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アメリカ/ニューヨーク特派員ブログ 青木 多佳子

アメリカ・ニューヨーク特派員が現地から北米地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。

2006年1月23日

クロイスター美術館 ~中世ヨーロッパに思いを馳せて~


クロイスター美術館 ~中世ヨーロッパに思いを馳せて~

数あるニューヨークの美術館で真っ先に思い浮かぶのは、メトロポリタン美術館。タイムズスクエアー、自由の女神と並び、マンハッタンで訪れたい場所として常に上位にランクされる人気ポイントである。

だけどメトロポリタンの分館で、入場料は共通というクロイスター美術館の存在は、実はあまり知られていない。知っていてもマンハッタンの西北に位置し、地理的に遠いということで敬遠されがちである。

確かに時間はかかるが、他の美術館とは一味違い、建物自体が中世ヨーロッパの面影をそっくり伝えるクロイスターは必見。中世を「観る」というより、「感じ取る」ことができるアメリカでは数少ない貴重な場所である。ここをはずさずに効率よく回る方法を紹介したい。

どちらかというと、メトロポリタンの方でかなり時間を割きたいという人は、遅くまで開館している金・土曜日がおすすめ。私が実行したのは日曜日だがメトロポリタンは5時30分で閉館となるのでちょっとあわただしい行動となる。

まずは、34丁目以北からマディソン街を北上している「M4」のバスにのる。マディソン街は一方通行でアップタウンへ行くのみ(帰りのバスは五番街を抜ける)。バス停も「M4」―クロイスター行き―と書いてあるので迷うことはない。料金は2ドル。ここから、北上し、110丁目で西へと横切りブロードウェイをさらに北上。コロンビア大学前を通り、ハーレムを過ぎる頃には乗車してからほぼ一時間経っていた。もしかしたら、バスよりも145丁目まではナンバー「1」、赤ラインの地下鉄に乗ったほうが早いかもしれない。しかしクロイスターのまん前まで行くのはどの道この「M4」のみである。180丁目を過ぎるころから乗客が少なくなり、最終のフォートライオン・パークにはいったのは私一人だけである。クロイスターへはどうも車で来ている人が多いようだ。到着は午前10時50分。開館は9時30分なのでもちろんもっと早く着くに越したことはない。

このパークは小高い丘陵に広がり、ハドソンリバー沿いなので、対岸にかかるブリッジやニュージャージー州の景色が一望できる。まだ冬の寒さが厳しい季節だが、冷たい空気の中でも穏やかな日差しを受けて何もかもが澄みわたって見えた。

降りたところのバス停で、ひとまず帰りの時間をチェックするが、思いのほか頻繁に走っているようだ。ここでは特に時間を覚書しなくてもよいだろう。

さて正面の分厚い扉を開き、内側にはいるとそこはもう中世の世界。重々しい石材の壁にかこまれた蔵の中のような階段を上っていくときに、突然映画でみた「ロミオとジュリエット」を思い出した。そう、今の私の気分を表すと「ジュリエットのお家にお邪魔する」というのがふさわしい。(ジュリエットのお家はイタリアのベローナだけど)

クロイスター美術館の前身は、フランスに長期滞在していたアメリカの彫刻家、ジョージ・グレイ・バーナードによって構築された。彼はフランス革命後、すっかり荒廃しきっていた修道院やその遺物に関心をもち、その土地の執政官や農場主からこれらの廃材を買い受けアメリカに持ち買った。1914年には小さい美術館を設立したが、後に、富豪で慈善家のジョン・D・ロックフェラーがこれに手を貸し、その後はコレクションの数も増え続けた。最終的にはロックフェラーからメトロポリタンへの寄付というかたちでその分館となり1938年、新しいこの地、フォートライオンパークでの正式なオープンにこぎつけたわけである。

