ムラカミ・フェスティバル~感想レポート~

公開日 : 2010年08月29日
最終更新 :
Murakamifestivalen

 2010年8月20~23日の4日間に渡って、オスロの文学博物館「文学の家」で行われたムラカミ祭。ムラカミ・シリーズの翻訳者や愛好家たちによる講演会など、ムラカミ分析を中心とするイベントが25種類も行われました。

ノルウェーメディアの反応

 チケットは12分で完売。会場は本会場(立ち見)とスクリーンビュー会場(座席あり)。売り上げチケット数の合計数は各メディアによって異なるのだが、Dagbladetによると720枚が完売したとのこと。

 NRKによると、講演当日は受付前に長い行列ができ、外では大勢の人が電話でガヤガヤと話しており、まるで音楽フェステイバルのような雰囲気だった。

 最終日の23日には村上春樹氏本人とフローデ・グリッテン氏(Frode Grytten)との会話形式の講演が行われた。「文学の家」によると、フローデ氏は2008年にも同場所で村上氏についての講演を行い、その内容の素晴らしさが伝説となっている。

スクリーンビューイングに参加した感想

 本来は村上春樹さんの顔が生で見れる本会場のチケットが購入したかったのだが、即売り切れでスクリーンビューイングのチケットを購入。村上氏本人も、「この会場は狭いね。今度オスロで講演する時はオペラ・ハウス(オスロの新しい観光名所である巨大なオペラ・ハウス)でやりたいね」と言って、笑いを誘っていた。

笑い溢れる講演会

 全体的になごやかに、村上氏の冗談(?)で司会者も観客も常に笑っていたのが印象的だった。通訳なしでスラスラと英語で話し、時に司会者からの質問が分からなくても、村上氏の反応が和やかなので、常に会場は笑いに包まれていた。

 ほとんどはノルウェー人、日本人も数十人見かけられた。若い学生から年配の方まで幅広い年代層のノルウェー人が来場。私の目の前には無印良品のノートに必死に講演内容をメモに取っている若いノルウェー人女性の姿も。スクリーン会場では優雅にワインを飲みながら聞く人が多かった。

メディアの評価

 「スーパースター」ということで、村上氏がオスロに来る前から常に新聞などで特集されていた。ランニング服姿など、日本ではあまり見ることのできないご本人の日常の顔写真やインタビュー時の様子の写真が至るところに。特定の日本人が頻繁にノルウェーメディアで大々的に取り上げられることは大変珍しい。

その他プチネタ

 約1か月のノルウェー滞在、「オスロに来て、人生で一番涼しい夏を過ごすことができた」。

 「ノルウェイの森」は英語で「Norwegian Wood」と訳されているが、海外にくると、「あのタイトルは"薪"、木材"か、それとも"森"を意味しているのか」などと突っ込まれることが多く、自分が翻訳してタイトルをつけたわけではないので、本人も聞かれて困っているとのこと。

 会場となった「文学の家」にはカフェも用意されているのだが、そこで奥様とよくのんびりされていた。

 また、アルコールを買いにアルコール飲料専門店のヴィンモノポリーに行ったら、多くのノルウェー人にジロジロ見られて恥ずかしかったとのこと。

 司会者が「あなたはどうして世界中でここまで有名なのか」と聞かれて、「自分でも分からない。代わりに教えてほしいくらいだ」と回答。

 『1Q84』ノルウェー語版は英語版とともに2011年に発売予定とのこと。日本人が「日本語でもう読んだよ」と言うと、ノルウェー人のほとんどが心の底から羨ましがる光景を私も何度も目にした。今回の講演はもっと真面目な雰囲気で行われるかと思っていたのだが、参加していて予想以上に会話内容が面白く、常に笑って話を聞くことができた。実は今まで村上作品の大ファンというわけではなかったのだが、この講演に参加して、私もファンのひとりになったことは間違いないかもしれない。

~参考記事~

~ノルウェー地元メディア記事(ノルウェー語)~

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