COVID-19の2つのテスト「抗体検査」と「PCR検査」ってどう違うの?【ニューヨークの新型コロナウイルス事情】

公開日 : 2020年05月23日
最終更新 :

新型コロナウイルスの検査には、抗体検査とPCR検査がある

ニューヨークで経済再開するためには、検査をしてデータを取り、トレーシング(接触確認)することを重要としています。これはニューヨークに限らず、世界中で同様になると思われます。世界最多感染国アメリカのウイルス感染震源地ニューヨークでは、膨大な予算を投じて、永住権の有無にかかわらず住民すべてが無料で検査を受けられるようになりました。米ニューヨークは初動が遅かったため、ひどく感染が広がりましたが、フォローとしてビザにかかわらず(留学生や不法移民を含む)検査ができる許容力はありがたいです。

しかしながら、連日州知事や市長の記者会見を見ていて、2種類のCOVID-19(新型コロナウイルス)テストがあるらしいと知っていても、具体的にどう違うのか、どういった結果が出るのかは知りませんでした。実際に自分が検査をすることになり、どちらをするかと聞かれて違いがわからず、両方を受けさせられました。結果的にはそれでよかったのですが、なじまない言葉であり、その違いについてあちこち調べました。

感染症研究のエキスパート米ジョンズ・ホプキンス大学の"The Facts About COVID-19 Tests"(新型コロナウイルス検査についての事実)によると、2種類のCOVID-19(新型コロナウイルス)テストには、「抗体検査(採血検査 antibody testing)」と「PCR検査(鼻腔検査 Nasal Swab Testing)」があります。ふたつのテストは、検査目的が異なり、わかる検査結果も異なります。下記に大まかに書き残しますが、詳しくは、"The Facts About COVID-19 Tests"(新型コロナウイルス検査についての事実)にてご確認ください。

COVID-19 抗体検査(採血検査 antibody testing)とは

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(C)The Official Website of New York State プレスリリース  抗体検査結果を検査中

【抗体検査っていったいなに】

抗体検査(採血検査 antibody testing)は、採血して過去にウイルスに感染したかどうかを調べます。

【抗体検査でわかること】

新型コロナウイルス症状があるなしにかかわらず、過去に感染したこと(抗体)があるかどうかがわかります。

【抗体検査ではわからないこと】

現在、新型コロナウイルスに感染しているかはわかりません。また、抗体=免疫力かは、現時点では不明。再感染している患者がいるといわれています。

COVID-19 PCR検査(鼻腔検査 Nasal Swab Testing)とは

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(C)The Official Website of New York State プレスリリース  PCR検査の見本を示すクオモNY州知事

【PCR検査っていったいなに】

PCR検査とは、鼻腔の奥に長い綿棒を入れ、現在新型コロナウイルスに感染しているかどうかを調べます。

【PCR検査でわかること】

現在、新型コロナウイルスに感染しているかどうかがわかります。

【PCR検査ではわからないこと】

過去に感染したこと(抗体)があるかどうかはわかりません。

■参照

The Facts About COVID-19 Tests-Johns Hopkins University 

どちらもやったほうが良い

抗体検査(採血検査 antibody testing)は、過去に感染した(抗体)かどうかがわかり、PCR検査(鼻腔検査 Nasal Swab Testing)は、現在感染しているかどうかが判明します。

私は近所の無料検査所に散歩がてらに混み具合を見に行き、初日は空いていたのでついでに受けてしまいました。事前知識なく受け、検査を行う医療従事者のすすめでふたつとも受けたのですが、結果的にはよかったと思います。この先、経済再開するときには、新型コロナウイルスの抗体があるかどうかが鍵になるともいわれています。ただし、現時点では抗体があるからといって、免疫力がある(再感染しない)ということではないそうで、新型コロナウイルスを完全に封じ込める手段はまだ開発中のようです。

また、検査は自腹では安くはないので、各国が負担をしてくれることが望ましいですね。膨大な予算にはなりますが、最終的には感染再発の歯止めはかかりそうです。

全米で160万1434名、アメリカは世界一の感染者数。

NY時間2020年5月23日午前 1:32:40 時点の、感染症研究のエキスパート米ジョンズ・ホプキンス大学Johns Hopkins Universityの公式ウェブサイトによると、世界の感染者数は521万3557名。アメリカの新型コロナウイルス感染者数は160万1434名で、世界最多の感染国。アメリカはダントツの1位で、2位のブラジルの約5倍の感染者数。3位ロシア、4位英国、5位スペイン、6位イタリア、7位フランス、8位ドイツ、9位トルコ、10位イラン。アメリカ、ブラジル、ロシアがワースト3を占めています。ロシアは死亡数が少なく回復数が多いのに対し、英国は死亡数が多く回復数が少ない、逆のデータが出ています。

