Covid-19で私たちが気づいたこと【ニューヨークの新型コロナウイルス事情】

公開日 : 2020年04月29日
最終更新 :

「忙しい」が口癖だったニューヨーカー

2020年4月29日現在、新型コロナウイルス感染者は世界で300万人を超え、アメリカはその3分の1の100万人が感染している「感染最多国」。中でもニューヨークはアメリカの感染震源地で、ニューヨーク市を含むニューヨーク州で約30万人の感染者がいます。私の住むニューヨーク市クイーンズ区は人種の多様性が世界一のエリアで、感染者は現在5万人。やっと最近、感染者や死亡者数が減ってきていますが、世界の感染震源地の中心点であることに変わりはありません。

新型コロナウイルスの大流行が起こるまで、ニューヨーカーの口癖は「忙しい」「時間がない」でした。仕事や学校をかけ持ちし、時間に追われ、睡眠時間を削り、背中を追われるように過ごしていました。私も同じ状況で、地下鉄でうっかり居眠りなどすると、「今からどこへ行くんだっけ? 今は何時?」とわからなくなるほど慌ただしく過ごしていたのです。「ゆっくりできる時間が欲しい」は、ニューヨーカー全員の願いでした。その願いは、新型コロナウイルスの大流行という思いもよらぬ状況で、叶えられました。

「感染」という見えない恐怖が私たちから奪ったもの

自宅勤務および自宅待機が義務づけられ、外出禁止令が敷かれ、時間はあるもののどこへも出かけられません。ニューヨーク州知事や市長は口を酸っぱくして、「感染防止のために、自宅にいなさい」と繰り返し、私たちはウイルスという見えない敵から身を隠さなければなくなりました。

人を介して感染するウイルスは、私たちから「人とのふれあい」を奪いました。マスクや手袋をして人と直接触れないようにし、アメリカ人の大好きな習慣ハグ(hug 相手を抱きしめること)もできなくなりました。私はハグの習慣がない日本からアメリカへ来て、慣れない習慣だったハグなのに、今では恋しく感じるのです。アメリカへ来た当初は相手から一方的にされていたハグが、アメリカで暮らすうちに自分からもするようになっていたことに気がつきました。大好きな人に会ったとき、「元気だった?」「会いたかったわ」と抱き合うハグは、大人になっても安心感があり気持ちがいいものなのです。

時間があったらやりたいリストがあった

こんなに時間があるのに、時間があったらやりたいリストは叶えられません。

「友人とゆっくり食事をしながら語り合う」→人数に限らず、同居家族以外の集会禁止。

「気になっていた店の食べ歩きをする」→外出禁止令、および店内での飲食不可、閉まっているレストランも多い(この先オープンするのかも不明)。

「美容院でヘアカラー、ネイルサロンで爪のお手入れ」→ソーシャルディスタンスが取れない業種で閉鎖。

「地下鉄に乗って行けるビーチや郊外に行く」→エッセンシャルワーカー以外、地下鉄の利用禁止。外出禁止令。

「アンティークショップを覗いて回る」→必要不可欠でない業種として閉鎖。衛生面から今後どうなるのか不明。

バーチャルな付き合いは要らない

物質的なものよりも何よりも辛いのが、人に直接会えないことです。

今までは行きたくなかったはずの職場や学校の仲間に会いたい。どうということもない世間話がしたい。仲間と笑い転げたことが懐かしい。行きつけの美容院や、馴染みのお店の人たちはどうしているだろうか。感染が酷いニューヨークでは、しばらくは感染を広げないため、同じような生活が続くでしょう。バーチャルなZoomは苦手で、テキストやラインも思ったことが少ししか伝わらない感じ。

以前レストランでデートなのに、相手を目の前にして自分のiPhoneに夢中なカップルをよく見かけました。またグループで遊びに来ているのに、各々のiPhoneに夢中なグループも見かけました。

そんなに目の前の相手が必要ないのなら、会う必要がないようにしてあげようと、神様がウイルス感染という罰を下されたのかもしれません。この先感染が収まるまで、バーチャルな付き合いが主流になるのでしょうか。人付き合いが得意でない私にもかかわらず、今では人に会うことに焦がれているのです。

大事なこと、不必要なこと。Covid-19では、多くのことに私たちは気づきました。

医療従事者に空からありがとう

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2020年4月28日ニューヨーク市クイーンズ区上空 医療従事者に敬意を表して飛ぶ米軍飛行部隊 [Photos by Hideyuki Tatebayashi] Do not use images without permission.

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2020年4月28日ニューヨーク市クイーンズ区上空 空軍の「サンダーバーズ(Thunderbirds)」と海軍の「ブルーエンジェルス(Blue Angels)」[Photos by Hideyuki Tatebayashi] Do not use images without permission.

