春日大社へ初詣

公開日 : 2019年01月10日
最終更新 :
筆者 : 大向 雅
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新年あけましておめでとうございます。今年も初詣は春日大社へ行ってまいりました。まだまだお正月モードですので、電車と徒歩で行くのが定番。ということで電車で近鉄奈良駅へ。

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人の流れのまま地上に出ますと、東大寺の創建に尽力された行基(ぎょうき)さまの噴水があります。渋谷でいうところのハチ公のように、奈良では待ち合わせスポットとして親しまれています。大抵の観光客はそのまま登大路と呼ばれる広い道を上がって行かれますが、それでは面白味がありませんので、少しドラマチックな道で歩いていきましょう。

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まずは、ひがしむき商店街をそのまま南下いたします、少し行ったところの写真館の手前を左(東)に曲がりますと、興福寺に抜ける道になっています。

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やや急な坂にはなりますが、私はこの道こそが興福寺というお寺に向かう一番良い道だと思います。この坂道を上り切った所で後ろを振り返って頂くと驚くほど高台になっています。現在は建物が並んでしまったので想像するしかありませんが、かつては平城京を眼下に眺めることができたことでしょう。

寺領が大きいとか建物が立派だということは誰でもすぐに分かりますが、このような視点から奈良時代に権勢を誇った藤原家の氏寺である興福寺が放つ、オーラというか貫録というものを肌で感じるのもまた一興です。

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それに、この道は北円堂、南円堂の間を抜け、新しく再建された中金堂(ちゅうこんどうの前を通れば、東金堂(とうこんどう)、横には大きな五重塔がそびえ立ち一層このお寺の迫力が伝わってきます。

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色々なルートがありますが、今回は五重塔の前を右手(南)の方へ進んで三条通に出たところを左手(東)に行けば、春日大社の一の鳥居の綺麗な朱が目に飛び込んできます。

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車で春日大社の駐車場まで行けば、二の鳥居の側まで行けるので正直なところ楽ちんです。しかし、少し横入りに対する後ろめたさのような気持ちもありますので、初詣や年末詣といった時には一の鳥居から参道を歩かれた方が、やはり気持ち良いのは間違いありません。

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さて、この一之鳥居をくぐってすぐ右手の土手の上に影向(ようごう)の松といわれる黒松の木があります。かつて春日大明神が翁の姿で降臨され、万歳楽を舞われた地と伝わっていまして、12月の春日若宮おん祭りでは、こちらの前で田楽座・猿楽座などが芸能を披露されます。また、この影向の松は能舞台の鏡板に描かれている老松の絵のルーツとも云われています。

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影向の松(ようごうの松)から歩いてすぐに、よほど気をつけないと通り過ぎてしまうくらい小さな、馬出橋(まだしのはし)があります。一之鳥居から萬葉植物園前の馬止橋(まどめのはし)にかけての表参道の区間は直線になっており、馬場として使われていました。

その始点となるのがこの橋ということで、このような名前がつけられています。現在も若宮おん祭で行われる競馬のときにはこの場所から出走されます。

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参道を歩いているだけでも、とにかく様ざまなものがありますので決して油断できません。例えば、左手にかなり広い芝生の空地のようなものがあります。ここは春日若宮おん祭のときのお旅所です。

つまり、お祭を楽しむために社から出てこられた若宮神が、一泊二日で滞在される神聖な場所ということです。

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当日は正面の一段高い所に若宮神の行宮(あんぐう)が設えられ、その前の芝舞台で神様へ田楽・細男・猿楽・舞楽などの各種神事芸能が奉納されます。その様子はまさに古代から育まれた芸能の歴史を目のあたりにするチャンスですので一度はご覧になっていただきたいと思います。

ちなみに「芝居」というのもこの芝舞台からきているという説もあります。

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次の道路の手前あるこの建物、現在は「仏教美術資料研究センター」として使われていますが、建築家であり建築史学者でもある関野貞(せきのただし)氏によって設計され、1902年(明治35年)に竣工された「旧奈良県物産陳列所」という建物です。内部は洋風イメージですが、外観は奈良の景観に調和する和風の様式となっており、両翼を広げたような形は平等院鳳凰堂の様式を取り入れたものだそうです。また、窓はイスラム建築のデザインであるなど、明治時代らしい古今東西における和洋折衷の贅沢な造りの建物として国の重要文化財に指定されています。関野貞という方は現在の平城宮跡の第二次大極殿の基壇を発見されたことでも有名です。

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さて、道路を渡りまして進みますと、右手には飛火野と呼ばれる広大な鹿の運動場のような場所が広がり、その奥には鹿苑(ろくえん)という鹿の保護育成を目的とした諸活動を行う施設があります。奈良の鹿は天然記念物であり、基本的には野生ですが車にはねられてケガをしたり、病気になった鹿を治療したり、妊娠した雌や生まれたての仔鹿などもこちらで保護されています。

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向かい側には萬葉植物園があります。万葉集に登場する160種類もの植物が楽しめる植物園です。とくに5月の藤の花は圧巻ですので、ぜひその時期に来ていただきたいです。

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一之鳥居より約1.2km歩いて、いよいよ二の鳥居にたどりつきました。

左手には国宝館と駐車場があり、大きめの公衆トイレもあります。この先はしばらくトイレは有りませんので、なるべくこちらをご利用ください。

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ここから先は、また次回に。

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