塔伽藍は本当に新しくて、少なからず古いものが多く残されている奈良の中では少し風情を感じられないと思われる観光客の方も実際にいらっしゃいます。しかし古い建物の方が必ずしも良いのでしょうか?

DSC012621 (2).jpg
東塔は確かに天平の建築ですからその存在価値は計り知れません、しかし長い年月の間に幾度も修復を受けてきたので、オリジナルの姿を留めているかというと、意外とそうでもないのです。例えば西塔に見える連子窓(れんじまど)は東塔では白い漆喰の壁ですし、長年にわたり重い瓦を支えてきた屋根の反りも西塔の方が断然美しいです。つまり創建当時の姿をとどめているのはむしろ新しく見えている伽藍の方なのかも知れません。そんな気持ちであらためて薬師寺を観ていただくと、かなり新鮮な気持ちで拝観していただけるかも知れません。

DSC012651 (2).jpg
金堂の中に祀られている薬師如来を挟むように、向かって右手に日光菩薩、左手に月光菩薩と並んでおられるのが御本尊の「薬師三尊」です。薬師如来は読んで字の如く病気やケガはもとより、様ざまな苦しみから救ってくださるお医者さんのような存在ですが、人間はいつ苦しみに見舞われるか分かりませんので日光菩薩、月光菩薩が交代で24時間受け付けて下さると解釈して頂くと一番分かりやすいです。


こちらの薬師三尊像は白鳳時代の金銅仏で国宝に指定されています。尊像としてはもちろんですが美術的観点からみても非常に秀麗な像として有名で、2008年に平城遷都1300年記念の一環で、東京国立博物館において開催された「国宝 薬師寺展」で日光月光両菩薩が展示された時も、記録的な来場者数でニュースになるほどでした。

DSC012691 (2).jpg
そして御本尊の後ろに回って台座の部分をじっくりと観て頂きますと、このように他ではお目にかかれない様々な文様や異人像が刻まれているいるのがお分かりいただけると思います。


写真に撮れませんでしたが上の框(かまち)にはギリシャの葡萄唐草文様、周囲にはペルシャ(現イラン)の蓮華模様、中にはインドの神像、下の框(かまち)には中国の四方神(東に清流、南に朱雀、西に白虎、北に玄武)が描かれています。)これは1300年以上前、すでにヨーロッパの文化がギリシャからペルシャ、インド、中国を経て薬師寺まで伝わってきていたこと、奈良という場所がシルクロードの終着地であることの証拠ともいえる歴史的資料としても一級品なのです。


この素晴らしい御本尊と台座を目の前で見ながら、悠久の歴史に思いをはせるのも薬師寺ならではの魅力の一つだと思います。

にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 奈良県情報へ
にほんブログ村

記事の商用利用を希望される際はコチラからお申し込みください。
カテゴリー 見所・観光・定番スポット
2018年1月 4日
« 前の記事「平城宮跡資料館で古代ロマンを感じよう」へ
»次の記事「薬師寺・玄奘三蔵院伽藍」 へ
おすすめ記事
    奈良特派員 新着記事
    船旅や留学の安全祈願は海龍王寺で
    賣太神社の主祭神は古事記編纂の立役者
    子守明神と称される率川神社
    夕やけ小やけの傳香寺
    岡寺では「義淵僧正ハンパないって!」と言われていたかも
    国宝・紙本著色信貴山縁起絵巻
    不思議なパワーがみなぎる朝護孫子寺
    お願いは一言で!葛城一言主神社

    近畿旅行 旅スケジュール

    旅行者の作る、新着!旅スケジュールをご紹介します。 ■奈良県の旅行記・口コミ「旅スケ」へ

    日本国内にもどる

    • 特派員プロフィール
    • 奈良特派員

      奈良特派員
      大向 雅
      京都奈良観光散策 雅流塾の代表 観光ハイヤーの経験と知識をもとに2014年に独自の観光ガイドシステムを立ち上げフリーランスの観光コンシェルジュ“たっしー&たー坊”として活動中 古都奈良にある神社・仏閣や名所旧跡を通して 古代より現在まで先人たちから受け継ぎ育んできた歴史と文化を分かりやすく伝えていきたいと思います。 DISQUS ID @disqus_YaoRmxkTzr

    • リーダーに登録

    地球の歩き方Web特派員募集