雨や曇りが続いていたのに、気持ちよく晴れた2020年4月28日。ランチタイム(昼12時〜)に、医療従事者の働きを讃え、空軍の「サンダーバーズ(Thunderbirds)」と海軍の「ブルーエンジェルス(Blue Angels)」の12機がニューヨーク市の上空を飛びました。

実際の生活でも、暗いトンネルから抜けて、明るい青空が見えますように。

全米で101万2583名、アメリカは世界一の感染者数。

NY時間2020年4月29日午前 3:32:29 時点の、感染症研究のエキスパート米ジョンズ・ホプキンス大学Johns Hopkins Universityの公式ウェブサイトによると、世界の感染者数は311万7880名。アメリカの新型コロナウイルス感染者数は101万2583名で、世界最多の感染国。アメリカはダントツの1位で、2位のスペインの4.3倍以上の感染者数。3位イタリア、4位フランス、5位英国、6位ドイツ、7位トルコ、8位ロシア、9位イラン、10位中国。

日本の感染者数は現在1万3736名、死亡者数は394名、回復者数は1899名となっています。日本はニューヨークのように、爆発的には増えていません。

【新型コロナウイルス感染国ワースト5】2020年4月29日

世界の感染者数 3,117,880名

1.アメリカ 1,012,583名(死亡58,355名)(回復115,936名)

2.スペイン  232,128名(死亡23,822名)(回復123,903名)

3.イタリア  201,505名(死亡27,359名)(回復68,941名)

4.フランス  169,053名(死亡23,694名)(回復47,775名)

5.英  国   162,350名(死亡21,745名)(回復813名)

日本 13,736名 (死亡 394名) (回復1899名)

■参照記事

Johns Hopkins University. NY時間2020年4月29日午前 3:32:29 時点のデータによる

2020年4月28日現在 ニューヨーク州感染者数29万5106名

2020年4月28日付在ニューヨーク日本国総領事館の「総領事館からのお知らせ」メールによると、現在のニューヨーク州の感染者数は29万5106名。死亡者数は1万7638名。ニューヨークは世界の感染の震源地となり、アメリカは感染国ワーストワン(恐怖)。

ニューヨークシティで、感染者数が多い順番は、クイーンズ、ブルックリン、ブロンクス、マンハッタン、スタテンアイランド。いずれも人口密集地であることから、感染者数が連日増加しています。私の住むクイーンズ区は、人種のるつぼニューヨークシティの中でも、特に多様な人種が集まるエリアで、感染率はNYCの中で約31%とトップ。しかもエルムハースト病院(Elmhurst Hospital,Queens,NYC)の医療現場の惨さが世界中に伝わっています。いわば、世界一の感染拡大地域で、私はまだ生き延びています(泣)。マンハッタン区の感染者数が少ないのは、お金持ちはすでに、セカンドハウスを持つほかの州や、他国へ移動済みだからです。( )内は前日の数。

クイーンズ区: 49,929名(49,399名)

ブルックリン区:43,587名(43,014名)

ブロンクス区: 35,994名(35,556名)

マンハッタン区:21,312名(21,097名)

スタテン島区: 11,516名(11,423名)

詳細につきましては、在ニューヨーク日本国総領事館の新型コロナウイルス関連情報で確認することができます。

4月28日現在、当館管轄内における新型コロナウイルスの感染者数及び死者数は以下のとおりです。( )内は前日の数

○ニューヨーク州:感染者数  295,106名(291,996名),死者数 17,638名(17,303名)

・感染者数内訳(主なエリア)

ニューヨーク市:感染者数  162,338名(160,489名),死者数 12,067名(11,857名)

NY市の内訳

クイーンズ区: 49,929名(49,399名)

ブルックリン区:43,587名(43,014名)

ブロンクス区: 35,994名(35,556名)

マンハッタン区:21,312名(21,097名)

スタテン島区: 11,516名(11,423名)

ナッソー郡: 35,085名( 34,865名),死者数  2,039名(2,003名)

サフォーク郡:32,724名( 32,470名),死者数  1,179名(1,147名)

ウエストチェスター郡:28,245名( 28,007名),死者数  1,096名(1,077名)

ロックランド郡:11,453名( 11,366名),死者数    359名(  355名)

○ニュージャージー州:感染者数 113,856名(111,188名),死者数 6,442名(6,044名)

○ペンシルベニア州:感染者数   43,264名( 42,050名),死者数 1,716名(1,597名)

○デラウェア州:感染者数      4,575名(  4,162名),死者数   137名(  125名)

○ウエストバージニア州:感染者数  1,095名(  1,063名),死者数    38名(   36名)

○コネチカット州フェアフィールド郡:感染者数 10,874名(10,763名),死者数  747名( 727名)

○プエルトリコ:感染者数      1,400名(1,389名),死者数    86名(   86名)

○バージン諸島:感染者数       59名(     59名),死者数     4名(    4名)

■ 在ニューヨーク日本国総領事館

299 Park Avenue, 18th Floor, New York, NY 10171

筆者

アメリカ・ニューヨーク特派員

青山 沙羅

はじめて訪れた瞬間から、NYに一目惚れ。プロ・フォトグラファーの夫とNY在住。

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