神奈備信仰の元祖・大神神社

公開日 : 2018年04月26日
最終更新 :
筆者 : 大向 雅
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奈良にはこれまで紹介してきたように、もの凄く格式や歴史がある神社がたくさんありますが、そんな中で大和の一宮(いちのみや)と位置づけされているのがここ、大神(おおみわ)神社です。

大神と書いて、「おおがみ」ではなく「おおみわ」と読むところが何ともすごいことで、つまり古代には神さまといえば「みわ」のことを示したと言えるほど昔からある神社なのです。

というよりむしろ、ここから古代神道が始まったと言っても過言ではないと思います。

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日本全国には多くの神社があり、その一つ一つに歴史があるのでしょうが、中にはどう考えてもあり得ないような御祭神の組み合わせだったり、由緒が書かれているところも見受けられますが、こちらの縁起につきましては古事記に裏付けられる記述があります。

大国主神(オオクニヌシ)は、少彦名神(スクナビコナ)とともに国造りをしていたが、志半ばにして少彦名神が常世の国に(つまり死後の世界へ)行ってしまったので、呆然としてしままれました。

吾独していかにかよくこの国を得作らむ。いづれの神と吾と、よくこの国を相作らむやとのりたまひき。この時に海を光して依り来る神ありき。その神の言りたまひしく、よく我が前を治めば、吾よく共に相作りなさむ。もししからずば国成り難けむとのりたまひき。

ここに大国主神白(まお)ししく、しからば治め奉る状(さま)はいかにぞとまをしたまへば吾をば倭の青垣の東の山の上にいつき奉れと答へ言りたまひき。こは御諸山の上に坐す神なり。

(訳)

この後どうやって一人で国造りをすれば良いのだ!どの神と一緒に国造りをすれば良いというのかと嘆いていると...

海原を照らしながら一人の神がやって来て、私をしっかりと祀ってくれるのであれば、国造りをあなたと共に手伝おう。無理なら国造りは難しいと言われました。

一体どのようにお祀りすれば良いのでしょうか?と大国主神が問うと、私を大和の青垣の東の山の上に祀りなさい。私こそが御諸山(みもろやま)に鎮座する神に相応しい

ということで、大神神社では大物主神を筆頭に大国主神と少彦名神の三柱が祭神として祀られています。

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参道の入り口には高さ32.2mもある大鳥居。平安神宮が24.4mなのでその大きさがお分かり頂けると思います。

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二の鳥居からは砂利の参道が拝殿まで伸びています。かなり神聖な空気が流れていますので、一歩歩くごとに何か体内が浄化されていくような感じさえします。

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本殿にお参りする前に、まずは祓戸(はらえど)社で心身を清めるのが礼儀作法です。

祓戸社といいますのは、いわゆる俗世間の穢れ(けがれ)を祓ってくださる瀬織津比売(せおりつひめ)・速開都比売(はやあきつひめ)・気吹戸主(いぶきどぬし)・ 速佐須良比売(はやさすらひめ)という四柱の神々がおられます。

この四柱の神々は大祓詞(おおはらえのことば)の中にしっかりと出てくる神々です。こういうお社があるということも、古代からある作法というものがしっかりと継承されてきている神社だということが伺えます。

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大神神社の最大の特徴は何といっても三輪山そのものを御神体とされていることで、御祭神を祀るための本殿がなく、山に向かって参拝するための拝殿があるのみなのです。そうはいってもこちらの拝殿は相当豪華な建物で、四代将軍・徳川家綱(いえつな)公の寄進によるもの。

このように山そのものに神霊が宿り、神代(かみしろ)として崇敬することを、神奈備(かんなび)信仰と呼びますが、大神神社はまさにその元祖と言えるでしょう。

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参拝者からは見えませんが、拝殿と禁足地との結界には、このように大きな明神鳥居の左右に小さな明神鳥居が付いた、いわゆる三ツ鳥居が建てられています。

この何とも奇妙な形の鳥居には諸説ありますが、どれも空想の域を出ないのですが、単純に三柱の神々のそれぞれに対するものであるとしておくのが分かりやすいのではないでしょうか。

写真の鳥居はここから20分ほど、山の辺の道という山道を歩いたところにある摂社の檜原(ひばら)神社のものです。こちらの鳥居は外にありますので、誰でも目にすることができますから、お時間があればぜひ参拝して頂きたいと思います。

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