日本のロックがパワー炸裂 (下) ! ~ 魅力あふれるラルクの世界に国境はなし?

公開日 : 2012年03月29日
最終更新 :
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スポットライトがステージ上の彼らを捉えるとさらに大きな歓声。そしてhydeの歌声が響き渡るとまた歓声。その1曲目は、なんと私の一番好きなhydeの作詞、作曲「いばらの涙」。まさかこれを生で聞ける幸運にめぐり合うなんてーー。涙ぐみそうになる。どちらかといえば最近の曲より、昔の曲が好き。暗闇の中で、一筋の希望の光を見出そうとしているもどかしさを感じるような、哲学的、神学的(?)なhydeの世界が好きだ。特にこの曲は、私には火刑にされ灰になって散っていった少女、ジャンヌ・ダルクと重なり、火刑場となったフランスのルーアンまで行ってこの「いばらの涙」を聞いてみたこともある。

席が後ろでよかった。一番前でhydeが登場し、いきなりこの曲を聴かされたら、卒倒していたに違いない。

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そして2番目のお気に入りの歌「FATE」までも中ごろで披露。感激この上ない。

フロア席は皆もう立ちっぱなしで、座っている人はほとんどいない。アメリカ人も興奮極まり、ステージから目が話せないでいる。肩まで金髪の革ジャンの女性も楽しげにリズムを取っている。

向かいに見えるスタジアム席では、ライトを振りかざしながら、曲の間中飛び跳ねている(すごい体力!)元気な女の子が。たぶん日本からこのためにだけ来たのだろう。ちゃんと「シエル=虹」のデザインのカラフルなワンピースまで着ていて気合が違うゾ!

後で聞いた話だが、実際はこのためにだけニューヨークに来て、コンサートの次の日には日本に帰るファンも結構いたらしい。また日本人だけでなく、アメリカ人も然り。同僚の近くにいたグループは、ボストンからこのためにだけ来て、ライブが終わるとそのまま「ボストンへ長距離バスで戻る」と言っていたそうだ。ラルクの人気は留まることを知らず。

中盤、ユッキーの激しいドラムパフォーマンスが終わって退場。照明が暗くなると途端に「アンコール」を叫ぶ声があちこちから沸き起こる。私のエリアにいた少しおとなしめ(?)な人たちもいつのまにか「ワンモアソング(もう1曲)!」と声を上げていた。

この「おとなしめ」集団とは対照的に、フロア組はドミノ連鎖のようなWAVEを幾度となく繰り返し、ステージに向かって「アンコール」を熱心にうったえる。

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10分ほどたちようやく、再開。「ワンモアソング」ではなく続けてまた数曲披露。ケンの英語トーク、テツのおなじみのバナナパフォーマンスと盛りだくさんの内容。最後の「虹」ではいつもビデオ再生のTVスクリーンで見ていた「舞い落ちる羽根」が、本物となって後方の私の方までゆっくりと飛んできた。

やさしく体に降りかかるかろやかな白い羽根の一片に目を落とすと、ラルクの繰り出すメロディーと相まって幸せなおだやかな気分になってくる。

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すべて終了し、身支度を整えて帰る観客の人々の顔は、なんだか晴れ晴れとして見えた。たまたま誘われて来た人もいただろう。そんな人でも今夜の出来事は、心の中にしばらく消えないであろう興奮と湧き起こる感動の余韻に満たされているに違いない。

ロックバンドグループと見られる細身の白人の男の子たちも、満足そうに語り合っている。

一人でキャスターつきのバッグを押して帰路を急ぐ東南アジア系の女の子の姿も。

陽気な黒人グループは、体でリズムを刻みつつ会場を背にしている。

今夜、これほど様々な人種/民族が一丸となって日本のロックを応援し、その熱い瞬間を共有したと思うと、ほんとうに感無量な気分になる。これはニューヨークという土地柄、そしてマディソンスクエアガーデンという場所があったからこそ実現できたことなのだ。今夜のこのイベントの感想を問われたら、まさに「音楽に国境はなし。」という一言につきる。

いつの日か、再び彼らがここに戻ってきて、そのときこそスタジアムすべてを埋め尽くす観客の前で、再びすばらしいライブが聴けるだろうことを願っている。

ラルクのメンバー、ありがとう。

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(帰る前にロビーで記念撮影するファン)

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