階段を上り、受け付けで入場料(15ドル)を払うと、メトロポリタンと当日のみ共通のバッジ(今日は青だった)を受け取る。見所はそのフロアと外の庭へ通じる階下のみ。美術館としての展示物はそんなに多くはないが、それだけに館内では見るもの一つ一つに、深い感慨を向けることができる。たとえばユニコーンと狩人の闘いが描かれた巨大なフランス製タペストリーは1500年の作品。幾分色あせて見えるものの、細やかな絵柄から大勢の人が幾日もかけて丹念に織ったのだということを思い起こさせてくれる作品だ。ゴシック式の礼拝堂の壁上方にはいくつものアーチ型の窓。黒とも茶色とも似つかぬどっしりとした重量感のあるオークと鉄からなる扉は12世紀のフランスかスペインでつくられたものらしい。また南フランスの田舎、キュクサに起因するロマネスク式回廊をゆっくり歩いていると、中世の人々の信仰の深さが少しずつ伝わってくるような気がする。

こうしてみるとフランスやイタリア(たとえばトスカーナのレリーフなど)に由来するものが圧倒的だが、ドイツやスペインの要素もあり、またステンドグラス細工には14-16世紀初頭の北ヨーロッパに起因するものもある。いわば中世ヨーロッパの総合コレクションといったところだろうか。

疲れたら階下の庭のベンチで一休み。ハドソンリバーのゆったりとした流れ。小高い丘にゆれる木々。四季の折々の美しさ、その美しさと中世の建物の調和を思い描くと不思議と安らぎにも似た気持ちに満たされる。

さて、12時30分に引き上げ、再び「M4」のバスに乗りマンハッタン方面に戻る。今度は五番街を下がっていくのでバスはちょうどメトロポリタン美術館の前に止まる。(82丁目付近で下車)。このときの到着時刻は午後1時30分頃。およそ一時間かかったことになる。クロイスターで受け取ったバッジで入館できるのでバッジはなくさずに。入館するとまた3,4時間費やしそうな人は、いったんマディソン街に出て腹ごしらえをしてから戻ろう。館内にもカフェテリアはあるが、混雑を考えると外で済ませたほうベター。メトロポリタンはとにかく巨大なので短時間ではすべてを見切れない。あらかじめフロアプランを受け取り、見たいものをチェックしてから回るようにしたい。

◆◆ クロイスター美術館 (The Cloisters) ◆◆
Fort Tryon Park
New York, NY 10040
Tel.(212)923-3700
火-日:9:30 am - 5:15 pm (3月-10月)
9:30 am - 4:45 pm(11―2月)
月曜日、元旦、感謝祭、クリスマス:休み

◆◆ メトロポリタン美術館 (The Metropolitan Museum of Art) ◆◆
1000 Fifth Avenue
New York, NY 10028-0198
Tel, (212)-535-7710
金・土:9:30 am – 9:00 pm
火、水、木、日:9:30 am – 5:30 pm
月曜日(2月20日除)、元旦、感謝祭、12/25:休み

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クロイスター美術館での回廊、ここを歩くと中世ヨーロッパ人の気分?
・クロイスターもメトロポリタンも講義やコンサートなど2006年春までの催し物が目白押し。ここに書ききれないので興味のある人は1度サイトチェックをしてみてほしい。
www.metmuseum.org

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カテゴリー 文化・芸術・美術
2006年1月23日
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      青木 多佳子
      大好きなヨーロッパに住むはずが、うっかり(!)オハイオの大学院へ入学。気がつけば17年もの米国暮らし。現在はトラベルコーディネーター兼ライターとしてNYを徘徊中。根っからの旅人間で、訪問した国は45ヵ国。米国も西のシアトルから北のバーハーバー、南はキーウエストと、森林、砂漠、海辺、渓谷、ひなびた街を歩きまわる。マリンスポーツをかねてカリブ海の島々にも出没中。旅の基本スタイルは自由気ままな「おひとり様」+α(?)。ご連絡はこちらまで。 DISQUS ID @takakoaoki

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