日本の感染者数は現在1万6513名、死亡者数は796名、回復者数は1万3005名となっています。日本はニューヨークのように、爆発的には増えていません。

【新型コロナウイルス感染国ワースト5】2020年5月23日

世界の感染者数 5,213,557名(死亡338,232名)(回復2,058,237名)

1.アメリカ 1,601,434名(死亡96,007名)(回復350,135名)

2.ブラジル  330,890名(死亡21,048名)(回復135,430名)

3.ロシア  326,448名(死亡3,249名)(回復99,825名)

4.英国  255,544名(死亡36,475名)(回復1,142名)

5.スペイン  234,824名(死亡28,628名)(回復150,376名)

日本 16,513名 (死亡 796名) (回復13,005名)

■参照記事

Johns Hopkins University. NY時間2020年5月23日午前 1:32:40 時点のデータによる

2020年5月22日現在 ニューヨーク州感染者数35万8154名

2020年5月22日付在ニューヨーク日本国総領事館の「総領事館からのお知らせ」メールによると、現在のニューヨーク州の感染者数は35万8154名。死亡者数は2万3195名。ニューヨークは世界の感染の震源地となり、アメリカは感染国ワーストワン(恐怖)。

ニューヨークシティで、感染者数が多い順番は、クイーンズ、ブルックリン、ブロンクス、マンハッタン、スタテンアイランド。いずれも人口密集地であることから、感染者数が連日増加しています。私の住むクイーンズ区は、人種のるつぼニューヨークシティの中でも、特に多様な人種が集まるエリア。6万人を超え、感染率はNYCの中で約31%とトップ。しかもエルムハースト病院(Elmhurst Hospital,Queens,NYC)の医療現場の惨さが世界中に伝わっています。いわば、世界一の感染拡大地域で、私はまだ生き延びています(泣)。マンハッタン区の感染者数が少ないのは、お金持ちはすでに、セカンドハウスを持つほかの州や、他国へ移動済みだからです。( )内は前日の数。

クイーンズ区:60,236名( 60,025名)

ブルックリン区:53,639名( 53,385名)

ブロンクス区:43,766名( 43,603名)

マンハッタン区:25,672名( 25,522名)

スタテン島区:13,171名( 13,140名)

詳細につきましては、在ニューヨーク日本国総領事館の新型コロナウイルス関連情報で確認することができます。

5月22日現在、当館管轄内における新型コロナウイルスの感染者数及び死者数は以下のとおりです。( )内は前日の数

○ニューヨーク州:感染者数 358,154名(356,458名),死者数 23,195名(23,083名)

・感染者数内訳(主なエリア) 

ニューヨーク市:感染者数 196,484名(195,675名),死者数 14,962名(14,911名)

NY市の内訳

クイーンズ区:60,236名( 60,025名)

ブルックリン区:53,639名( 53,385名)

ブロンクス区:43,766名( 43,603名)

マンハッタン区:25,672名( 25,522名)

スタテン島区:13,171名( 13,140名)

ナッソー郡:39,608名(39,487名),死者数 2,572名(2,558名)

サフォーク郡:38,672名(38,553名),死者数 1,863名(1,851名)

ウエストチェスター郡:32,767名(32,673名),死者数 1,444名(1,438名)

ロックランド郡:12,905名(12,877名),死者数 450名(448名)

○ニュージャージー州:感染者数 152,719名(151,472名),死者数  10,985名(10,843名)

○ペンシルベニア州:感染者数 66,258名(65,392名),死者数 4,984名(4,869名)

○デラウェア州:感染者数 8,529名(8,386名),死者数 322名(317名)

○ウエストバージニア州:感染者数 1,616名(1,593名),死者数 71名(70名)

○コネチカット州フェアフィールド郡:感染者数 14,889名(14,751名),死者数 1,195名( 1,180名)

○プエルトリコ:感染者数 3,030名(2,913名),死者数 126名(126名)

○バージン諸島:感染者数 69名(69名),死者数 6名(6名)

■ 在ニューヨーク日本国総領事館

299 Park Avenue, 18th Floor, New York, NY 10171

筆者

アメリカ・ニューヨーク特派員

青山 沙羅

はじめて訪れた瞬間から、NYに一目惚れ。プロ・フォトグラファーの夫とNY在住。

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