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アメリカ/ニューヨーク特派員ブログ 青木 多佳子

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2005年7月 1日

ある日の午後 チェルシーでギャラリーホッピング


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ある日の午後 チェルシーでギャラリーホッピング

10代の頃、両親の知人が経営する銀座の画廊にしばしばおじゃました。しかし、そこに展示されているものは不可解なものばかり。頭の中はいつも?マークでいっぱいになったものだ。「なんなの?あの針金のカタマリみたいなモノ。ゴミ箱からひろってきたみたいじゃない。」もちろん、「裸の王様」じゃないから、展示者の前ではそのような大胆な感想は口にださなかったが。


このアート感覚、ヴィジュアルセンスのなさは生まれつきのものなのか大人になっても、抽象的作風の強い現代アートにはなじめなかった。ある時友人に連れて行ってもらったハーレムでの小コンサート。ふと目を留めた壁にかけてある、白い布にいくつものアイロンの焦げたような版の跡。これのどこがアートなのか、何を感じればいいのかわからない。その逆インパクトだけに今でも強く頭に残っている。


こんな私だから家から15分くらい歩いたチェルシー地区にアメリカン現代アートギャラリーがひしめいているとわかっていても足を向ける気にはならなかった。しかし、私が興味なくてもNYのアートに関心のある方はいっぱいいらっしゃるはず。もう一度、じっくり味わってみたら、少しはアートの教養とクリエイティブなセンスが培われるかもしれない。


「今からじゃムリなんじゃないの?」と言う友人の声には耳をかさず、私はマンハッタン23丁目を西に向かった。マンハッタンは南北の「丁目」を横切るより、東西の「番街」を横切るほうが長い道のり。従って5番街から10番街まではかなりの距離を歩くことになる。ようやくたどり着いた23丁目と10番街のスクエアー。やはり、中心から離れた倉庫街と言われるだけあってうらぶれた感じは否めない。駐車場、洗車場、ストレージ会社ばかりが目に付く。明らかにショッピングを楽しむような場所ではない。ちょっと不安にもなるが、とにかく最初にギャラリーと名がついているところのドアをあけてみた。


ギャラリーはおおよそ20丁目から26丁目の10番街から11番街の間に多いが、とりわけ24丁目と25丁目沿いに集中しており、中にはビル全体がギャラリー関係、というところも。これではほんとうに1時間かそこらで鑑賞しきれるものではない。


マンハッタンの端のこのギャラリー界隈にまで足を向ける人々は、さすがに現代アートに精通しているのか、美術専攻の学生と思しき若い男の子や中年の上品そうなカップルが目立つ。概して白人が多い。中には集団観光で来ているグループもいたが、大衆向けの美術館と違って、落ち着いてゆとりをもって見られる大人のためのアート鑑賞空間といったところだ。


最初は曇りガラスや重厚感のあるいかめしいドアを開けるのにも気後れしてしまうが、慣れてくると次から次へとまさに「ホッピング」気分を楽しめる。美術館と違い、受付こそあれ入場料はなし。ポストカードなどの売店もあるわけではなく、また作品に名がついていないものも多い。室内も幾分殺風景な無機質的白いイメージだが、それがかえって個々の作品のもつ存在感を引き出しているようだ。要は観る者の感覚で何かを感じ取れということか。もっとも気になる作品があればスタッフに尋ねてみるのもいい。


今回の展示の内容は、細かいダンボールの切れ端をビルにあしらってひとつの風景をつくった立体模型や人間の裸の集合体を淡い色彩で表現したもの、蛇のような幾重のうねりの連続を色鮮やかな原色を織り交ぜて描きこんでいるものなど、やはり昔ほどではないが私の頭に?マークが浮かぶ作品が目白押しだった。


そんななかで今回インパクトの一番強かったのは、24丁目の「ルーリン・オーギュスティン(Luring Augustine)ギャラリーでのグレゴリー・クリュードソン(Gregory Crewdsonの作品。彼の作品はすべて写真なのだが、一見、エドワード・ホッパー作と見間違うような絵画的作風。都市から離れたある郊外の情景で、映画のワンシーンのような撮り方が特徴だ。どの作品も晴れた日の光よりも、夜や曇ったような空など暗いイメージ、あるいは部屋の薄暗い照明の中に浮かび上がる人間の姿を描いているものが多い。(いや写真だから写してしているというべき?)。その姿がまた、どれも陰りを帯びた、心に不安のある表情ばかり。現実なのか怪しくも美しい幻想の世界にいるのか、見る者に不思議な気分を味あわせてくれる。けっこう名の知られたアーティストなのか、このギャラリーにはかなりの人が押し寄せていた。(百聞は一見にしかず。作風に興味のある人はNYタイムズの下記スライドショーをどうぞ)
http://www.nytimes.com/slideshow/2002/11/07/magazine/10port.slideshow_1.html


こうしてひとつでも印象に残ったアーティストのプロファイルを帰宅してから調べてみたりすると、ちょっとはアートに精通した気分になってくる。機会があったらまた行って見たいところだ。大概のギャラリーは日・月がお休み。ほとんどが火~土の午前11時から午後6時まで。トイレやレストランがあまりないところなので注意したい。


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最初はちょっと気後れしちゃうかもしれないけど気軽にはいってみて!

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カテゴリー 文化・芸術・美術 見所・観光・定番スポット
2005年7月 1日
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      ニューヨーク特派員
      青木 多佳子
      大好きなヨーロッパに住むはずが、うっかり(!)オハイオの大学院へ入学。気がつけば17年もの米国暮らし。現在はトラベルコーディネーター兼ライターとしてNYを徘徊中。根っからの旅人間で、訪問した国は45ヵ国。米国も西のシアトルから北のバーハーバー、南はキーウエストと、森林、砂漠、海辺、渓谷、ひなびた街を歩きまわる。マリンスポーツをかねてカリブ海の島々にも出没中。旅の基本スタイルは自由気ままな「おひとり様」+α(?)。ご連絡はこちらまで。 DISQUS ID @takakoaoki

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